タイトル | 1ポンドの福音 −聖夜に泣く小羊− |
内容(参照) | 「1ポンドの福音<ヤングサンデーコミックス> 3」より |
初出掲載誌 | ヤングサンデー 1992年23号、24号 |
発行元 | 小学館 |
単行本 | 1ポンドの福音<ヤングサンデーコミックス> 3 |
<解説>
この作品から、いよいよ耕作は8回戦に上がる。メキシコのボクサー、タコス八郎との対戦だ。この作品のいちばんのポイントとなるのは、やはりタコス八郎の腹に彫られたマリア様の入れ墨であろう。一種の踏み絵のような展開だ。
確かに信仰心が強ければ、そうしたものを殴ったり踏みつけたりすることは許せないかもしれない。しかし、腹に彫られた入れ墨はマリア様そのものなのだろうか?単なる入れ墨に過ぎないのではないか?これを殴るなと言うことは、いわゆる偶像崇拝に当たると言えるのではないだろうか?
それを耕作はあえて殴った。ボクシングなんだから、マリア様じゃなくてボディなんだからと…。これは、やはり偶像崇拝的なものを否定する展開に他ならないだろう。
「1ポンドの福音シリーズ」に対して日本のクリスチャンのるーみっくファンの中に、嫌悪感を抱いている人たちがいたことは、「まな板の上の小羊」の解説でも触れたが、実際、ボクシング関係者やキリスト教関係者からクレームもあったらしい。それと直接関係があるかどうかは別としても、この偶像崇拝を否定するような展開は意味深と言える。
この偶像崇拝の図式は、何も宗教にかぎったことではない。漫画やアニメの好きな作品、好きなキャラ、好きな作家などに対して絶対不可侵的な態度をとる人々などにも見られるものだ。そういうことを考えるとタコス八郎の腹の入れ墨がマリア様でなく、ラムちゃんだったらどうなるのかという人の悪い想像をしてしまったりするのだが、さて…。