大年の火大年=大晦日のことです。大晦日やお正月には 決まって話された お話です。 昔は、大晦日から元旦までは、火を絶やしてはいけないという習慣がありました。「大晦日の客」というお話と混ざり合っていることもあります。 預かった棺桶に「むしろ」を掛けていたという伝承があるところから、大晦日に「むしろ」を吊しておくという習慣の起源だとも言われているそうです。 なんと昔から、この辺じゃあなあ、大晦日から正月まで火を絶やしちゃあいけんいうてなあ、大晦日の晩には、ちゃんと大きなほだ木に火を つけて、いろりの灰の中にいけてえて、明くる日、正月になると、その火から 付け木で 火を取って 雑煮を煮ようたもんじゃそうな。
ところが、ある家に 下女がおって、主人から、
そうして、あの火をもらおう、あのたいまつの火を もらおうと思うて、そうして 前の道まで出たところが、何か 桶を背負うた人じゃ。それが たいまつを
ともしとる。 ところが預かった棺桶を、なんだろうかと思って、行って見たところが、死人を入れる棺桶じゃったんで びっくりしてしもうた。 こりゃあ 正月早々からえらいもんを預かったもんじゃ。早う取りい来てくれりゃあええがと思うて、1日待ち、2日待ちしても、誰も取りに来ん。
困ったもんじゃいうんで、はて、棺桶じゃと死人がはいっとらんじゃろうか と思うて、こっそり ふたを開けてみたところが、中には、なんと 小判がいっぱい入っとったそうな。 |