EME(Earth−Moon−Earth)通信について



EMEとは文字通り地球-月-地球の経路で、月を電波の反射体として利用し、地球の2点間で通信を行うものです。
月は約40万kmの距離にあり、電波は約2.6秒かかって80万kmを往復します。
EMEは、アマチュア無線ではすでに40年以上の歴史があり、144MHz、430MHz、2.4GHz、10GHz帯が利用されてきました。
月からの反射電波は微弱なため、高感度低雑音の受信機、高利得のアンテナ、高出力の送信機、そして正確に月にアンテナを向ける機構が必要ですが、相手局のシステムが高性能なら、意外と簡単な設備で交信することも可能です。
EME交信に利用されるのは、雑音等に強いCW(モールス符号)が主ですが、SSBによる音声交信も盛んです。
毎年10月にはEMEのコンテストEME Competitionが行われ、全世界のEME'erがありったけのパワーで月に吠えるので受信してみるとよいでしょう。私も15エレx4の八木アンテナでヨーロッパからのCQのモールスを432MHzで聞くことができ、安物の移動用八木アンテナで十分EMEが受信できることに驚きました。
アンテナやプリアンプを整備していくと,太陽の雑音(サンノイズ)がわかるようになってきます。最終的にはこのサンノイズができるだけ大きくなるようシステムを調整します。方位角,仰角の2個のアンテナローテータでアンテナを太陽に向けると,「ザー」という音が大きくなり,Sメータが動き出します。1億5千万キロメートル先の太陽が発している雑音と考えると不思議な思いにとらわれました。
あとは送信ですが、相手側が多段アレイの八木やパラボラアンテナを使用している場合、かなり小電力でも可能で50Wでの交信例もあるようです。とは言ってもやはり大声を出せるに勝るものはないので、V/UHFの500W送信設備を整備するのが目標でしょう。1級アマチュア無線技士の資格が必要ですが,現在ではモールスの和文試験も無くなったので受験の敷居もだいぶ低くなりました。
右のお月様をクリックするとノイズに埋もれた
月からのモールスが聞こえます(*注 MP3 1.4MB)→
下のアンテナで受信したものですが,
さて?なんというコールかわかりますか?

432MHzEME受信システムのブロック図


EME受信アンテナ建設作業

写真をクリックすると大きな画像が見れます。

EMEアンテナを上げる。JA7MZE
とJA7ISU。下はJJ7ITW.。
組立中の430MHz15エレx8
(120エレ八木)JA7MZEの腰
のあたりに直下型プリアンプ
(アンテン製)が見える。
地上波との混信を少しでも
避けるため水平偏波とした。
月をにらむ120エレ八木
方位角ローテータはKENPRO
KDX-800、仰角ローテータは
KR-500で空のどの方向へで
も向く。サンノイズは約10dB
(Sメータ2くらい)とれる。
アンテナのAZ(方位角)EL(仰角)
の自作デジタル指示器。秋月電子
のキットを利用した。方位角359度
仰角85度でほぼ天頂方向やや北
よりを指示している。

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