週間情報通信ニュースインデックスno.1539 2026/8/22


1.医師なら時給3万円超え、AIの「学習データ作成サービス」の進化がすごい(8.21 日経XTEC)
 米Meta(メタ)のLLM(大規模言語モデル)が、見事な復活を遂げた。同社が2026年8月に発表した「Muse Spark 1.2」は、コーディング性能で米Anthropic(アンソロピック)や米OpenAI(オープンAI)の最新モデルに肉薄している。復活の背景には、「学習データ作成サービス」の貢献がありそうだ。

 メタは2026年8月5日(米国時間)に、CLI(コマンド・ライン・インターフェース)型AI(人工知能)コーディングエージェントである「Muse Code」と、コーディング性能を強化した最新LLMであるMuse Spark 1.2をリリースした。

 ソフトウエア開発能力のベンチマークである「Terminal-Bench 2.1」におけるMuse CodeとMuse Spark 1.2の成績は82.9%であり、アンソロピックのClaude CodeとClaude Opus 5の成績である86.7%には及ばないものの、オープンAIのCodexとGPT-5.6 Terraの81.8%や、米Google(グーグル)のAntigravity CLIとGemini 3.6 Flashの78.9%を上回ったと、メタは主張している。

 ワン氏が創業したスケールAIは、「Outlier」というブランド名のWebサイトで、学習データの作成を請け負う医師や弁護士などの専門家を募集している。OutlierのWebサイトによれば、例えば心臓専門医(Cardiologist)が心電図の解釈データなどの作成作業に参加すれば、最大200ドル(約3万1000円)の時給を稼げるのだという。

2.AWSジャパンが地域創生プログラム「LEAP」を発表、最大5万ドル支援 (8.19 日経XTEC)
 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2026年8月17日、地域のAI(人工知能)・クラウド活用を包括的に支援するプログラム「LEAP by AWSジャパン(Local Economy Acceleration Program by AWS Japan)」を発表した。地域企業のAI実装、地域IT企業の育成、デジタル人材の教育、自治体や金融機関などが持つデータ活用の4つを支援。産学官金で連携し、各地域内でAI実装を自律的に進める仕組みの構築を目指す。

 地域企業には、AIエージェントの体験やハンズオンの提供からPoC(概念実証)、本番導入までを支援。導入件数の目標は明らかにしなかったが、審査を経て条件を満たした企業には、1社当たり最大5万ドル相当のAWSクレジットを提供。実装に必要なコストを軽減する。

3.LAN内の全機器に一斉送信する「ブロードキャスト」、アドレス不明時に活用(8.19 日経XTEC)
 ブロードキャストとは、同ネットワーク内にある全ての機器に一斉に同じ情報を送ることを指します。通信相手のアドレスが分からない時などに使われます。

 イーサネットを利用するIP(Internet Protocol)ネットワークにおける、代表的な利用例がARP(Address Resolution Protocol、アープ)です。IPアドレスとMAC(Media Access Control、マック)アドレスを結び付けるプロトコルです。

 イーサネットではMACアドレスを宛先に指定して通信します。宛先のIPアドレスが分かっていて、MACアドレスが分からない場合、「このIPアドレスを持つ機器はいませんか?」とブロードキャストして、ネットワーク内の全機器へ問い合わせます。

 ブロードキャスト通信はLAN(Local Area Network)内にある全ての機器に向けて送信されます。このためブロードキャスト通信が増え過ぎると、ネットワークの負荷が高まります。

4.ホテルからのMicrosoft 365利用が危ない、公衆Wi-Fi機器への侵害を警告(8.19 日経XTEC)
米Microsoft(マイクロソフト)やセキュリティー企業の米ReliaQuest(リライアクエスト)は、ホテルなどの公衆Wi-Fiを狙ったサイバー攻撃が世界規模で実施されているとして注意を呼びかけている。主な標的は出張者と見られる。知らないうちにMicrosoft 365の認証情報を盗まれたり、マルウエアに感染させられたりするという。

 攻撃者はまず、ホテルなどに設置された公衆Wi-Fiのゲートウエイ機器(Wi-Fiゲートウエイ)を乗っ取る。方法は不明だが、リライアクエストによれば、インターネットに公開されている管理インターフェースを悪用された可能性があるという。弱いパスワードや使い回しのパスワードを使い、管理者としてログインされた恐れがある。

 Wi-Fiゲートウエイを乗っ取った攻撃者は設定を変更し、攻撃者の管理下にあるDNSサーバーを参照させるようにする。Microsoft 365のログイン画面(login.microsoftonline.com)などにユーザーがアクセスしようとすると、攻撃者のシステムが偽のIPアドレスを返し、偽のログイン画面に誘導する。

 偽のログイン画面にユーザーがIDやパスワードといった認証情報を入力すると、それらは攻撃者に送られる。

5.KDDIが対話型AI「Buffmee」 情報の信頼性重視、幅広さとの両立が課題 (8.17 日経XTEC)
 KDDIは、新しい対話型AI(人工知能)サービス「Buffmee(バフミー)」の提供を開始した。特徴は出版社や専門メディアと連携し、信頼性の高い書籍や雑誌、Webメディアなどを情報源にしていることだ。幅広い情報を横断的に調べられるAIサービスに慣れた一般消費者に、どこまで響くだろうか。

 AIを活用した様々なサービスが急増している。そうした中、KDDIは2026年7月28日、米Google(グーグル)の「Google Cloud」のプラットフォームを用いた新しいAIサービスを開始した。スマートフォンアプリのBuffmeeである。

 対話型AIサービスであり、グーグルが提供する「Gemini Notebook」(旧NotebookLM)に近い仕組みである。ただ、Gemini Notebookはユーザーが用意したデータを情報源にするのに対して、Buffmeeは書籍や雑誌、Webメディアなどを基に回答する。

 Buffmeeを起動すると、出版社や専門メディアなどが提供する約150のコンテンツが表示される。それらの1つを選んで一般的なAIチャットツールと同じように質問すれば、選んだコンテンツの情報に基づいてAIが回答する。

 一般的なAIチャットなどは、Webサイトなど幅広い情報を基にしており、出所が一貫しておらず信頼性に欠ける場合がある。一方、Buffmeeはユーザーが選択したコンテンツを情報源とする。そのため信頼性の高い情報に基づく回答を得られるとしている。

 なぜKDDIは情報源にこだわるBuffmeeを提供したのだろうか。同社事業創造本部長の長谷川渡氏はその背景に、AIへの依存が高まることによる「デスキリング」の懸念があると話す。

 デスキリングとは、人間の思考や専門スキルが低下することだ。AIの急速な進化は高い利便性を提供すると同時に、様々な問題も引き起こしている。その代表例が、情報量の爆発的増加だ。生成AIにより情報が次々と生み出され、人間の処理能力の限界を超えてしまった。

 その結果、人間はAIに情報の選別を丸投げするようになり、AIが勧める情報だけに触れるようになる。そして考え方が偏ってしまったり、新しい出会いに気づく力が失われたりして、考える力が衰える恐れがあると長谷川氏は説明する。

 そこで、AIに作業を委ねることで得られる利便性と、人間が自分で考えることで培われる豊かさや成長を両立するために提供したのがBuffmeeだという。

 Buffmeeという名称は、ゲームで一時的に能力を上げる「Buff(バフ)」を自分(me)にかけることを意味している。AIの利便性と人間の成長の両立を意識していることが分かる。

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