タイトル | 人魚は笑わない |
内容(参照) | 「るーみっくわーるどスペシャル 人魚の森」より |
初出掲載誌 | 週刊少年サンデー 1984年真夏の増刊号(8月号)、 秋の増刊号(9月号) |
発行元 | 小学館 |
単行本 | るーみっくわーるどスペシャル 人魚の森 |
<解説>
「人魚シリーズ」の第1作にあたることは言うまでもないが、「シリーズ」の中でも強烈な印象を放つ1作と言える。特に、真魚が「私は生きる!殺されてたまるか!」と叫ぶシーンは、この作品の中でも重要な位置を占める。湧太が死ぬことのために人魚に会おうとしていたのとは、実に対照的な言動だ。
そして、生きようという強い意志を持つ真魚の存在が、結果的として湧太に、これからどのくらいあるかわからない長い人生を生きて行こうという気を起こさせることになる。
不老不死。いつまでも若い姿のままで、一旦死んでもまた生き返ってしまう。これで終わったと思っても、生き返ることを要求される湧太…。その立場は、よく考えると人気漫画家になってしまった高橋先生の立場とダブるものがある。
1つの作品を終わらせても、再びヒット作を引っさげての登場を要求される宿命…。人気絶頂のこの時期に、そのようなことを考えていたかどうか不明だが、対応としてそういう見方をすると面白いものがある。
結局、真魚というパートナーを得て、湧太は生きて行くことに希望を見出す。これを高橋先生に当てはめるならば、何度でも生き返ることを要求される人気漫画家としての長い道のりを歩いて行く決心をしたというかたちになる。だとしたら、高橋先生にとっての真魚とは何だったのだろう?興味深い話になってくる。(笑)
尚、単行本「るーみっくわーるどスペシャル 人魚の森」で、前編の見開き扉絵に続く、海岸近くの道を歩く湧太が描かれたカラーページは、絵柄から見てもすぐにわかるが、単行本収録時の描き下ろしである。