小型水力発電の研究        

2008.11.16

 

 

ビデオは最下段にあります

 

孫の2008年夏季自由研究テーマとして水力発電を取り上げ、一緒に製作、実験をしましたので紹介します。

1.研究の目的

化石燃料の使用は温暖化ガス(CO2)の増加をもたらす。また化石燃料資源は有限であり、特に石油の可採埋蔵量は43年と言われている(資源エネルギー庁資料)。化石燃料に代わる代替エネルギーとして、太陽光発電や風力発電が期待されているが、それぞれデメリットがある。太陽光発電は夜間や曇り、雨の日は発電できない。風力発電は風がないときは発電できない。一方水力発電は水が利用できる場所に限定されるが、水がある限り発電に利用できる。

この研究は小型の水力発電についてその仕組みを理解し、問題点を掌握することを目的とする。

2.      試作装置の概要

長野県白馬の山小屋の横に小さな川が流れている、昨年の11月にそこを訪れ、この川を利用して発電をしようと考えた。

(1)   水車の構造

直径56cmの木製の円盤に羽を8枚取り付け、その軸に中古の電動自転車のモーターを取り付け、発電機として利用することにした。その製作過程と外観を写真12に示す。またその寸法図面を図1に示す。

写真1 合板を用いている

写真2 ほぼ完成した水車

 

1 水車部寸法図

 

(2)発電機仕様

出力が約400wの直流モーターで減速比5:1の遊星歯車が内蔵されている。これを発電機として流用。発電出力も直流となる。外観を写真3に示す。

写真3 中央の円筒形が発電機

 

 

(3)発電電力測定装置

写真4に発電電力測定装置を示す。発電電力は直流電圧計と電流計を用い、P=VIで計算した。負荷にはニクロム線を用いた。

写真4

 

3.動作テスト

山小屋横の川でのテストは水を引き込む工事が大変なので、近くの川の堤防の流水を利用することとした。テスト状況を写真5,6,7,8に示す。

写真5 落差は約1.5

写真6 勢い良く回転している

 

写真7 水車正面

写真8 水の取り入れ口

 

水車には高低差約1,5mの位置より口径10cmの塩ビパイプで水を供給した。予想とおり水車は勢い良く回転した。テスト条件および測定データを表1に示す。

項目

測定値

備考

落差

1,5m

 

パイプ径

10cm

塩ビパイプ

流量

0.01m3sec

推定値 別途測定予定

水車の回転数

125RPM

反射型回転計で測定

発電機の回転数

625RPM

増速比1:5

発電電圧(VDC

4,0

 

負荷電流(ADC

3,0

 

発電電力(W

12

 

表1

4.考察

4−1理論発電量

落差:h(m)・・・・・・1.5

流量:V(m3/sec)・・・・・・0.01m3sec

水の比重:1

流量に相当する水の重量:m(g)

重力加速度:g(9.8m/sec2)

とした場合の理論発電量Pは次の式で与えられる。

P(kw)=mgh(位置のエネルギー)Vgh

 

今回のテストをこの式に入れると

P=0.01×9.8×1.50.147kw147w

 

発電効率が100%であれば147wの電力が得られる。しかし実際には12wと非常に小さい。

今回の効率=8.16%

効率の改善が必要である。

4−2効率が低い原因の追究

(1)水車に流れ込む水のエネルギーを充分に利用できていない。

水車の羽と底板の隙間が大きすぎる。

水車の側板と側壁との隙間が大きすぎる。

水車の羽の上部から水が逃げる。

(2)中古の電動自転車のモーターを発電機に流用したため、発電機としての性能が充分掴めていない。625RPMでは回転数が低すぎる。この発電機では20003000RPMが必要と思われる。ギアなどで増速すると損失が増加するので、低回転で充分な出力が得られる発電機が必要。

5.今後の計画

(1)水車の改良(〜2009年)

(2)発電機の改良(〜2009年 アウターローター型発電機の検討)

3山小屋横の川への設置(20098月予定)

写真9 山小屋横の川 落差をとるのが課題

 

2008.8.31

あそびのアイデアへ