てらっこうと雀

 「雀は本当に親孝行」

雀と、てらっこう(きつつき)は姉妹で、親が危篤だいうて きたもんだけえ、雀はうろたえて、その時、鉄(かね:おは ぐろのこと)を付けかけとったそうなが、そのまんまで口ゅうゆ(口を)すぎ もせっと(口をゆすぎもしないで)飛んで行くし、そいで死に目に会うし、
てらっこうは、まあそんなら着物を着替えて行こう思うて、着物を着替えて きれえにこしらえて、行ったもんだけえ、親の死に目へよう会わいで、 その罰で、てらっこうなあ、難儀をせにゃあふちかた(食糧)が取れんと、 木ゅう(木を)つついて、虫を1日に3つだか外にゃあ当てごうてもろうとらん だそうな。
雀ゃあ、やっぱり、親が大事ないうことから、鉄(かね)ょう(鉄を)付けて、 雀のくちばしにゃあ黒い筋が付いとるそうなが、あれがその、やっぱし、 鉄ょう付けかけておった、(口を)洗わずに行った証拠が残っとるだそうな。
そえで、親のお陰であがいに、雀のふちかたが多いと。
(語り手:八束村花園 池田たきの)

類話
お釈迦さんが他界した時、動物たちが悔やみに行くことになる。きつつきは間に合わなかった罰に、木の虫 しか食えない。雀は間に合ったので、米でも何でも食ってよいことになる。

(語り手:川上村黒岩 佐子喜代治)