週間情報通信ニュースインデックスno.1460 2025/1/11


1.無料で使える3つの生成AIサービス、ChatGPT・Copilot・Geminiはどう違う?(1.10 日経XTEC)
多くの生成AIサービスが提供されているが、中でも代表的なものは「ChatGPT」「Copilot」「Gemini」の3つ。いずれも無料で利用でき、生成AIを手軽に始められる。これら、3大生成AIサービスの特徴を紹介していこう。

 まずは、生成AIブームの火付け役となったChatGPT。米OpenAIが開発・提供している生成AIで、ほかのさまざまなサービスでも、このAIモデルが採用されている。無料ではテキストデータの処理に特化した「GPT-4o mini」が利用でき、ファイルのアップロードや画像の生成などは、使用回数が制限される。

 2つめは、米マイクロソフトが提供しているCopilot。AIモデルには「GPT-4o」を採用しており、AI処理のパーマンスはChatGPTと同等だが、無料でも画像生成の回数制限がない。イラストを作成したい場合は、Copilotを使うとよいだろう。Windows 11に搭載されるアプリに加え、オンラインで提供するWeb版、Webブラウザーの「Edge」に組み込まれたバージョンの3種類があり、いずれも無料で利用可能だ。なお、有料版では、「Excel」や「Word」といったOfficeアプリと連携可能で、書類の作成やデータの分析などをシームレスに利用できる。

 最後は、米グーグルが提供しているGemini。AIモデルは同社の独自開発で、イラストなどクリエーティブ系の作業が得意とされる。拡張機能で、「Googleマップ」や「YouTube」「Gmail」など、同社が提供しているサービスと連携可能だ。

2.Ericsson、セメント工場に5G SAプライベート通信を導入(12.17 日経XTEC)
 スウェーデンEricsson(エリクソン)と英Vodafone(ボーダフォン)は、ポルトガルの大手セメント会社CIMPORの工場に、同国初とする5G(第5世代移動通信システム)SA(スタンドアロン)プライベートネットワークを導入した。

130年前から稼働するポルトガル最古のセメント工場に最先端の通信環境と自動化技術を導入することで、構内設備の監視・保守業務の効率化、費用最適化を目指す。既に、1万個のIoT(モノのインターネット)センサーと高解像度無線カメラを使った機械類の監視、ドローンによる検査、スマートグラスを使った遠隔操作、デジタルツインを活用した設備の可視化などの運用を開始した。これらにより年間約14万トンの二酸化炭素(CO2)排出削減も可能になるという。

3.生成AI業務活用の2025年を予測、AIエージェントは浸透しRAGには競合が台頭(1.9 日経XTEC)
2025年は生成AI(人工知能)の業務活用がさらに加速する。導入が先行するシステム開発現場では、適用範囲が従来のコーディングから、設計やテスト、運用へと広がる。業務システム領域では、生成AIが社内データを参照するRAG(検索拡張生成)の普及が本格化する一方で、そのライバルも台頭しそうだ。

 「エンジニア個人の補助に生成AIが威力を発揮することは証明された。次は組織としての開発生産性を考える段階だ」。生成AIを搭載したソフトウエア開発プラットフォームを手掛けるJiteraの沼田洋太取締役COO(最高執行責任者)はそう語る。

4.地球の裏側からWi-Fiで社内ネットワークに侵入、世界初「最近接攻撃」の脅威(1.8 日経XTEC)
社内ネットワークへの接続方法として、社外からのインターネット経由と社内からの無線LAN(Wi-Fi)経由の両方を用意している企業は多いだろう。そのような環境では、当然インターネットからのアクセスに警戒する必要がある。攻撃者は地球の裏側からでも社内ネットワークの「入り口」まで行けるからだ。

 一方、Wi-Fiの電波はそれほど届かないので、Wi-Fi経由のほうが安全といえるだろう。攻撃者は企業内に設置されたアクセスポイントに物理的に近づかなければならない。

 このため、インターネット経由のアクセスには多要素認証(MFA)を用いるなどしてセキュリティーを高めていても、Wi-Fi経由ではパスワードだけでユーザーを認証している企業は少なくないと考えられる。

 だが油断は禁物だ。遠く離れた場所から、Wi-Fi経由で社内システムに不正侵入するサイバー攻撃が実際に確認された。「Nearest Neighbor Attack(最近接攻撃)」と名付けられた、世界初とされるこの攻撃。一体、どのような攻撃なのだろうか。

 現在では、ほとんどの組織がWi-Fiを導入している。そこで攻撃者はWi-Fi経由で組織Aのネットワークに侵入することを試みた。とはいえ、組織Aのアクセスポイントに接続するには、物理的に近づく必要がある。Wi-Fiの電波が届く距離は50〜100m程度といわれている。

 ところが、地球の反対側にいる攻撃者でもWi-Fi経由で侵入できることが今回示された。攻撃対象に近接する別組織のネットワークを踏み台にするのだ。「最近接」の名称はここから来ている。

 攻撃者は、組織Aが入っている建物のすぐ近くの建物に入居する組織Bを狙った。攻撃者はまず、組織BのVPN経由でネットワークに侵入した。組織BのVPNサーバーにはMFAは実装されていなかったという。侵入後ネットワーク内を移動し、Wi-Fiが有効な端末を見つけて乗っ取った。

 そしてその端末から、組織Aのアクセスポイントに接続した。接続時には、パスワードスプレー攻撃で入手したパスワードを使用できたという。

5.50歳超えの大ベテラン「イーサネット」、生成AI時代でますます重要な存在に(1.7 日経XTEC)
生成AI(人工知能)の技術革新が急速に進んでいる。最近では、特定のタスクを実施する「AIエージェント」を複数束ねて、互いに協力させて作業を自動化する「マルチAIエージェント」に注目が集まっている。人間の代わりにAIが日常の業務をこなす日もそう遠くないだろう。

 ただしAIの開発や運用には、様々な課題が生じているのも事実だ。その1つがGPU(画像処理半導体)の価格高騰である。AIの推論や学習に使うGPUサーバーは、RDMA(Remote Direct Memory Access)という技術を用いて相互に接続している。大量のGPUをまとめて1つのGPUサーバーとして使い、大量のデータを高速に処理する。

 AI開発の基盤であるGPUを無駄なく使いたいという利用者は多い。そんな願いを実現するために、誕生から50年以上経過したイーサネットを使おうという議論が進んでいる。

 イーサネットという言葉が生まれたのは1973年。実はイーサネットの源流は、米ハワイ州にある。ハワイ州の島々を結ぶ無線ネットワーク「ALOHAnet」をベースに、米Xerox(ゼロックス)の技術者が「実験イーサネット」を開発した。その後、ゼロックスは米Intel(インテル)と米Digital Equipment(ディジタル・イクイップメント)とコンソーシアムを設立し、イーサネットの規格策定を進めた。

 筆者はイーサネットの仕組みや進化の歴史についてまとめたが、驚いたのは伝送速度の高速化だ。イーサネットという言葉が生まれた翌年の1974年に測定した「実験イーサネット」(伝送速度は2.94Mbps)と、2024年12月末時点でIEEE(アイトリプルイー、米国電気電子学会)により標準化されているイーサネット規格「800GBASE-SR8」(伝送速度は800Gbps)を比べると、イーサネットは約50年で実に27万倍以上も速くなっている。

 イーサネットは誕生当時とは比べものにならないほど高速化しているが、実はさらなる高速化が待っている。2026年には、800Gbpsよりもさらに2倍速い、1.6Tbpsを実現する規格「1.6TBASE-CR8」などが標準化される見込みだ。

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