タイトル 黄金の貧乏神
内容(参照)
「高橋留美子傑作短編集 1」より
初出掲載誌 週刊少年サンデー 1978年夏休み増刊号第2弾(9月号)
発行元 小学館
単行本 るーみっくわーるど 2
高橋留美子傑作短編集 1


<解説>

 強引な設定、ズレた倫理観とそれを無理やり正当化してしまう強弁など、初期作品の特徴が凝縮されている作品と言える。本来、福の神である七福神が貧乏で、やたらとヤクザっぽかったりするなど、既成概念を覆す設定はお得意のパターンだが、ここに至るとかなり磨きもかかってきて、作品全体に大分安定感が出てきている。

 さて、この作品は初出掲載時と単行本収録時とで、数箇所台詞の異なっている部分がある。詳細は以下のとおりである。


該当する台詞
初出掲載時 単行本収録時
11ページ目、5コマ目の布袋の台詞
「わ−ははは、さては弁天に襲われよったな!」 「わーはははさては弁天に襲われおったな!」
同ページ、6コマ目の布袋の台詞
「あいつは色情狂で若い男が好きじゃからのう…わはは
は!」
「あいつはむちゃくちゃ若い男が好きじゃからのう…わ
ははは!」
同ページ、7コマ目の栄の台詞
「ちくしょう!なにがわはははだ!あの露出狂!」 「ちくしょうなにがわはははだ、腹のバケモノ!!」
12ページ目、6コマ目の栄の台詞
「頭が狂ってしまう……」 「あ、頭が……」
19ページ目、1コマ目の最初の台詞
「この扉も頭取の私の声音による暗号以外では開きませ
ん!!」
「この扉も頭取の私の音声による暗号以外では開きませ
ん!!」


 (その他、ふりがなや漢字が異なっているものがあるが、意味的には変わらないので省略する。)

 尚、この作品には、「幸福合成体」というタイトルの習作が存在する。

同人誌「けも・こびる」(銀嶺荘舎)より

 作品の内容(ストーリー、絵)にはほとんど変わりがない。ほぼ全編に渡って背景などの描き込みが粗いくらいで、間違いさがしに近いレベルの相違でしかないが、ラスト(オチ)だけが大きく異なっている。上のように「幸福合成体」では七福神たちの勘違いの恩返しだけで終わっているが、これではオチとして弱い。結局、冒頭の状況に戻ってしまう「黄金の貧乏神」の方がやはり漫画として完成されており、リメイクは成功だったと言えるだろう。

「幸福合成体」
同人誌「けも・こびる」(銀嶺荘舎)より
「黄金の貧乏神」
「高橋留美子傑作短編集 1」(小学館)より


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