タイトル | 闇をかけるまなざし |
内容(参照) | 「高橋留美子傑作短編集 2」より |
初出掲載誌 | 週刊少年サンデー 1982年真夏の増刊号(8月号) |
発行元 | 小学館 |
単行本 | るーみっくわーるど 1 高橋留美子傑作短編集 2 |
<解説>
初のシリアス作品だが、当時は高橋先生がシリアスな作品を描くことに対して強い批判の声も上がった。しかし、冒頭とラストのト書き部分など、ドラマチックな構成には力が入っており、以前からこのような作品を描いてみたかったのだという意欲がにじみ出ているように感じられる。
特に、ピーピングトムの配し方はうまい。また、欲しいものを手に入れるために、邪魔なものを排除しようとする瞳は、「笑う標的」の梓や「人魚の傷」の真人に通じるものがある。しかし、ただ郁美を死の道連れにしたかっただけなのか?その辺の真意は謎のままだ。ト書きの言葉どおり、本当に何が欲しかったのか…?
この終わり方は、若干、中途半端とも思えるが、問いかけのかたちで終わっているところに奥深さも感じる。実際、このト書きの言葉はそれ自体、かなり意味深と言える。それはそのまま作者自身に当てはめることができるからだ。
これは邪推かもしれないが、「ふうふ」から「笑えヘルプマン」にかけて見られた、ある種の抑圧に対する解放欲求のようなものの中には、こうしたシリアスな作品を描きたいという欲求も含まれていたのではないか?この作品を読むと、そんな気もしてくるのだ。