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[2003/11/28]
2003年も残りわずかですね...
やっぱり今年も忙しかったなー。
夏休みがありませんでしたし。
土日もほとんど休めなかったし(涙)
雑記
鏡はなぜ左右逆に見えるのか(後編)
前編はこちら
前編でも書いたように、「鏡はなぜ左右逆に見えるのか」に関するやりとりは、
しばしば混乱してしまいます。 たとえば 以下のような感じですね。
・鏡に映った文字は、左右逆に見える。
・水面に映った富士山は、上下が逆だ。
・自分の座標軸と鏡の中の座標軸は、前後が逆になっている。
こうやって並べて見るとおや?と気づいた方もいると思いますが、
実は この設問は、鏡像とは何かというよりも観測の問題なんです。
言い換えると、「なぜ左右逆に見えるのか」に答えるためには、見ている人が
何をどう比べて左右が逆だと言っているのかを説明しなくてはいけないのです。
では、ハーフミラーの例でその説明をしてみましょうか。
地面に立っているハーフミラーを両側から見比べる状況を想像してください。
観測者が鏡像として見るのは、ハーフミラーに映っている反射した光の風景です。
これに対して、観測者がハーフミラーの反対側へ移動すれば、
ハーフミラーを透過した風景が見えます。これが鏡像に対して比較するべき通常の風景
(ここでは仮に原像とよびます)になります。
しかしこの比較は、良く考えるとハーフミラーでなくても、写真のスライドや
ガラス板に書いた文字を両側から見比べているのと違いはありません。
さらに、観測者がハーフミラーの反対側へ移動するという行為も、
自分が移動せずに文字が書いてあるガラス板を左右方向にひっくり返して
見るのと同じことです。
こうしてみると、我々の日常において 鏡像と原像を見比べるという行為は、
対象を裏返しにして見比べる事であるとわかります。
そして注目すべきポイントは、対象をどのように裏返すのか、というところです。
例えば 紙に書いた文字を鏡に映す場合なら、書いた文字を鏡に映すためには、
紙を裏返しにして鏡の方に紙面を向けなければなりません。
実は、文字を書いた時の(普通に字を見ているときの)状態と比べて、
紙を左右に裏返しにして鏡に映すから、映った文字は左右逆に見えるんです。
水面に映った風景が上下逆に見えることの説明も、内容は一緒です。
ハーフミラーの例で考えるなら、水面に映っている鏡像(反射光)に対して
原像の風景(透過光)を見比べるためには、水の中にもぐって見上げる事になります。
ガラス板のたとえで言えば、地面と水平なガラス板(ガラスのテーブルに文字が書いてあるとか)に対して
観測者が立ったりしゃがんだりして相対位置を変えるような感じです。
もし、立ったりしゃがんだりする代わりに、ガラス板の方を動かして同じ位置変化を起こすなら、
ガラス板を上下逆(縦方向)に裏返す事になります。
これは、文字を書いた紙を鏡に映すときに 上下に裏返しているのと同じです。
紙を上下に裏返せば、鏡の中の文字は「左右が逆」ではなく「上下が逆」に見えるはずです。
上の2つの場合は、鏡像と原像を比べるために 対象を裏返しにして
見比べていました。 しかし、対象を裏返さずに原像と鏡像を見比べる事は
できないのでしょうか?
これは、例えば文字を書いてあるのが紙ではなく、透明なOHPシート
(またはアニメのセル)などの場合なら可能です。
鏡の前でOHPシートに字を書いてかざせば、OHPシートに見える文字と、
鏡に映っている文字を同時に見る事ができ、それが全く同じ形をしている
(上下・左右逆になってない)ことがわかるでしょう。
しかし、この時鏡に映っているのは、OHPシートの裏側ですから、
同じモノを見比べている、という感覚からは 違和感があります。
実際、不透明な紙の場合は、何もかかれていない裏面を鏡に映して、
それが(文字の)鏡像であると言われても納得できないでしょう。
鏡に映った文字が何故左右逆に見えるのか、の説明は 以上のような
感じですが、ちょっとだけ補足しておきましょうか。
実は 上で述べたのは「鏡に映った文字は何故左右逆に見えるのか」
についての説明であって、「鏡像」そのものを議論しているのとは
ちょっと違うかも知れません。 本来の鏡像の性質を論じるなら、理系の人には
おなじみの光学異性体(右手と左手の関係)の説明をしなければなりません。
と言っても別に難しい話ではないのですが。。。ま、それはまたの機会と言う事で。
以下は空想。。。。
西暦20xx年。人類は巨大なスペースコロニーで生活するようになりました。
スペースコロニーの内側は四角柱のような空間になっていて、
人々は人口重力によって図のA君B君のように生活していました。
そして、このコロニーの筒の端の一方には、図の左側のような看板があり、
反対側は鏡になっていたとします。
さて、コロニーに住んでいるA君は、普段看板を下図のように見ていますが、
A君が後ろを振り返って鏡に映っている看板を見ると、右側の図のように
なっています。
A君:「鏡に映った看板てさー、数字の1と3の位置が入れ替わってるよねー」
一方、A君と90°ズレた地面に住んでいるB君は、毎日看板を下図の左側の
ように眺めており、B君が後ろを振り返った時の鏡像は下図の右側のように
なっています。
B君:「何言ってんだよ。文字の位置じゃなくて、矢印が逆になってるじゃん」
A君:「え? 矢印の向きは同じだろ。お前目が悪いんじゃないのか?」
B君:「何言ってるんだよ。どう見たって矢印が逆じゃん。お前こそ
目が腐ってるんじゃないのか?」
A君:「なんだとー。やるかゴルァ」
B君:「ゴルァ」
宇宙コロニーでは、鏡をめぐって小学生の喧嘩が耐えないに違いない...