週間情報通信ニュースインデックスno.1529 2026/6/13


1.AI時代の中核人材「RDE」育成に注力、米アクセンチュアCEOを独占取材 (6.12 日経XTEC)
AI(人工知能)が急速に進化することで「コンサル不要論」が広がりつつある。コンサルティング会社がこれまで提供していたサービスの一部をAIが代替できるようになるからだ。こうした状況に対応すべく、米Accenture(アクセンチュア)が、自らの変革を推進している。Julie Sweet(ジュリー・スウィート)会長兼CEO(最高経営責任者)が2026年6月12日までに日経クロステックの独占取材に応じ、その狙いと戦略を語った。

 アクセンチュアは2026年3月末、顧客企業の「再創造(Reinvention)パートナー」となることを掲げ、組織を再編。同社自身のあり方も「再創造」すべく体制の見直しや人員の最適化を進めている。特に注力するのが、「RDE(Reinvention Deployed Engineer)」と呼ぶ人材の育成だ。

 顧客企業に入り込み、システムを構築するエンジニアを指す「FDE(Forward Deployed Engineer)」と似た言葉だが、スウィート会長兼CEOによると、「異なる部分がある」という。

 スウィート会長兼CEOは、米OpenAI(オープンAI)や米Anthropic(アンソロピック)などが提供を進めるFDEは「技術に関するエキスパート」であるのに対し、「RDEは技術に加え、業界や業務プロセスを理解している人材だ」と強調。「AIを適用していくには、技術だけではなく業界や業務プロセスについて深く理解する必要がある。RDEはこの両者を併せ持つ」とした。

2.Mythos時代は「ループエンジニアリング」が不可欠、推論コスト爆発を防げ (6.12 日経XTEC)
「プロンプトエンジニアリングはもう古い。これからはコンテキストエンジニアリング」というコラムを筆者が書いたのは2025年10月のこと。それから半年強がたち、今度は「ループエンジニアリング(Loop Engineering)」が話題だ。2026年6月9日(米国時間)に登場した「Mythos級」の性能を有する「Claude Fable 5」を有効活用するには、同手法が欠かせないのだという。

 「私はもうClaudeにプロンプト(指示文)を与えていない。その代わりに『ループ』が稼働し、ループがClaudeにプロンプトを与えて、何をすべきか指示している。私の仕事はループを記述することになった。これが次のトランジション(移行)だ」。

 ここで言うループとは、AIエージェントに同じ作業を繰り返し行わせる(ループさせる)ことであり、「繰り返し作業を遂行させる仕組み」のこともループと呼ばれている。そしてこの仕組みを設計・開発することがループエンジニアリングである。

 より正確に言えば、エージェントコーディングにおけるループとは、(1)AIエージェントにソフトを開発させる、(2)そのソフトを別のAIエージェントに評価させて問題点を見つける、(3)問題点を改善した新しいソフトを元のAIエージェントに開発させる、という「改善ループ」のことである。

 ループエンジニアリングにおいて最も気をつけるべきことは、やはりコストだ。改善ループの回数を増やすと開発したソフトの品質は向上するが、当たり前のこととしてLLM(大規模言語モデル)の推論コストも増大する。特に改善ループを回すとLLMに投入されるコンテキストの量が増えるため、推論1回当たりのトークン消費も大きくなり、推論コストは倍々ゲームで増大することになる。

3.6Gは29年後半から、米国と韓国が主導(5.26 日経XTEC)
 英国の通信技術調査会社であるJuniper Researchの最新調査「6G Market 2026-2035」によると、最初の6G接続サービスは2029年に開始され、同年末の6G接続数は全世界で410万に達すると予測している。

初期の6G商用化を主導するのは米国と韓国で、提供開始時期は2029年後半になるとしている。これに続き、2030年内には、中国、カナダ、日本、英国、サウジアラビア、フランス、カタールの7カ国が6Gネットワークの運用を開始する可能性がある。ドイツ、インド、アラブ首長国連邦(UAE)なども、その開発と商業化において重要な役割を果たすとしている。

4.Claude Mythosでコスト爆発の恐れ、AIエージェントに潜む3つのリスクを解説(6.11 日経XTEC)
AI(人工知能)エージェントの能力がこの1年で急上昇し、あらゆる業務を自動化できるとの期待が高まっている。一方で先進的な企業ほどLLM(大規模言語モデル)の推論コストの爆発的な増加に悩み始めている。グランフロント大阪(大阪市)で開催中の「未来をつくるテクノロジー展 日経クロステックNEXT 関西 2026」の基調講演では、日経BP AI・データラボの中田敦所長が、AIの性能向上の裏に潜む3つのリスクを解説した。

 中田氏はまず、過去1年での変化の大きさを示した。Vibe Codingの提唱者であるアンドレイ・カルパシー氏は自身のコーディング作業の80%をエージェントに移行したと明かし、約20年のプログラミング経験の中でも「最大級の変化が、わずか数週間で起きた」と表現するほどだという。変化はコーディングにとどまらず、法務や財務、マーケティングといった業務の自動化にも広がっている。

 ただし中田氏は「実はLLM自体が賢くなったわけではない」と指摘。変わったのはLLMの「外側」だという。性能向上の要因として、LLMが使えるツールの種類が増えたことや、問題解決に必要なソフトをLLMが自ら開発できるようになったこと、LLMが試行錯誤を重ねて最適な手順を見いだせるようになったことを挙げた。

 AI活用の勘所も移り変わりが激しい。AIへの指示文を工夫する「プロンプトエンジニアリング」はもはや過去のものとなり、LLMに与える文書やツールといった情報を選別する「コンテキストエンジニアリング」、エージェントにどんなツールを使わせるのかを設計・制御する「ハーネスエンジニアリング」と、新しい潮流が次々と登場しているという。

 その最新形が「ループエンジニアリング」だ。AIエージェントがソフトを開発し、別のAIエージェントがそのソフトを評価して問題点を見つけ出す。その問題点をAIエージェントが改善する。こうしたソフトの「改善ループ」を高速に回す仕組みを設計・開発することの重要性が注目され始めている。

 こうした進化を踏まえた上で、中田氏はAIエージェントに「何でも任せてよいわけではない」と3つのリスクを挙げた。  まず挙げたのがコストの問題だ。AIの賢さの原動力は、推論時に試行錯誤を重ねるほど精度が上がる「テスト・タイム・スケーリング」にあると説明した。ループによる繰り返しも推論量を増やすため、性能を引き出そうとするほどトークン消費が膨らむ。「AIの賢さはお金次第」(中田氏)という構図だ。

 コスト爆発の例として中田氏が挙げたのが、アンソロピックの「Claude Mythos」である。米Palo Alto Networks(パロアルトネットワークス)が自社製品の脆弱性診断にMythosを使ったところ、短期間で100万ドル(約1億6000万円)以上のコストが発生したと米メディアのThe Informationが報じたことを紹介した。

 2つ目はセキュリティーリスクだ。米英豪など5カ国の機密情報共有グループ「ファイブアイズ」のリポートを取り上げ、乗っ取られたエージェントを起点に、連携する他のエージェントの権限が想定を超えた範囲で悪用される「スコープクリープ攻撃」などのリスクを紹介。エージェントに与える権限を最小限にすべきだと述べた。

 3つ目はミッションクリティカルな業務での「非決定論」問題だ。LLMは確率的に動くため同じ入力でも異なる結果を返すことがある。エネルギーや医療など1%のエラーも許容できない業界があり、こうした領域ではLLMへの依存度を慎重に見極めるべきだと中田氏は訴えた。

5.4G設備の影響を受けない「5G SA」、安定したサービス提供が可能に(6.10 日経XTEC)
5G SA(Standalone)とは、基地局と、コアと呼ばれる基幹網の両方を5Gの設備で構成する方式です。高速、低遅延、きめ細かな制御といった5G本来の特徴を生かしたサービスを展開しやすい仕組みです。

 携帯電話事業者各社は当初、NSA(Non-Standalone)と呼ぶ方式で5Gサービスを展開してきました。4Gと5Gの基地局を併用し、コアは4Gの設備を流用する仕組みで、早期に提供エリアを広げられる利点があります。

 ただし、NSAは4G設備の制約を受けます。例えば混雑時に4G側のデータ通信が遅れると、5G側でもデータの再送処理などが発生することがあります。そうすると5Gでもスループット(実効速度)が下がったり、遅延時間が増えたりしてしまいます。

 この点5G SAは4G設備の影響を受けないので、安定した5Gサービスを提供できます。事実、KDDIの5G SA対応エリアではスループット、遅延時間といった通信品質の改善が進んでいます。当社の5G SAの人口カバー率は2026年3月時点で90%に達しました。

 5G SAを象徴するサービスの1つがスライシングです。5Gのサービス網を論理的に分割し、分割した網単位で特定の用途に最適な通信品質をエンド・ツー・エンドで実現できます。混雑した環境でも通信を安定させやすくなります。

 実際にある放送事業者は、多数の観客で混雑する競技場から映像を安定して送る目的で、当社のスライシングサービスを使っています。

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