タイトル | ハッピー・トーク |
内容(参照) | 「ビッグコミックスピリッツ 1984年8月20日増刊号」より |
初出掲載誌 | ビッグコミックスピリッツ 1984年8月20日増刊号 |
発行元 | 小学館 |
単行本 | 【るーみっくわーるど】高橋留美子短編集 1orW |
<解説>
クラスのみんなからカンパを募っての日菜子の母親探しは、とんだ結末となってしまうが、その代わりに大切なものを手に入れることができた…、というわけで、ハートウォーミング路線などと呼ばれて、当時はそこそこ好評だったようだ。が、しかし、高橋留美子先生自身はこの作品を大変嫌っていた(悔やんでいた)ようである。
翌、1985年の平井和正氏との対談(「続熱愛時代」)の中で、作品名こそ明らかにしなかったが、この1984年に駄作を描いてしまったと語っている。そのタイトルを耳元でささやかれたら、5分くらいは身をよじってるとか、持って逃げたかった、どこか人気のないところで焼却して…、とまで(笑いまじりではあるが)言うほどの痛恨の1作であったらしい。
1984年の作品は、読み切りではこのほかに「われら顔面仲間」と「人魚は笑わない」のみである。「人魚」を気に入っていないはずはないし、対談の中で語っていた「20何ページ」というページ数からしても、「人魚」でないことは確かだ。
残る2作のうち、「われら顔面仲間」がすぐに単行本に収録されたのに対して、「ハッピー・トーク」は長い間未収録のままだったという事実から考えれば、この痛恨の1作とは、恐らく「ハッピー・トーク」のことなのであろう。
描いているうちに、作品の方向性や焦点を見失い、自分が何を描こうとしていたのかわからなくなってしまったという話で、思い入れのあったキャラをうまく動かしてやれずに、キャラ殺してしまったという後悔の念が強かったからのようだ。