タイトル | 1ポンドの福音 −小羊どもの夢のあと− |
内容(参照) | 「1ポンドの福音<ヤングサンデーコミックス> 1」より |
初出掲載誌 | ヤングサンデー 1988年16号〜19号 |
発行元 | 小学館 |
単行本 | 1ポンドの福音<ヤングサンデーコミックス> 1 |
<解説>
この作品は、耕作が初めて減量をせずに(むしろ、より太って)戦ったという点がまず特徴だが、これによって減量苦とは無縁となった耕作が「ひとりでがんばれます!(シスターの助けはいらない。)」と明言したことで、シスターアンジェラが淋しさを感じるというところこがいちばんのポイントと言えるだろう。
この図式は、「めぞん一刻」の「閉じられた扉」のラスト付近で響子が涙をこぼした展開と同様のかたちで、これによってシスターアンジェラの心の中に耕作への想いが芽生えつつあることが表現されており、若干のストーリーの進展を示したものとなっている。この作品のラストで、耕作が再び減量を始めることを宣言したときのシスターアンジェラのうれしそうな表情は、実に印象的だった。
さて、「夢の終わり」の解説でも触れたが、この作品のサブタイトルにも「夢」という言葉が出てくる。しかも、「夢の終わり」に呼応するかのように「夢のあと」だ。
内容としても、いつまでもボクシングに夢を追い続けている鬼丸(「鬼」の字が使われているところがまた意味深なのだが)にボクシングをあきらめさせる、すなわち、夢から目覚めさせる話となっている。
好きなボクシングに夢を見続ける気持はわかるけど、もうすぐ子供も生まれることだし、そろそろ生活という現実を見つめてもらわないと困るというのが、鬼丸の妻の言い分なわけだが、ここでそのターニングポイントとなるのが「子供」、すなわち、新しい生命となっているところがまた意味深と言えよう。