タイトル | めぞん一刻 |
内容(参照) | 「ビッグコミックスピリッツ 1982年11月30日号」より |
初出掲載誌 | ピッグコミックスピリッツ 創刊号〜1987年19号 ビッグコミックスピリッツ 1983年8月20日増刊号<番外編> |
発行元 | 小学館 |
単行本 | めぞん一刻<スピリッツコミックス> 1〜15 めぞん一刻<ワイド版> 1〜10 めぞん一刻<小学館文庫> 1〜10 めぞん一刻総集編1〜 |
<解説>
もともと、ボロアパートを舞台にした人情喜劇にしようと思っていたのが、いきなり路線変更! 五代と響子を中心にしたラブコメとなり、終盤に至っては、トレンディ・ドラマの先駆けとも言うべき展開を見せるまでに成長した。
しかし、代表作でありながら、るーみっく作品としては他にあまり類を見ない異色の存在と言える。強いて挙げるならば、似たような流れをたどる可能性があるものとして「1ポンドの福音」があるが、印象的には大分趣きを異にする。
初出掲載時と単行本との違いはいくつかあるが、中でも大きいのは第116話「めまい」(スピリッツコミックス第11集、ワイド版、小学館文庫版第8集)の1シーンであろう。
ケーキの出し合いのあと、八神から「…本当は五代先生のこと好きなんでしょ。」と突っ込まれ、無言で5号室を出て行った響子…。追いかける五代…。階段の下で響子が振り返った瞬間の1ページまるまる使ったカットの響子の方の絵が、単行本収録時に完全に描き直されているのだ。
初出掲載時は、髪の肩へのかかり具合が違い、頭のうしろに「くる…」という擬音も挿入されている。が、何といっても表情がまったく違っている。目の焦点がボケた感じで、緊迫感にやや欠けると言える。しかし、動揺と困惑がこのときの響子にあったのではないかと考えると、初出掲載時のうつろな感じの表情も捨て難い。
ただ、あえて描き直しをしたということは、高橋留美子先生としては初出掲載時の絵が気に入らなかったということなのだろう。
また、細かい話だが、第46話「願ひ事かなふ」(スピリッツコミックス第5集、ワイド版、小学館文庫版第3集)の見開き扉絵のバックのトーンが初出掲載時、スピリッツコミックス、ワイド版それぞれに違っている。(小学館文庫版はワイド版と同じ。)
スピリッツコミックスのものは完全にトーンの柄が違う。初出掲載時とワイド版は柄自体は同じなのだが、柄の向きと大きさの比率が違っている。恐らく、元原稿にはトーンがなく、版下作成時にトーンを加えているからなのだろう。
さらに、「白百合女子大」だった九条明日菜の出身大学が、小学館文庫版では「白バラ女子大」に変えられている。「白百合」は実在するので、配慮した結果であろうが、なぜ、いまさらなのかは謎だ…。
尚、初出掲載誌について、上の掲載誌欄では、第1話掲載号〜最終話掲載号の範囲のみで示してあるが、詳細は以下のとおりである。
<本編>
・1980年10月号(創刊号)〜1986年15号
・1986年17号〜1986年41号(隔週・奇数号のみ掲載)
・1987年3・4合併号〜19号
<番外編>
・1983年8月20日増刊号