1.国産AI開発予算が来年は2.3倍に、それでも足りない「IT狂乱物価」の足音(9.4 日経XTEC)
経済産業省が2026年度に3873億円を投じて始めた、国産AI(人工知能)の開発事業。同省が2026年8月31日に発表した2027年度予算の概算要求では、同事業の要求額は8964億円と今年度に比べて2.3倍に増えた。背景にはメモリー価格などの高騰がある。
経産省の「AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」は、複数種類のデータに対応した「マルチモーダル基盤モデル」を、オープンに利用できるものとして開発するプロジェクトだ。AIロボットやフィジカルAIに必要となる領域特化型のAIモデルを開発する際の基盤となる。
基盤モデルの開発は、国内企業44社が出資するNoetra(ノエトラ)が担う。米NVIDIA(エヌビディア)のRubin世代のGPU(画像処理半導体)2万7500基を使用して、1兆パラメーター級の基盤モデルを毎年、継続的に公開する計画だ。
つまり昨年、2025年の時点であれば、200MWのAIデータセンターを整備するには100億〜120億ドル、日本円にして1兆6000億〜1兆9000億円が必要になると予測できた。しかし現在は160億〜200億ドル、日本円にして2兆6000億〜3兆2000億円が必要になると考えなければならない。
2025年に50万円で販売していたNPU(AI専用チップ)を搭載するAIパソコンの価格が、今は300万円以上になっているのだという。本格的なGPUを搭載するAIパソコンであれば、2025年は100万円だったのが今は800万円にまで価格が上がっているとも語る。
つまりAIエージェントが増えるほど、CPUやメモリー、SSDも不足し、価格が高騰する可能性が高い。これら部品の価格が高騰すれば、パソコンやスマートフォンだけでなく、サーバーや各種クラウドサービスも値上がりするだろう。
2.シャープが統合AI「NIAH」発表、家電横断で利用者の暮らし理解(9.4 日経XTEC)
シャープは2026年9月1日、家電やサービスと連係する統合AI(人工知能)のサブスクリプション(定額課金)サービス「NIAH(ニア)」を発表した。NIAHはユーザーの家事や家電の相談に対話で応じる。エアコンや洗濯機、空気清浄機、調理家電などの同社製品52機種に対応する計画だ。提供開始は9月30日、料金は月30往復の対話まで無料、300往復まで495円(税込み)など。
3.「人にしかできない仕事」とは? AIエージェントによる変革を阻む2つの壁(9.3 日経XTEC)
「複数のAIエージェントが『社員』として人と共に働く環境を整えよう」、「AIエージェントを新たな『人材』として運用しよう」──。生成AI(人工知能)の急速な進化に合わせて、そんな取り組みが現実のものになりつつある。
そもそも生成AIに対する関心が高い上に、AIエージェントを「社員」や「人材」などと擬人化し、大きな成果も期待できることから、日本企業の間でも注目が高まっている。AIを活用したDX(デジタル変革)、つまりAX(AI変革)の大本命はこれと言ってよいだろう。
こうしたAIを組織のど真ん中に置き活躍させる体制を構築できれば、従来のDXやBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)などに比べ、比較にならないほどの生産性や効率性の向上が期待できる。だからこそ、日本企業も強い関心を寄せているわけだ。
ただし、問題はここからだ。日本企業がAIエージェントを社員として迎え入れてAXを推し進めるには、2つの大きな壁がある。1つは、DXやBPRなどITを活用した変革がことごとく失敗してきた歴史があり、AXでそれを突破できるとは限らないということだ。もう1つは、AIエージェントが人である社員に取って代わった際、その人たちをどのように処遇するのかである。
まずは1つめの壁から見てみよう。例えばBPRの場合、その名の通り業務プロセスの変革に焦点を合わせた。DXはもう少し変革の範囲は広いが、やはり業務プロセスの見直しが変革の一丁目一番地だ。ERP(統合基幹業務システム)などを導入することで変革を推し進めようとしたが、事業部門などの現場の抵抗に遭い頓挫した日本企業は数知れない。
AXの場合も同様の壁にぶつかるはずだ。単にAIエージェントを社員として迎えれば済む話ではなく、AIエージェントが仕事をしやすいように業務プロセスなどを変えていかなければならないからだ。AIエージェントだけの部署をつくるなら、全社的な業務プロセスの見直しが不可欠になるだろう。当然、BPRやDXのときと同様、現場から大きな抵抗に遭うと考えた方がよい。
もう1つの壁は、より深刻かもしれない。AIエージェントが人の社員に取って代わるようになったら、理屈の上では人は人にしかできない仕事を担えばよい。方針を決め、課題について判断し、例外事象に対処し、責任を取るといった具合だ。ただし、こうした業務を担うには、それほど多くの人は要らない。となると、安易な解雇が難しい日本企業は余剰化した人の処遇に悩むことになる。
4.生成AIが広げる貧富の差、「人にしかできない仕事をやれ」の無責任(8.31 日経XTEC)
生成AI(人工知能)やAIエージェントが人の仕事を代替できるようになりつつある今、どうも気に入らない言葉がまん延している。いわく「人は人にしかできない仕事をやればよい」。要するに、AIが代替できる仕事はAIに任せてしまって、人は付加価値の高い仕事を担えと言っているわけだ。こうすればAIに仕事を奪われて失業するといった悲劇も起こらないと言いたいのだろうけど、人にしかできない仕事っていったい何なんだろうね。そこが曖昧だから、気に入らない。
そりゃ「人にしかできない仕事」もあるにはあるよ。例えば経営者や役員といったマネジメントと意思決定をする仕事。
高いクリエーティビティーが要求される仕事も人にしかできないな。例えば小説やアート、音楽などのトップレベルの作品、つまり人の心を打つ芸術性の高い作品は人にしか生み出せない。しかし、こちらもマネジメント関連の仕事と同様に「ただし書き」がある。レベルの低い小説やアート、音楽などは生成AIを使えばいくらでも量産できる。
もう1つぐらい言っておこうか。いわゆるBtoBのビジネスで大きな商談をまとめるような営業職も人にしかできない仕事だろうね。高いコミュニケーション能力で客の課題を把握して、解決策となる商品(ソリューション)を提供する。ある意味、コンサルタントも似たようなものかもしれないな。
この「人は人にしかできない仕事をやればよい」は言ってみれば、AIベンダーやAIエージェント導入企業による、ある種のごまかしだ。そしてメディア関係者の思考停止そのものだ。AIエージェント、それに生成AIを導入したら人の仕事をいきなり全て代替しないにしても、少なくとも大幅に効率化される。その分、人は空いた時間で「人にしかできない仕事をやればよい」となる。だけど大半の企業の従業員は、人にしかできない仕事なんて見当もつかない。だから、何の具体性も伴わず、曖昧なまま語られ続けるわけだ。
結局のところ、大量解雇に踏み切れる米国企業であろうと、「AIにできる作業をまだ人間にやらせているのか」と言われようが人を抱え続ける日本企業であろうと、最大の問題はオフィスワーカーとして真面目に働いてきた普通の人たちの仕事が、一気にAIエージェントなどに取って代わられてしまうことだ。真面目に働いてきた普通の人たちからすると、「人は人にしかできない仕事をやれ」と突き放されても途方に暮れるばかりであり、会社側も「人にしかできない仕事」を提供するのは無理だということだ。
5.IT大手19社の増収率がついに30%台、2026年4〜6月決算で AI特需がけん引(9.1 日経XTEC)
世界IT企業大手19社は2026年第2四半期(4〜6月)、企業向けに前年同期を30.9%上回る、3075億4300万ドル(約48兆5300億円)を売り上げた。2015年から始めた本調査において、前年同期比3割超えの伸び率は過去最高である。
言うまでもなく大幅増は、AI(人工知能)ブームの恩恵を、AIシステム販売のデータセンターと、AIインフラサービスを提供するパブリッククラウドの2領域が十分に享受してきたためである。これに対し、残る2領域、ソフトウエアとサービスは、14四半期前の2022年第4四半期(10〜12月)にソフトが12.1%増、サービスが12.6%増を記録して以降、ともに5%前後の伸びが続き、AIの恩恵があるようでないような状況である。直近の2四半期はいずれも3%台の伸びにとどまっている。
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