台湾2泊3日の旅(1999年6月4日〜6月6日)



 私は、沖縄が好きで今までに何度か足を運んでいる。その際、必ず携帯用のラジオを持っていくようにしている。沖縄本島ではそうでもないが、石垣島をはじめ、八重山の島々へ行きラジオをつけると、昼間でも日本国内の放送よりも台湾の放送の方がたくさん聞こえてくる。中国民謡や日本の歌謡曲の中国語バージョンなどが聞けて楽しめるのである。同時に自分がだいぶ台湾に近いところにいると感じるとともに、台湾に行ってみたいという思いも強く感じていた。今回も、韓国旅行の時と同様、すべてフリータイムのツアーを申し込んだ。


1999年6月4日
 朝8時50分発のチャイナエアラインに乗るために羽田空港に向かう。遠い成田空港まで行かずに国際線に乗れるのでだいぶ気が楽である。私は、海外の航空会社の飛行機に乗るのはこれが初めてである。出国審査など諸手続を終えていよいよチャイナエアラインの機内にはいる。客を出迎えるスチュワーデスの中国語の挨拶を聞くと、もうここから台湾がはじまっていると感じた。台北の中正国際空港までは3時間程度、沖縄へ行くのとさほど変わらない。しばらくすると、おしぼりが配られたが、スチュワーデスはおしぼりをじかに触らずに何とピンセットを大きくしたようなつまむ道具を使って客に配っている。
 1時間ほどして楽しみにしていた機内食が配られはじめた。まず、おつまみ(バターピーナツ)とお酒(ビールか水割りか選べる)が配られた。私はビールにしたが、日本では珍しい台湾ビールであった、味は別にたいしたことはなかった。その後、シーフードがいいか鶏肉料理がいいかとスチュワーデスが聞きに来た。「シーフード」というと、ワインは赤と白どちらがいいかというので白と答えた。メニューは、エビチリソースにホタテ貝が混ざったものとご飯、パン、サラダ、パイナップル、メロン、スイカをカットしたもの、一口サイズのケーキなどであった。ホタテも意外とエビチリソースに合うものである。
 その後、うとうとしていると、まもなく着陸する旨のアナウンスが入った。機内アナウンスは、中国語、日本語、英語で順番に行われていた。(中国語は2種類だったかもしれない)入国審査は、大変な行列で、20分ほど待たされた。入国審査官はしかめっ面でパスポートと旅行者の顔を見比べながら入国印を押している。空港は、プレートに名前を掲げている出迎えの人でいっぱいであった。
 異国を訪れて最初の楽しみはそこの空気を吸うことである。台湾の空気は沖縄と同じで、湿気がすごく、大変な蒸し暑さであった。韓国に行ったときは、ニンニクとキムチの混ざったような独特のにおいがしていたが、台湾では何もにおいはしていなかった。
 ホテル(来来大飯店)に荷物を置き、外に出る。ホテルの隣には、何と「T-ZONE」という、日本でおなじみのパソコン専門店があった。ホテルから歩いて十数分の所には、予備校(補習班)がたくさん集まった南陽街という街がある。どの建物にも派手で大きな看板が掲げられている。漢字なのでだいたいの意味が想像できた。たとえば、ある予備校の看板には、黄色に赤い字で大きく「走進成功之門、踏上成功之路」とあった。学生が集まる街だけあって、辺りには麺類の店や、果物のスライスを売る屋台など安い食べ物屋がたくさんあった。その中のひとつに入ってみた。メニューは壁に漢字で書かれているのでどの様な食べ物があるかは見当がつく。その中から「牛肉麺」(ニウローミェン)を注文した。その名の通り、牛肉のかたまりがたくさんのっているラーメンのようなものであった。ただし麺はうどんのように太かった。スープはあまり脂っこくなく、五香粉の独特の香りがしていた。日本では味わえない独特の味で、美味しかった。けっこうな量があったが、値段は確か250円くらいだったと記憶している。
 その後、町中をしばらく散歩し、にぎわっているCDショップ「大衆唱片」をのぞいてみた。大きな店で、日本のCDもたくさん売られていた。宇多田ヒカルや月之海合唱団(LUNA SEA),SPEEDが特に人気があるようだったがどのCDも30元から300元程度(120円から1200円程度)という非常に安い値段で売られており、パッケージも台湾独特のものになっていた。品揃えも大変豊富だった。つい1週間くらい前に日本で3200円で発売になったLUNA SEAのアルバム「NEVER SOLD OUT」も300元(1200円)で売られていた。
 この日は、そのほかに「新光三越台北南京西路店」や台北駅、二二八和平公園などを見てホテルに戻った。
 6月5日
 昨晩セットしておいたモーニングコールの音で朝6時に目が覚める。6時といっても台湾は日本より1時間遅れで時差があるので日本時間では7時に目が覚めたことになる。朝の散歩をしにホテルの外に出る。この時間からかなりの蒸し暑さになっている。私は、台北駅の朝の風景を見たいと思い、駅へ向かって歩いた。まだ朝早い時間なのに通学しているらしい中学生や高校生が多く見られる。
 台北駅は、ホテルから歩いて10分くらいの所にある。駅構内は、大変広いが案内表示板が多くあるので初めての旅行者にも構内のどこに何があるのか分かりやすい。キオスクのような店があちこちにあるのは日本と同じである。と、何気なくあるキオスク風の店を見ていたら、サンドウィッチや寿司のパック、各種飲み物、新聞などと一緒に何と駅弁が売られている。ホテルに帰ってからの朝食にしようと思い1つ買ってみると、できたてらしく、温かかった。値段は60元(240円)と大変安い。駅弁のパッケージは、山あいの橋を走る列車の写真になっており「台湾鉄路111周年」、「鉄路飯盒」と印刷されていた。「鉄路飯盒」が駅弁の意味なのだろうか?
 散歩を終え、ホテルへ帰る途中、飲み物を買うのを忘れたことに気づき、「全家便利商店」に入る。コンビニのファミリーマートである。市内には至る所にセブンイレブンやファミリーマート、ニコマートなどのコンビニがある。売っているものはだいたい日本と同じだった。菓子類は、3分の1くらいは日本のものであった。どらえもんやちびまる子、アンパンマンのキャラクターを使ったものが多かった。ソウルでコンビニに入ったときは日本の菓子など売っていなかったと記憶している。昨日行った新光三越の食料品売場をのぞいたときも、菓子に限らずレトルト食品や調味料など台湾製のものに加え日本のものがかなりめだっていた。
「木瓜牛乳」を買い、ホテルに戻った。部屋に戻り、まだ温かい駅弁のふたを開けてみると、
中には白いご飯とともに烏龍茶で煮たゆで卵、甘辛く煮てある鶏肉の唐揚げ、湯葉の炒め物、野菜の炒め物、ザーサイが入っていた。全体に脂っこく、例によって五香粉の独特の香りがしていたが、どれも大変美味しかった。「木瓜牛乳」はパパイヤ牛乳のことで、味はバナナ牛乳のようであった。
 今日の午前中は「故宮博物院」を見ようと思っていたため、荷物の整理をして身軽になってからホテルを出る。ホテル前には客まちのタクシーが数台おり、それに乗っていくことにした。運転手に中国語で「ここに行きたいんですけど」とガイドブックの地図を見せると「ここね?」という返事が戻って来たので、自分のカタコトの中国語が通じたと分かり、安心した。タクシーに乗り込み、自動ドアで自然にドアが閉まると思って座っていたら、運転手にドアを閉めるようにいわれた。台湾のタクシーは乗ったら自分でドアを閉めなければならない。異国で一人でしかもあまり言葉も分からないままタクシーに乗るのは少し緊張する。20分くらい走ったと記憶しているが、料金は140元くらい(560円くらい)だったと思う。ガイドブックには、外国人観光客と分かると、きちんとメーターを倒さずに法外な値段を要求する運転手がいると書いてあり少し心配していたのだが、メーター通りの金額だったので大変安かった。
 「故宮博物院」は日本人観光客で混んでおり、至る所で日本語か聞こえた。中は4階建てになっており、数多くの展示室がある。日本人観光客の他には、地元台湾の中学生が学校の見学で大勢来ていた。しかし、中学生にこのような展示品を見せても面白いはずはなく、中には案内用パンフレットをいたずらしたり、おいかけっこをしたりしている中学生も見られた。大急ぎですべての展示室を見たのだが結局2時間半くらいかかってしまった。ゆっくり見たら1日はかかってしまうだろう。このあと、故宮博物院の隣にある庭園をみた。
 午後は、おみやげを買うためにお茶の専門店へ行くことと、台湾の電車に乗ること、中正紀念堂を見ることに決めていた。とりあえず昼食をとろうと思い、タクシーをつかまえて台北駅まで行ってもらうことにした。今度のタクシーの運転手は少し年とっているせいもあり、日本語がよく通じる話好きの人だった。お茶の専門店を探していることを話すと、台北駅に行く途中に一軒良い店があるのでそこへ連れていってくれるという。観光客相手の法外な値段を付けている店に連れて行かれるのではないかという心配も頭の中をよぎったが、自分であちこち探すのも面倒だし、そこに連れていってもらうことにした。その店は、日本語が通じて、しかもいろいろなお茶を試飲させてくれる本当によい店だった。お茶の入れ方や効能のていねいな説明を受け、そして茶葉もいろいろと見せてもらった。私はそこでおみやげ用に台湾の高山烏龍茶(無農薬らしい)と、ジャスミン茶を買った。日本に帰ってからも、今でも飲んでいるが、日本で売られている烏龍茶のように刺激が強くなく穏やかでまた香りが大変良い。
 昼食は、台北駅の2階の食堂街で「ビーフン」と、「タイナンタンズーメン」を食べた。どちらも大変安くて美味しかった。午後は、台湾の電車やMRTに乗ったり降りたりして町中を見て回った。ガイドブックには載っておらず、駅の案内板でたまたま見つけた地元の人しか行かないような市場は生活感が感じられ、どこも大変面白かった。沖縄の牧志公設市場に似ている市場もあった。ちまきはどの店でも売っており、種類も多かった。また、スイカの種や腐乳、沖縄ででも見たことのない南国の果物など台湾らしい食品をたくさん見ることができた。運賃は韓国のそれよりは若干高いものの、日本と比べたら大変安かった。
 夕方、台北のホテル近くに戻り、中正紀念堂を見たり買い物をしたりしてから部屋へ戻った。途中、ある薬局へ興味半分で入ってみたが、結構楽しめた。日本の薬品も多く売られていたが、また、香港製のものも見られた。ドリンク剤も豊富だった。私はそこで台湾製の虫さされの軟膏と、香港製の漢方の胃腸薬を買った。夜は、ホテル内の台湾料理のレストランで夕食をとった。チャーハンや牡蠣と中華野菜の炒め物、中華スープなどを頼んだが、どれも量が多くて満足のいく味だった。もっとも値段は屋台とは違い、日本の中華街と同じくらいだったが。
 6月6日
 今日は帰る日、空港へ行くために11時に台北の東南旅行社のガイドさんがホテルへ迎えに来てくれることになっている。昨晩からテレビでは台湾南部に接近中の台風の「特別報導」をやっており、今日も飛行機が飛ぶかどうか心配していたが、どうやら台北発着の国際線は影響をうけていないらしい。ガイドさんは、空港へ行くまでのマイクロバスの中でいろいろな台湾の観光地の話をしてくれる。空港に着いてからガイドさんに中国語で、お元気でお仕事がんばってください、と挨拶すると、「まあ、あなたは中国語を勉強なさったのですね?」と大変驚いていた。東京羽田空港行きのチャイナエアラインは、台風の影響のせいか、1時間ほど遅れての出発となった。また離陸してから水平飛行になっても今までに経験したことのないほどの大変な揺れでなかなか機内食にありつけなかった。私は窓側の席を指定していたので揺れている間もずっと外を見ていたが、飛行機の翼が大きく上下にしなっているのを見て不安を感じた。
 (おしまい)


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