週間情報通信ニュースインデックスno.1528 2026/6/6


1.AIブームでもコンサルは絶好調、「伴走型」は劇薬であることを認識せよ (6.5 日経XTEC)
AI(人工知能)ブームの中でもIT系コンサルティング会社の業績が絶好調だ。「AI導入費を捻出するために、コンサルティング会社への支払いを減らす」のではなく、「AIを導入するためにコンサルティング会社への発注を増やす」となっているのが日本の現実だ。

 「今、新しい事業戦略を考えるのであれば、AI活用が不可欠だ。しかしユーザー企業の情報システム部門にAIを活用できる人材がいないので、外部のコンサルタントが戦略立案からAIの実装までを肩代わりしている」。あるシステムインテグレーターの社長は、日本のユーザー企業が置かれている状況をこう表現する。

 IT分野で最近主流のコンサルティングは「伴走型」などと呼ばれるが、コンサルタントが戦略立案やシステムの要件定義を担うだけでなく、コンサルティング会社のエンジニア(肩書はコンサルタント)がユーザー企業の現場に常駐し、システムの開発や導入、定着、運用までを肩代わりする。

 伴走型で生成AIを導入するのであれば、ユーザー企業の社内にAIを浸透させる「AI-CoE(Center of Excellence)組織」を常駐コンサルタントが運営。常駐コンサルタントがユーザー企業社内のバックオフィス部門をヒアリングして、AIによる業務効率化の「ユースケース」を収集したり、業務を効率化するプロンプト(指示文)を開発したり、プロンプトを社内で共有する仕組みをつくったりしてくれる。

 かつては、コンサルタントが担うのは戦略立案や要件定義までで、実際のシステム開発はユーザー企業と付き合いの深いシステムインテグレーターが請負契約で担っていた。しかし最近は、システムにまつわる全てを常駐コンサルタントが担うモデルが広がっている。

 ユーザー企業は伴走型コンサルティングが「劇薬」であることを正しく認識すべきだろう。AI活用のような新しいプロジェクトは本来、自社の従業員が経験を積んで成長するまたとない機会になるはずだ。その実務を常駐コンサルタントに全て委ねては、従業員の成長機会も失われてしまう。

2.日立がメインフレーム撤退へ、「VOS3」販売終了 地銀勘定系も転換点 (6.5 日経XTEC)
日立製作所はメインフレーム向けOS「VOS3(Virtual-storage Operating System 3)」の販売・保守を終了する。販売は2027年11月に、保守は2034年12月に終了する。2035年には実質的にメインフレーム事業の終焉(しゅうえん)を迎える。富士通製メインフレームの製造・販売の撤退に続き、日本のIT産業にとって重要な転換点となりそうだ。

 日立は2017年に当時販売していた大型のメインフレーム「AP8800E」を最後にハードウエアの開発を終了。以後は日本IBMからハードの提供を受ける形で販売を続けていた。 国産メインフレームを巡っては、富士通も2030年末に製造・販売を終了し、2035年度末に保守を終える方針を示している。なお日本IBMとNECは製造を継続している。

3.5Gコア通信網、中国以外で2桁成長 (5.19 日経XTEC)
米調査会社Dell'Oro Group(デローログループ)の最新リポートによると、2026年第1四半期の5G(第5世代移動通信システム)モバイルコアネットワーク(MCN)市場は、中国以外で2桁の成長率を記録した。

中国市場では5G導入以降で最大の落ち込みを記録した。北米と欧州、中東・アフリカ地域では2025年から継続して成長し、収益が20%増(前年同期比)となっている一方で、中国では通信投資の大幅な減少が見込まれている。

その理由として、今後も5G SA(Standalone)や5G-Advancedの導入、運用自動化が進むが、中国では既に5G SAに多額の投資が行われていることを挙げている。リポートでは、マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)市場についても触れ、中国が技術導入における中心的な存在になっているとしている。

4.AI検索とWeb検索、使い分けるのが時短への道(6.5 日経XTEC)
生成AI(人工知能)の普及によって、インターネット検索の常識が変わりつつある。これまでは、Web検索が主流だった。現在は、質問すると答えをまとめて返してくれるAI検索が急速に広がりつつある。生成AIに慣れた人の中には、すでにWeb検索をほとんど使わず、AIだけで調べ物を済ませる人も急増しているという。20代の約5割がWeb検索を使わずAIで調べ物をする、という調査結果もあるほどだ。

 AI検索は知りたいことをそのままAIに尋ねればよい。AIが持っている知識だけでなく、AIが自らWeb検索し、集めてきた複数の情報を整理し、要点をまとめた答えを返す。最近は、Google検索にも「AIモード」と呼ぶAI検索が追加されている。Web検索から、質問して答えを得るAI検索に変わり始めている。

 AI検索は、調べ物の手間を大幅に減らせる便利な仕組みだ。だが、現状では完璧な道具ではない。AI検索とWeb検索を適切に使い分けることが、これからのインターネット活用で欠かせないスキルになりそうだ。

5.AI時代でもSIerは人月商売、老朽システムで「浦島太郎」となる技術者の悲惨 (6.1 日経XTEC)
人月商売の親玉であるSIerには、生成AI(人工知能)がプログラムをつくる時代になりつつあるのに、当分の間は食っていけるとたかをくくっている経営者が多い。つい最近も「生成AIが普及しても当面、基幹システムなどのモダナイゼーションの仕事が十分にある」と某大手SIerの経営者が言っていた。確かに現実問題としてはそうなんだ。ただし、これって安心材料ではないからな。特にSIerをはじめとする人月商売の技術者は「浦島太郎」になる恐れもあるぞ。

 日本企業に多数残る老朽システム、特に構築して20〜30年、場合によっては40年近くが経過した基幹システムは技術的負債だ。日本企業がこれからの生成AI時代を生き残っていく上で大きな制約となる。なんせ老朽システムが抱え込んでいるデータを生成AIが活用できないからね。なので、基幹システムなどを刷新することでデータ活用基盤を整え、そうしたデータを学習した生成AIを活用することによって、業務の効率化や生産性の向上につなげたいという企業は多い。

 いきなり脱線するけど、多くの企業がこうした取り組みをDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼んでいる。本当に困ったものだ。基幹システムの刷新では、業務変革に取り組まず単にモダナイゼーションするだけ。そしてデータ活用基盤を整えたら、あとは業務部門のほうで生成AIを活用してデータを分析したり、業務プログラムを「市民開発」したりしてくれと言う。これって前回の「極言暴論」で書いた通り、DXなんてものではなくDTK(デジタル・タコツボ・カイゼン)に過ぎないからな。

ホームページへ