ほととぎす兄弟の話
「おととかわいや、ほっとんかけたか」


 昔むかし、時鳥の兄弟がいた。兄さんが病気になったので、弟は、滋養になる ものをと、山の芋を掘っては食べさせていた。ところが、お兄さんは、
「弟は、わしにさえ山芋ののええところを食わせるんだから、あいつはどれだけ ええところを食びょうるやら」
と思って、弟を殺して腹をたち割ってみた。山芋の首が、ちょっぴりだけ出てき た。
「弟よ。わしが悪かった。こらえてくれえ。」
それから兄さんは、
「おととかわいや、ほっとんかけたか、おととかわいや、ほっとんかけたか。」
と、日に八万八声鳴くようになった。
そんなわけで、時鳥はいつまでもそういって鳴くそうな。

原話:真庭郡川上村 宮本千太郎