1.社長の「パッチを当てる」発言に隔世の感、ITへの理解は進むが懸念あり(10.1 日経XTEC)
最近、「隔世の感だ」とポジティブに評価していることがある。企業の経営者のITに関する理解が格段に進んだことだ。例えば、日本経済新聞の2026年9月17日公開の記事において、みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は「発見したシステムの脆弱性に対し、パッチを当てるプロセスをどこまで速められるかが勝負になる」などと発言している。三菱UFJフィナンシャル・グループの半沢淳一社長も日経ビジネスのインタビューで、パッチというIT用語を使っていた。私はこうした発言を読んで驚がくしてしまった。
パッチはソフトウエアのバグなどを修正するためのプログラムで、以前なら経営者が口にするどころか、その存在すら知るよしもなかった。ところが、今や経営者の口からパッチという言葉が出てくる。それぐらいITへの理解が進んだと判断してよいわけだ。
ただ、懸念すべき点もある。多くの経営者が、あれほど必要性を説いていたDXを語らなくなったのだ。代わりにAI活用の重要性を説く。もちろん、それがAX(AI変革)、AIを活用した業務改革ならよいが、多くの場合、AI導入のレベルにとどまっている。つまり、DXやAXのX(変革)が、経営者の意識の中から抜け落ちてしまったのではないだろうか。
2.「AIが進んでも判断は人」、国土交通省のAI活用3つの柱 廣瀬技監が語る(9.30 日経XTEC)
「国交省はこれまで、(建設産業の生産性を高める)i-Construction(アイ・コンストラクション)やインフラDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んできた。AI(人工知能)はそうした取り組みをさらに飛躍させる可能性がある」
2026年9月30日、東京国際フォーラム(東京・千代田)で開催している「日経クロステックNEXT 東京 2026」に、国土交通省で技術系トップの技監を務める廣瀬昌由氏が基調講演に登壇。令和8年熊本地震への対応や、同省が進めるインフラ分野のAI実装に向けた方針などを語り、建設分野を取り巻く課題と今後の方向性を示した。
建設業界では人口減少に伴う担い手不足に加え、高度経済成長期に整備したインフラの老朽化などの課題を抱えている。25年に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故も、その象徴的な事例だ。
廣瀬技監は「インフラは一つひとつ個別に管理するのではなく、全体をシステムとして管理していかなければならない」と指摘。停滞する国内総生産(GDP)や建設費の上昇が続く中、インフラ整備や維持管理の在り方を見直す必要性を示した。
今年は熊本地震や千葉豪雨などの自然災害も相次ぎ、迅速な対応が求められた。熊本地震では、被災した九州自動車道の川田橋の交通機能を発生後約2週間で確保した。廣瀬技監は、その早期復旧を可能にした要因に、24時間施工するという判断を下したこと、設計図書が残されていたことを挙げた。「こうした判断ができたのは、10年前の熊本地震を経験したNEXCO(西日本)職員の知見があったからだ。AIでは難しい」と話す。
こうした状況の中、国交省が目指すのはインフラ分野のAI実装だ。具体的な施策として、(1)人材・組織体制の構築(2)AI利活用環境の整備(3)データ基盤の確立??の3つを柱として、戦略的・体系的に取り組む。インフラ分野の強みは現場にあるとし、人とAIがそれぞれの強みを発揮しながら協働する方針を示した。
「AIが進んでも、判断するのは人」(廣瀬技監)。国交省のAI活用方針は、人間中心の原則を明確に示している。現場ごとに条件が異なる建設産業の特殊性などを考慮したものだ。九州道・川田橋の復旧を例に挙げたのも、こうした背景がある。
3.AIが発見した脆弱性は約3万件、修正済みはわずか421件 人手の対応限界に(9.30 日経XTEC)
米Anthropic(アンソロピック)は、AI(人工知能)による脆弱性発見プロジェクト「Project Glasswing」の進捗状況を公表した。見つけた脆弱性の候補は2万6153件に上るが、修正されたのは421件にすぎない。AIにより脆弱性が次々と見つかっているものの、対応が追いついていない現状が浮き彫りになった。AIによるセキュリティー対策(AI for Security)が目指すべき方向はどこだろうか。
アンソロピックのデータからは、AIにより脆弱性の発見能力は飛躍的に向上したものの、人手を必要とする脆弱性の評価や修正が追いついていない現状が読み取れる。アンソロピックは、「人によるトリアージとレビューのプロセスが、処理速度の制限要因になった」としている。
脆弱性を見つけるだけでは、世の中のセキュリティーレベルは向上しない。脆弱性の評価とパッチの作成が不可欠だ。これまでは発見した脆弱性の件数がAIの性能として評価されてきたが、今後は脆弱性の評価やパッチ作成の能力向上が求められる。
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