中国瀋陽&丹東〜北朝鮮づくしの旅(2007年7月21日〜7月23日)・2日目
7月22日(日)
6時にセットした携帯のアラームで目が覚める。
旅先では朝の目覚めが極めて良い。
今日は高速バスで北朝鮮との国境の町、丹東へ行く予定である。
昨日から泊まっている七宝山飯店の朝食はバイキングだった。
が、さすがは北朝鮮系のホテル、キムチが数種類ある。
※ホテルバイキングはおいしい。いろいろ食べたくなって必ずおかわりする(笑)
なかでもオイキムチ(きゅうりのキムチ)は旨みと辛さのバランスが取れていてとてもおいしかった。
ちまきがあったのでひとつ食べたが中華街などで食べるのとほぼ同じ味、ただ、朝からちょっと油っこかった。
今回中国で、中華料理らしいものを食べたのはこの朝食のみである。
タクシーで瀋陽北駅へ向かう。
駅前に高速バスターミナルがあるのだ。
タクシーはホテル前の道路で待っているとすぐにつかまえることができた。
瀋陽北駅までは10分ほど、9元(約135円)だった。
この駅が瀋陽市のターミナル駅らしい。
すごい賑わいだ。
※瀋陽北駅前。東京のように賑やか、そしてとにかく広い。右の写真、丹東へはこのバスターミナルから。
バスターミナルはすぐに見つかった。
バスターミナル内の電光掲示板によると丹東行きは30〜40分おきに出ているようだ。
窓口で切符を頼むと5分後に発車予定の丹東行きが買えた。
※瀋陽→丹東の高速バスチケット。韓国と同じ感じだ。右はそのバス。韓国の一般高速バス並みの設備だ。
片道69.5元(約1043円)だった。
丹東までは瀋丹高速道路を通り、約3時間である。
思っていたよりも大きくて新しいバスだ。
バスは時間通りに発車、運転手のほかに若い女性の車掌さんが乗車している。
車掌さんは運転席の横にすわり、乗客に無料のミネラルウォーターを配ったり、到着地や時間の案内をしたりしている。
※車内では無料で「鴨緑江」というミネラルウォーターが配られる。
シートは韓国の一般高速バスのものと同じ程度、バスの車内に小さなトイレがあった。
が、このトイレがクセモノで走行中は鍵がかかっていて使うときはいちいち車掌さんに鍵をもらわなければならない。
その上、トイレ内には「大便禁止」の張り紙があった(^^;)
※バスの中。右の手すりが付いているところがトイレ。大便禁止だ(^^;)
車内の天井には数箇所にテレビモニターが設置され、映画が放映されている。
丹東への高速道路に入るとその両側は見渡す限りトウモロコシ畑がずっとどこまでも続く、そんな風景があちこちに見られた。
なんだか北海道みたいだ。
バスは思ったほど荒い運転はしなかったが高速道路走行中もクラクションを頻繁に鳴らしていた。
※高速道路の風景。
丹東には予定通り3時間で着いた。
まずは帰りの瀋陽行きの切符を買っておく。
丹東のバスターミナルも相当な規模だ。
乗客の荷物を屋根にまで積んでいるバスもある。
まずはトイレ。
まだ慣れない中国、トイレを見かけたらとりあえず行っておく。
バスターミナル構内に有料の公衆便所がある。
カウンターで1元(約15円)払うとポケットティシュを渡された。
比較的きれいなトイレだった。
これから目指す中国と北朝鮮の間を流れる川、鴨緑江はバスターミナルから歩いて15分ほどである。
途中、鉄道の丹東駅があったのでちょっと寄り道して見に行った。
※丹東駅
駅前広場には巨大な毛沢東の像が建っている。
※丹東駅前広場に立つ巨大な毛沢東像
中国らしい光景だ。
駅舎の写真を撮ったり駅周辺を歩いたりして再び鴨緑江へ向かう。
1本道なので迷わずに着いた。
川向こうにははっきりと北朝鮮の風景が確認できる。
ここまで本当に遠かった(^^;)
※ここが中国と北朝鮮の国境、鴨緑江の大きな川。
中国側から北朝鮮にかかる橋も間近に見られる。
川岸には北朝鮮側の川岸まで近づいて戻ってくる遊覧船乗り場がたくさんある。
北朝鮮土産の露店もあちこちに確認できる。
タバコや切手が中心のようだ。
※遊覧船に乗ると川の向こう岸、北朝鮮間近まで近づいてくれる。
遊覧船乗り場でお金を払い、遊覧船に乗ってみる。
30分ほどの遊覧だがそれは面白かった。
中国側の川岸を離れると鴨緑江にかかる橋に沿って進み、北朝鮮側の川岸にどんどん近づく。
川岸ではおじいさんがのんびりと釣りをしていたり、子供達が水遊びを楽しんでいるのを確認できた。
※左:傾きかけた船のまわりで水浴びする北朝鮮の子供たち。右:釣りをしている北朝鮮の子供たち
古い船も岸に沿ってあちこちに停泊している。
観覧車が見えたが動いていなかった。今日は日曜日なのに。
建物に「21世紀の太陽、金正日将軍万歳!」のハングルが掲げられているのが見えた。
※木で隠れている部分があるが「21世紀の太陽金正日将軍万歳」と赤い字で掲げられている。
やっぱり目の前は北朝鮮だ(笑)
遊覧船は更にこれでもかというくらいに北朝鮮側の川岸に近づく。
※ちょっとこの北朝鮮の船に飛び移れそうだ(^^;)
ちょっと心配になる(^^;)
逆に遊覧船をちょっと川岸につけてもらって付近を歩き回りたい、なんて妙なことを思ったりも(^^;)
全体に北朝鮮側の川岸は緑がたくさんありとても静か、低層の建物も少しあるがひっそりしていた。
が、意外だったのはごく普通の一般人と思われる人たちが国境の川のこの場所で釣りをしたり泳いだり散歩したりと思い思いに過ごしているのを確認できたこと。
北朝鮮側は警備が厳重なイメージが強かったので。
こんな感じで風景を楽しんでいるうちに遊覧船は徐々に北朝鮮側から離れ始めた。
中国側の川岸を見るとどこも高層ビル群で本当にすごい。
※北朝鮮側の風景。 中国側の風景
夜はおそらく派手なライトアップがされるのだろう。
北朝鮮の人は高層ビルが連なる活気ある中国側の風景を毎日見ているわけで、どんな風に感じているのか知りたくなった。
遊覧船が無事に先ほどの乗り場に戻ってきた時はちょっとほっとした(^^;)
鴨緑江には北朝鮮に橋がかかっており車と鉄道も行き来できるようになっている。
が、今日は日曜日のせいか中国側からも北朝鮮側からも行き来はなかった。
この橋と並行して鴨緑江断橋がかかっているが途中で途切れている。
※鴨緑江断橋入口。途中で途切れていてこの橋からは北朝鮮へ行けない。
途切れた場所まで入場料を払えば歩いて行けるので行ってみた。
ここは国境なのだがそれを感じさせない、本当にひっそりした雰囲気だった。
途切れている地点には北朝鮮土産の露店があり切手や紙幣などが売られていた。
北朝鮮の実際の風景を充分に見たところでお昼ご飯。
遊覧船乗り場付近で北朝鮮レストランを見つけたので入る。
※北朝鮮レストラン「松涛園」
チマチョゴリに例のバッジをつけた接待員が店内へ案内してくれる。
やはり北訛りが確認できた。
「松涛園」というこのレストラン、店内はトラの大きな朝鮮画が掲げられ、テレビは白黒ながら朝鮮中央放送が放映されていた。
青島ビールとチェンバンククスを頼む。合わせて50元(約750円)だ。
※青島ビールとチェンバンククス。ボリューム満点の冷麺だ。
メニューにはピョンヤン冷麺もあったのだがこちらのほうが量も具も多そうだし高くはなかったので。
チェンバンククスは見た目も味もはさっぱりとしたピョンヤン冷麺と同じだ。
が、こちらは底の浅い大きな容器に入っており具が多い。
実際に出てきたのは軽く2人前はあろうかという量だった。
女性接待員がお酢とからしを持ってきてくれる。
そう、冷麺にお酢は不可欠だ。
冷たくてさっぱりとしたスープがとても美味しく、食べているうちにスープが少なくなってきた。
親切な接待員はスープのみ追加を持ってきてくれた。
なんとか全部食べ終えた。気持ちよい満腹感だ。
このレストランも店内にドラムや電子ピアノなど置いてある。
きっと夜は北朝鮮歌謡ショーをやるのだろう。
もう一度鴨緑江の川岸へ行って北朝鮮を眺める。
※鴨緑江断橋下から最後にもう一度北朝鮮を眺める
緊張感のない国境、印象的だ。
この後は再び丹東バスターミナルへ戻りつつあちこち寄り道しながら街歩きを楽しむ。
メイン通りから1本奥へ入ると様子はちょっと変わってくる。
外で麻雀を楽しむ人たち、小さな桃や小玉スイカ、ウリなどを売る果物屋さん、ほっとする風景だ。
※左:丹東の路地裏で見つけた果物屋さん。小さな桃がいっぱい。右:路地で麻雀を楽しむ人たち
3時過ぎ、再び瀋陽へ向けて出発する。
丹東での滞在時間はわずか数時間だったが本当に印象深いものだった。
あちこち歩き疲れたせいか、帰りの高速バスの中ではずっと眠りこけていた(^^;)
瀋陽北駅に着くともう6時過ぎ、しかし日本以上にまだまだ明るい。
瀋陽北駅もちょっと見物がてらブラブラと見てまわる。
あちこちでタクシーの客引きから声がかかる(^^;)
夜は泊まっている七宝山飯店内にある北朝鮮レストラン「玉流館」にて食事をする。
ここの接待員に聞いてみると歌謡ショーはあと30分くらいで始まりますとのこと。
日本から持ってきたICレコーダーを準備して待つ。
料理は瀋陽の地ビールである、雪花ビール、テンジャンチゲ、白菜キムチを頼んだ。
※七宝山飯店内の北朝鮮レストラン「玉流館」にて。
そう、この食堂はキムチの無料サービスがないのだ(^^;)
接待員は注文時にメニューの説明を丁寧にしてくれた。
テンジャンチゲは味噌自体は薄味だがニンニクがとてもよく効いていておいしかった。
白菜キムチはちょうどよい漬かり具合、旨みと辛さがほどよく味わえた。
そう、シンソンソルロンタンのキムチと同じような感じの味だった。
雪花ビールは特に特徴は分からず、まあ飲みやすいビールだった。
歌謡ショーは「パンガpスムニダ」(お会いできて嬉しいです)から始まった。
朝鮮歌謡のほか、ここでも日本の歌謡曲を日本語で歌われていた。
昔懐かしい「瀬戸の花嫁」という歌だ。
ここでも接待員から客席テーブルへ花束の受け渡しがあった。
これは北朝鮮レストランのスタイルの一つであることは間違いないようだ。
歌謡ショーはまだまだ続いていたのだが満腹になったしまた外へ行きたくなったのでこの辺でレストランを出た。
9時過ぎ、またホテルの外へ出て付近を歩きに行く。
中山公園という広い公園が1キロほど先にある。
公園内は街灯が少なくて本当に暗いのだが楽器の練習をしている人、バドミントンで楽しんでいる人などなどとても賑わっていた。
ホテル裏の路地裏もまた本当に暗い。
だが串焼きの露店があちこちに出ていてあたり一帯とてもいい香りがただよっている。
串焼き、ちょっと食べたいのだがもう満腹で入らない。
瀋陽最後の町歩きを1時間ほど楽しんだ。
ホテルの部屋へ戻り、今日撮ったデジカメの写真をもう一度見てみる。
よくも丹東まで日帰りで行ったものだ。
北朝鮮側のあのひっそりした風景。
忘れられない。
目次へ戻る
たびのきろくへ
トップメニューへ戻る