“miracle”
JBAN Convention 18th
第18回ジャパン・バルーン・アーティスツ・ネットワーク・コンベンション

14.8.4〜8.7 東京・ホテルイースト21
主催:Japan Balloon Artists Network
※公式サイトはこちら


18回目を迎えたJBANコンベンション。今年のテーマは「ミラクル」(奇跡)。8年前の第10回「Magical Wonderland」に近いイメージかな。暑い夏にバルーンでどんな奇跡が起こるのだろうか。それではスタート。

1日目 (8.4)
初日はコンテストラージスカルプチャー部門制作のみ。テーマ「ミラクル」、制作時間15時間、サイズ3,000(W)×3,000(D)×5,000(H)mm 以内、制作人数10名までとなっている。9組の参加。昨年の7組だったが、今年は増えているためややスケールダウンしているのが分かる。

2日目 (8.5)
今年の夏は猛暑だ。この日も朝から日差しが厳しい。でも夏が大好きだよ。JBANコンベンション会場としてすっかりお馴染みになったホテルイースト21。3Fの総合受付へ向かう。ロビーや通路にはバルーンデコレーションが飾られている。
まず受付。今回の受付番号は8。エントリーパスと投票券、ノベルティ引き換え券などを受け取る。この券は窓口でオリジナルTシャツと引き換えてもらえる。他にもオリジナルバッヂ、トートバッグに加え、今回は「THE HISTORY OF JBAN CONVENTION」というDVDも付いてくる。これは予想外のサプライズ。思い出がたくさん詰まってそう。
受付前のボードには「パーティー完売しました」と大きく書かれている。ファイナルパーティーへの期待は大きい。

最初のクラスはイブ・アントネッロさん・シルビア・サントスさんの新感覚デザインで今年度シーズンを盛り上げましょう!。ブラジル出身、現在はフロリダ在住のお二方だ。各種デコレーションの説明に続いて、今回はハロウィン向けの作品としてかぼちゃとそれを握る怪物の手のオブジェを作る。
まず手の部分。260Qをピンチツイストして関節を作り、4本結んで指の形を作る。親指は別に作って後から加える。
続いてかぼちゃ。321Qを4本束ね、周囲を160Qで囲んでかぼちゃっぽい形にする。緑の160Qで葉っぱを付ける。でき上がったかぼちゃを怪物の手に持たせて完成。

受け付けの周囲にはコンテストコスチューム部門の作品が展示されている。テーマ「ミラクル」、制作時間は制限なし (完成品の持ち込み)、サイズ1,600(W)×1,600(D)×1,800(H)mm以内、移動できる作品となっている。制作人数については特に記述がない。8組の参加。

次のクラスは、松村信顕さんのミラクルなデコレーションの前に基本を学ぶ。説明主体のクラス。各種材料の説明や、ホームセンター等で簡単に入手できバルーンデコレーション用としても意外と使える資材の説明など。最後にみんなで特殊効果の実演。16インチクリアの中に5インチハートを3個入れ、カウントダウンで一斉に割ってみる。

2日目最後のクラスは、イブ・アントネッロさん・シルビア・サントスさんのアーチとコラムの再発明。説明のみのクラス。パイオニア社から発売されているアーチ・コラム用の資材を使って実際にミツバチが飛んでいるアーチを作成。

今回はセミナー終了後にウェルカムパーティーが行われた。過去の記録を調べてみたら第8回以来10年振りの開催となる。会場は1FホールB。ラージスカルプチャー部門の置かれている場所だ。本来は明日からの公開だが、パーティー参加者はひと足先に作品を見ることができる。
立食形式の簡単なものだ。皆さん素早いこと素早いこと。まごまごしてると大量の料理もあっという間になくなってしまう (笑)。
ステージではコンテストツイスターLive部門が始まった。テーマ「ミラクル」、制限時間5分、挑戦者は7名。評価は審査員のみ。結果は他の部門と同じくファイナルパーティーで発表される。
その後テレビで放送されたアーティストの映像や、先ほどの過去のコンベンションのDVD映像も流れた。初回から参加している者にとって、楽しかったことや、調子に乗ってやり過ぎてしまったことなど、いろんな思い出が走馬灯のように甦ってきた。
最後は今回講師も務めるバルーンパフォーマー・シャンさんのショーで締めくくる。華麗な演技に場内は拍手喝采。

3日目 (8.6)
まずやるべきことは、ファイナルパーティーの座席指定。今回も受付オープンの1時間前に入ったのだが、既に数名並んでいる。徐々に列が伸びてくるうちに、隣に別の列ができている。これはプロダクトショーケースの特売品を狙う人たちの列のようだ。

3日目最初のクラスは、松村信顕さんのミラクルなデコレーション目指そう!。これも特殊効果系のクラスで、送風機で風船を浮かせてみたり、リモート操作で風船のスパークさせるための機材の説明など。
その後、各自何でもいいからオブジェを作り、送風機で浮かせてみる実験を行う。みんな個性ある作品を作っているが、私は16インチクリアにラウンド5〜6個ほど入れた単純なもの。松村さんにも「無難な選択ですね」と言われた(笑)。

1Fホールで展示されているコンテスト作品を見てみよう。
ヘリウムブーケ部門は、テーマ「ミラクル」、制作時間1時間、制作人数1名、サイズは800(W)×800(D)×1,800(H)mm以内 (うちベース部分200(W)×200(D)×200(H)mm以内)となっている。23名の参加。
アレンジメント部門は、テーマ「ミラクル」、制作時間制限なし (完成品の持ち込み)、制作人数1名、サイズ400(W)×400(D)×500(H)mm以内、180°デザイン、バルーンをメインにした置き型で生花は利用不可、造花・布などのアクセント資材は利用可能となっている。16名の参加。
今年もゲストとしてホスピタリティツーリズム専門学校テーマパーク科と小野学園女子高校の皆さんによるラージスカルプチャー作品が展示されている。

次のクラスは、宮崎靖浩さんのファイナルパーティーの演出を皆で作ろう!。多くの人が楽しみにしているパーティー会場装飾の実際の作成だ。
配布されたレジュメには会場の詳細な図面やオープニング演出の細かなタイムテーブルが載っている。いかん、これを先に見てしまったら楽しさ半減だ。本番が終わってからじっくり見よう。
今回はダイヤバルーンというひし形のマイラーを使った効果を作る。10人1クラスになって作業開始。まずダイヤバルーンを途中で破れたりしないように軽く手で揉み解しておく。次にふくらますのだが、ヘリウムだけでは浮力が強すぎるので、ある程度空気を入れ、それからヘリウムを入れる。途中でポンと軽い破裂音がするので戸惑う。ふくらましたら角の部分に発泡スチロールの羽を付ける。18th JBAN Conventionとプリントされたオリジナル仕様だ。続いて上下の先端部分に釣具屋で売ってるサルカンというベアリング状のパーツを付ける。こうすることで風を受けてクルクル回るようになるのだ。それができたら10個接続する。1個ごとに異なる方向に回るように、羽の向きが左右交互になるように接続する。
各チーム完了したところで、ではいよいよパーティー会場に踏み込んでみる。会場では作業の真っ最中。天井に吊るされる特殊効果のバトンが床近くまで下ろされており、機材の仕組みや取り付け方などの説明が行われる。普段ほとんどお目に掛かれない操作コンソールなども見ることができた。さぁ今年はどんな演出になるのだろうか。本番が楽しみだ。

合間にプロダクトショーケースを見てみよう。今年も各種新製品の展示・実演、在庫処分品の格安販売などが行われている。お楽しみ福袋は今年もオープン直後に瞬く間に売り切れた。オープン前に長い列を作って狙っている理由が良く分かる。

次のクラスは、コンテストで数多くの受賞を誇る ひねり屋ジャッキィさんの輪っかで編み編み!だ。このクラスは初心者向けで、「ひねり屋」さんでありながら風船をひねるシーンは全く出てこない。今回は260Qの輪っかのみで作られたコラム状のものを作る。
黒の260Qを長さ80cmにふくらまして輪っかを作り、3本組み合わせる。次に白の260Qを3本、輪っかにして組み合わせる。これを繰り返し、形を整えながら黒白黒白黒白黒の7段組み合わせて柱のような感じにする。
完成したら同じテーブルの人のものと組み合わせて壁を作る。単純だが意外と見栄えのいい壁が作れる。このままファイナルパーティーの装飾にも使えそうだ。

この日最後のクラスは、チャーリー(篠田 卓)さんのミラクルを魅せるセンターピース作る!だ。ファイナルパーティーのセンターピースを制作するワークショップ。今回はフレームオブジェとミリオンスターを組み合わせたセンターピースを作る。
まずフレームから。あらかじめ下ごしらえが済ませてあるので、ここにパールライトブルーの260Qをふくらまして巻き付けていく。最初に長めにふくらましてストレッチしておく。巻き付けるときに風船をしっかり握って空気を先端へ押し出すようにしないと割れるので気をつける。260Qの割れる音がまた強烈なんだよね。組み上がったらバルーンシャインで磨いて艶を出し、さらに雪状のスプレーで粗い部分を隠す。
次にミリオンスターで土台の部分を作る。星型に組んだミリオンスターを2段重ねてスタンドにセットし、先に作ったフレームを取り付ける。
最後にフレームの先端にダイヤバルーンを取り付ける。宮崎さんのクラスで作ったのと同じく発泡スチロールの羽を取り付ける。本番ではある道具を仕込んで特殊効果の演出として使用されるそうだが、このセッティングはスタッフが行うので、実際にどのようになるかは本番を見てのお楽しみ。

セミナー終了後、今年もJBANディスカッションが行われた。進行は疋田文明さん。前回は車座になっての対談だったが、今回は机の状態。JBAN専用サイトの開設や、今後のJBANのあり方について。専用サイトはほぼ完成しており、9月から公開する予定だそうだ。


4日目 (8.7)
最終日。今日はパーティー本番ということでオリジナルTシャツを着て臨む。
最初のクラスは大瀧はるみさんのぷっくりジェリーで飾れるギフト。ジェリーバルーンと呼ばれるハート型のマイラーを組み合わせてギフトアレンジメントの作成。
まずスウィートハートと呼ばれるハート型マイラー4個と4インチハート1個をスティックに取り付け、リボンを結ぶび、そのスティック5本を束ねてテープで止める。
次にヘリウムを入れたプリンス・クイーンバルーンと呼ばれるバラ柄がプリントされたマイラーを中央に添える。ウェイトはスティックの間に隠すようにする。
最後にラッピング用の不織布で覆い、セロハンを掛け、リボンで結んで完成。

さて、1Fロビーではバルーンフェスティバルと称して一般来場者向けイベントが行われている。
入口には誰でも遊べるジャムルームが用意され、常に誰かすらプロツイスターがおり、来場者に大好評だ。またバルーン特売も行われている。
ホールの特設ステージでは昨年に引き続きピエロパフォーマー・チッキさんのバルーンパフォーマンスショーや、松村靖子さんのバルーン教室も行われた。今回はセミナーの時間と重なってしまっているため始まる前に去らざるを得なかったが、早いうちからステージ前は子供がびっしり。
聞いたところによるとバルーン教室の整理券はあっという間になくなるほど大盛況だったとのこと。
夏休みとは言え平日にこれだけ子供が集まるなんて、風船の持つ不思議な「夢の力」の素晴らしさを改めて感じさせられた。

最後のクラスは、岡田早苗さんのシーンを問わないタオルケーキ。タオルケーキとは余り聞き慣れない言葉だが、要するにタオルを土台にして作ったケーキのようなアレンジメントのことだ。
まずハンドタオルを巻いて筒状にする。リボンを結ぶ。この結び方が難しい。表裏があるので普通に結んだのでは裏面が出てしまうため、2度巻いてから結んでリボンの裏側が見えないようにする。
次に11インチを太めの針金に通して、適度に曲げて花びらの形を作る。ここは技術よりも感性が大切だね。毎度のことではあるが花びらというよりポテトチップみたいな感じになってしまった(笑)。同じものを5枚作り、束ねて花の形にする。
これを先に作っておいたタオルの土台に挿し、包装用の袋に入れて、結び目にカーリングリボンを飾る。

さぁ、いよいよファイナルパーティーだ。1Fホール入口には徐々に参加者が集まってくる。ミラクルなテーマのコスチュームって難しいかな、今回は仮装姿の人がやや少ないように感じた。
会場が開いた。さぁ、入ってみよう。入口にはダイヤバルーンで作られた光り輝くトンネルがある。未知の世界へ踏み込むような感じだ。今回は1番乗りさせていただいた。スタッフが拍手で迎えてくれた。

今回はダイヤバルーンや銀色のマイラー主体の装飾で全体にキラキラした感じ。ステージにはマイラーバルーンのドームで覆われており、第9回コンベンションのラージスカルプチャー部門で優勝した「SEED」みたいな装飾がある。そう、今回の会場装飾プロデュースはチャーリーさんだ。
会場左右には銀色の太いマイラーが柱のように並び、虹のようなアーチが釣られている。天井にはスパークバルーンやミラクルウイングなどお馴染みの仕掛けが付き、各テーブルには昨日のクラスで作ったセンターピースが置かれている。

ステージが始まった。今年もオープニングのCG映像が素晴らしい。「座して待ち続けても奇跡は起こらない」……「さぁ、JBAN史上最高のMIRACLEを始めよう」。次にステージで何かが起こるとばかり思い込んでいたら、後方でざわめきが。各テーブルのセンターピースに仕込んであるダイヤバルーンが上下し始めた。特殊効果を仕込むとは聞いていたが、真っ先に出てくるとは想像してなかった。まさかセンターピースに仕掛けが付いてるなんてと驚いた人も多いだろう。同時に天井に取り付けられていたダイヤバルーンがふわりと降りてくる。

次の瞬間、ステージで何かが起こった。カラフルなライトが上下し、マイラーバルーンのドームがふわりと浮き上がるとダンサーが現れ、華麗なパフォーマンスを披露する。

ここで司会者が登場しオープニングを告げる。まずエミリーズバルーン深尾マリ子社長のご挨拶。続いて今年のBpro検定試験合格者の発表と認定書の贈呈。
さらにスポンサー代表、米パイオニア・バルーン・カンパニーの副社長 テッド・J・ブラミス氏のご挨拶。そして氏のご発声で乾杯となった。

しばらくの間ディナーの後、ここで今回のスペシャルゲスト、デビッド・ラムゼイさんのパフォーマンスショーだ。面白おかしいパフォーマンスで場内は大爆笑。初めてご覧になられた方と聞かれ思わず手を上げたが、実は以前にもこちらのイベントでお目に掛かっていた。

さぁ、いよいよコンテスト結果発表だ。
まず毎回素敵な作品を提供してくださるホスピタリティツーリズム専門学校テーマパーク科と小野学園女子高校の代表者に記念品が贈呈される。続いて各部門別に準優勝と優勝の発表だ。
ヘリウムブーケ部門の優勝は坂本望さんの「飛べたよ!」。
アレンジメント部門の優勝は眇田大悟さんの「miracle Tortoise」。
ツイスターLive部門。優勝はバルーンアーティストtomoさんの「ミラクルガール」。
コスチューム部門の優勝は牧野香里さんの「Swallowtail」。
そしてラージスルプチャー部門。準優勝は野村昌子さん率いるFuwaFuwaチームの「ビビディ・バビディ・ブー」。
栄光の優勝に輝いたのは、Balloon Messengerチームの「ステンドグラスの奇跡」(タイトル写真) だ。昨年に続いて連覇であった。

次は恒例のコスチュームコンテストミラクルでいいで賞コスチュームコンテストだ。入口でピンクのバルーンをもらった人はノミネートされた人、赤いバルーンをもらった人は審査員だ。審査員はステージ前に集まってもらう。260Qの先端に星形マイラーの付いたスティックが配られる。ルールは例年と同じ。15秒間のアピールタイムで審査員のバルーンの振りが最も多かった人が優勝。ノミネートされたチームは6組。さて優勝は誰の手に!?

コスチュームコンテストが終わるとそのままダンスタイムへ突入する。天井のスパークバルーンが一気に弾け、ミラクルウイングが舞う。さぁみんなパワー全開。ステージはたちまち熱気に包まれる。
ラストナンバーはAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」。伝統的なダンスミュージックに混じって最近のヒット曲が流れると会場が一気に盛り上がるのが面白い。

最後に会場装飾プロデュースのチャーリーさんから一言。そして撮影されたばかりの今回のコンベンションの映像をバックにスタッフロールが流れる。
「JBANコンベンション2015でお会いしたいと思っております」「本日は皆さま最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました」
テープが飛びスモークが火を噴いてフィナーレを迎える。


今年も盛況に終了したJBANコンベンション。来年はどんなテーマが飛び出てくるだろうか。企画・運営のエミリーズバルーンのスタッフの皆さん、講師の皆さん、素晴らしい会場のデコレーションを担当したボランティアの皆さんに感謝する。
私事ではあるが、ファイナルパーティーの2日後、8月9日に行われた某花火大会。台風接近、雨の確率70%という悪条件ではあったが、ぱらついていた小雨も花火が始まると間もなく上がり、以後家に戻るまで全く降られずに済んだ。まさにミラクル・奇跡だ。しかもフィナーレで使われた曲がJBANエンディングと同じ『アナと雪の女王』主題歌 「Let It Go 〜ありのままで〜」であった (花火の動画は拙ブログ打ち上げ花火で公開しています)。

(14.8.20掲載) もどる