タイトル | Lサイズの幸福 |
内容(参照) | 「高橋留美子傑作集 Pの悲劇」より |
初出掲載誌 | ビッグコミックオリジナル 1990年2号 |
発行元 | 小学館 |
単行本 | 高橋留美子傑作集 Pの悲劇 |
<解説>
「鉢の中」に続くビッグコミックオリジナルへの作品だが、かなり内容的には明るさが戻っており、休養後、やはり大分ふっきれたものがあるような印象を受ける。
この作品に出てくる座敷童子は、設定としてもキャラデザイン的にも面白かった。この座敷童子にことごとく邪魔されて、望んでいた家の購入がうまく進まないばかりか、義母との関係も悪化して、それこそノイローゼになりそうな最悪の状態に陥ってしまった華子さんの設定は、またしてもちょっと象徴的で意味深だ。
しかし、この座敷童子は危険を知らせるために、華子さんを導いていたのだ。これをまた作者とファンの関係に移し替えてみると、ファンの批判や指摘は、実は自分のためにしてくれてるものなんだとある程度割り切れたんじゃないかというようにも見える。
座敷童子の真意がわかった華子さんには、その後、座敷童子の姿は見えなくなる。でも、いつも熱心に家を守ってくれていることを知っている。見た目にはささやかな幸せと思えるのだが、高橋先生にとってみると、いつも熱心に自分を支えてくれているファンがいるという実感は、Lサイズの幸福と言えるのだろう。