山岳展望について
山形市は四方を山に囲まれているので、天気の良い日に車を運転していると、思いがけない場所で思いがけない山のピークが見えるのに気が付いてはっと驚かされることがあります。例えば、晴れた冬の午前中にJR山形駅近くで奥羽本線を跨ぐ城南陸橋を東側から西側に向かって越えて行くと、正面西の空の彼方に雪を被った朝日連峰の主峰大朝日岳(1870m)の大ピラミッドが青空をバックに朝日を浴びて輝いて現れ、思わず「ほう」と声を上げてしまうのです。また、山辺から鮨洗を経由して陣場に至る通称「山辺街道」を東に向かって(山形方向)進むと、金井小中学校付近で正面に台形の山が現れます。特に早春は雪を被って輝くため目に止まります。普段はまったく気にもかけないのに、これが大東岳(1336m)だと気がついたときは、かつて登った宮城県の山が山形市内から見えることに驚いたものでした。逆に見えそうで見えない山もあります。山形市の観光のシンボル蔵王はどうでしょうか。確かに雁戸山や瀧山は蔵王連峰の一部で市街地のほとんどから良く見えますが、主峰熊野岳(1841m)となると実は市内の西部や北部の一部でしか見ることができません。
 このように山がある場所でどのように見えるかという問題は山岳展望と呼ばれ、富士山がどこまで見えるかというテーマはブームにまでなりました。ニフティの「山と展望のフォーラム」によれば、現在のところ日本で富士山が見える一番遠い場所は和歌山県妙法山付近(距離322.9km)北の方では福島県の日山(1057m)で299kmとされているようです。山形県からの報告は残念ながらありません。

山岳展望ソフト「カシミール3D」
 見えるか見えないかは実際その場所まで行ってみるのが一番ですが、最近はパソコンに地図データを入力して自動的に見える風景を再現してくれるソフトがあるので下調べに便利です。カシミール3Dは杉本智彦氏が開発したフリーソフトでインターネットからダウンロード(http://www.kashmir3d.com/)できますが、とてもフリー(無料)とは思えない出来栄えで、このようにすばらしいソフトを無料で公開してくださることに敬意を表するものです。

月山から槍ヶ岳を見る
 ちょっと信じられないかもしれませんが、理論的には山形県の月山山頂(1984m)から約330km離れた北アルプスの槍ヶ岳(3180m)を見ることができます。遠くの山が見えるにはその山の手前に高い山がないこと、地球の丸みよりその山頂が上に突き出していることが条件です。カシミール3Dは地球の丸みや途中の地形、さらに大気による光の屈折まで補正して展望風景を再現してくれます。下の画像は写真ではなくカシミール3Dで描いた月山山頂からの風景です。どなたか500mm望遠レンズで本物の北アルプスの写真を撮影していただけないでしょうか。実際には地平線までよく晴れて霞などもほとんど無い天気が条件となるため運も必要となるでしょう。

月山(1984m)から50mm標準レンズで南西方向を見る(円内に注目)

200mmレンズでの展望(中央の遠景に注目)

500mm望遠で見る堂々たる北アルプスのシルエット

カシミールの最大倍率だとこう見えるんですが、実際にはどうでしょうか。(焦点距離926mm相当)

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