昔話研究と古典−「こぶ取り爺」の場合

                                稲 田 浩 二
                                                             2002.1.20
                                                                 昔話研究会
前 提
1 昔話研究と資料
 1)文献資料は、昔話の国際的・通時的研究に有用。
                    (a) 古典資料
      文献資料
                    (b) 翻字資料
 2)仁徳紀 11年10月「河神と強頸」と「蛇婿入り−嫁入り型」(IT205D)の核心モチーフ
 3)核心モチーフの保存性。

[A]「こぶ取り爺」(IT47)と国書古典
1 昔話のモチーフ構成・主役・核心モチーフ
2 国書古典  
 1)慶滋保胤『日本往生極楽記』12 永観2(984) (『日本思想体系』7)
 2)『今昔物語集』巻第15「比叡ノ山ノ頸ノ下ニ瘤有ル僧、往生セル語」第六
 3)『宇治拾遺物語』巻1ノ3 「鬼に瘤とらるる事」鎌倉時代前期   (『日本古典文学大系』)
 4)『五常内義抄』文永2(1265) (『続群書類従』32下)
 5)安楽庵策伝『醒睡笑』元和9(1623) 1「謂へば謂はるる物の由来」
    22ノ6「推はちがうた」35 (鈴木棠三『醒睡笑』上 角川文庫)
 6)「寶の瘤取」(鷺流) (『狂言三百番集』)
   「宝瘤」(鷺流狂言傳書、保教本)

[B]『産語』の問題
 1) 太宰春台 延宝8(1680)−延享4(1747)の『産語』自跋の文。
 2 春台31歳のとき『産語』を師の徂徠と一門の人々に示す。
                (前澤淵月『太宰春臺』(大正9(1919)嵩山房による)
 3 春台歿後の寛延2(1749)、春台の高弟宮田明が師の孤、定保の依頼で『産語』に序を付して公刊。
 4) 神谷正明『産語の研究校注篇』(昭和37(1962)書籍文物流通会)
   『産語の研究草稿』(昭和38(1963)神谷正男、自刊)
 5 『国書総目録』(昭和40(1965)岩波書店)産語 2巻2冊
    経済、太宰春台(純)寛延2刊。
 6 『日本経済大典』9 昭和42(1967) 『産語』の解題。
 7) 中島悦次「宇治拾遺物語『鬼に瘤取らるる事』について」
                     昭和46(1971)「跡見学園女子大学紀要」4
 8) 山本 節「瘤取り爺」 (『日本昔話事典』昭和52(1977)、弘文堂)
 9) 三木紀人・浅見和彦 新日本古典文学大系『宇治拾遺物語』・『古本説話集』
                     平成2(1990)岩波書店
 10) 田口和夫「宝の瘤取」 (『日本古典文学大辞典』平成4(1992)岩波書店)
 11 武部善人『太宰春台』 平成9(1997)吉川弘文館
 12) 「こぶとり爺」(『日本昔話ハンドブック』 平成13(2001)三省堂)

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