昨年に続き孫と共同研究を行ないました。
1.研究の目的
化石燃料を使わないクリーンなエネルギーの有効利用が今、世界的に注目されている。それらにはソーラー発電、小型水力発電、風力発電などがある。この内、風力発電は風の力で風車を回し、これに発電機を接続して発電する。小型水力発電も水の持つエネルギーで水車を回し、発電機を接続して発電する。両者とも発電機は重要なコンポーネントである。
昨年(2008年)は小型水力発電の研究を行なった。そこでは電動自転車に使われているモーターを発電機に流用したが、研究を通して高性能(小型、高効率)な発電機の必要性を強く感じ、本年(2009年)は独自に高性能磁石(ネオジム)を用いたコアレス発電機の開発を行なったので報告する。
2.研究内容の要約
最近の磁石を用いた発電機は3相交流発電機が主で、発電出力を全波整流して直流とし、インバータで50/60Hzの電力を得ているが、この研究では、コアレス構造を採用することでコギング(Cogging)の発生がないため、あえて単相発電機にチャレンジした。構成は磁石12組(サンドイッチ構造で磁石数合計24個)、空芯コイル12個の12極の単相交流発電機である。
昨年製作の水車は、テスト結果出力不足(目標は100W以上)が判明し、別途更に大型の水車を製作する計画である。発電機については、自転車構造のトレーニングマシーンを改造し、これに接続して発電量が目視(白熱電球)で判断できるように構成(人間発電機)した。また、3.7KVAの三相交流モーターを駆動源とし、発電機の基本特性を測定した。
3.研究結果要約
(1)コアレス構造としたため、コギングが殆ど発生しないことを確認した。
(2)500RPMで64W(50Hz)、600RPMで85W(60Hz)、1000RPMで228W(100Hz)、1500RPMで457W(150Hz)の発電を達成した。ただしこれはmax値ではなく、更に負荷を加えれば増加する。後記の特性表を参照されたい。
(3)コアレスのため鉄損は殆どないものと推察される。従って効率は少なくとも90%以上(増速機は除く)と思われる。別途測定を計画する。
(4)ベルトおよびギアによる増速装置(ギア増速比1:3)を試作したが、ギア増速ではギア鳴りが大きく、動力伝達効率も悪く改善が必要と感じた。
(5)手作りのため精度が出ず、磁石とコイルとのギャップ寸法が約0.8mm+0.8mmと大きい。このギャップ寸法を0.4mm+0.4mm程度に出来れば、更に出力を増やすことが出来ると推察される。
(6)成果要約として、コストは別途として性能的には充分実用できる発電機が出来たと考えている。
4.試作の内容
4-1 発電機の構造
写真-1に開発した単相発電機の構成を示す。
|