韓国・臨津江と龍山旅行記(2002年8月10日〜12日)

臨津江駅龍山電子商街とソウル駅

 韓国を訪れるのは、3月の釜山旅行に続いて5ヶ月ぶりである。今回は夏のお盆休みということもあり航空券がとりにくいことを覚悟していたのだが、出発日近くなっても空席は残っており、普段より少し高めのJAL格安航空券を入手できた。普段の日に有給休暇をとって1週間くらいゆっくり滞在したいのだが、年々有給休暇を取りづらい労働環境になっているのは非常に残念なことである。

 2002年8月10日(土)
 11時成田発ソウル(仁川)行きのJAL953便に乗るべく、成田空港へ向かう。時期が時期だけに成田空港行きJR特急の成田エクスプレスは指定席は満席だったので立席になってしまった。毎回感じることは羽田空港から国際定期便を運行してほしいということである。
 予想通り成田空港はお盆休みを海外で過ごす人たちでごった返しており、テレビカメラもかなり来ていた。ほぼ定刻どおりに成田を離陸し、簡単な機内食を食べてガイドブックを見たりしているうちにインチョン空港着陸のアナウンスがあった。インチョン空港は以前の金浦空港に比べると比べ物にならないくらい広かった。
 今回の旅行は、ソウル往復の航空券しか持っていず、ホテルは予約していないのでインチョン空港の案内所で手配してもらった。私が以前利用した明洞近くのホテルをいくつか候補に挙げていたのだが、案内所の人によるとそれらのホテルはすべて満室とのこと、代わりにこの6月にオープンしたという南大門市場近くの新しいホテルを紹介してくれた。NEW KOREA HOTELというホテルで、以前私が泊まったレックスホテルのすぐそばにあり、宿泊料も1泊6000円と安かった。
 空港の外に出ると雨が降っていてかなり涼しい。横浜は連日のように猛暑が続いていたので助かった。
インチョン空港からソウル市内まではリムジンバスがたくさん出ているのだが、バスだけで行くのはつまらないので私は途中の金浦空港までリムジンバスで行き、金浦空港からホテルの最寄り駅の会賢駅までは地下鉄を使った。ソウルの地下鉄に乗ると車内で物売りによく出くわすのだが今回は一回も見ることがなかった。が、会賢駅ではホーム中央に堂々と風呂敷を敷き、雑貨品を売っているおばさんを見かけた。
 ソウル市内を移動するには地下鉄が安くて便利であるが、東京の地下鉄同様にいくつもの路線があり慣れないとわかりづらい。そこで、各駅の窓口においてあるポケット版の「ソウル地下鉄路線図」をもらっていつも携帯しながら見ていると分かりやすい。
 以前泊まったことのあるレックスホテルの最寄り駅である会賢駅に着いた。今回泊まる予定のNEW KOREA HOTELはすぐに見つかった。ごみごみと密集したところにあった。フロントで手続きを済ませて部屋に入ったが、きれいでかなりの広さだった。唯一の欠点は部屋にシャワーはあったのだがバスタブがなかったこと。夏はそれでもいいが冬はちょっと・・・という感じだ。部屋に荷物を置き、少し休んでから外に出た。もう、夕方4時を回っていた。地下鉄でチョンガクまで行き、インサドンとその周辺をブラブラしたりソウル駅に戻ってソウルステーションプラザ内の書籍売り場や雑貨品売り場を見たりした。インサドンではおなじみのお茶や陶磁器を売る店のほかにアロマテラピー関連のグッズを売る屋台が目立っていた。
 明日は京義線に乗る予定なのでソウル駅構内の売店で時刻表を買った。書籍売り場ではいくつかの漫画本を見たがクレヨンしんちゃんやドラゴンボールなど日本の漫画が人気なようだった。人口密度の高いソウル、どこへ行っても人でごった返していて歩きにくいくらいだ。街中ではおなじみのトッポッキなどを売る屋台があり、漂ってくる独特のにおいをかいでいると今、自分が韓国にいることを実感させてくれる。
 ソウル駅前広場の向かいにはワールドカップのオフィシャルグッズを売る店ができていた。
ソウル駅前広場のFIFAオフィシャルショップ
 夜は明洞の繁華街の各ショップを見て回り、夕食は味成屋(ミソンオク)というソルロンタン専門店に行った。ここはソウルに来ると必ず行く料理店である。明洞の狭い路地を入っていった奥にあって場所はわかりづらいが、ソルロンタンがおいしいことに加え、サービスで出されるキムチが飛びきりおいしいことといつ行っても空いていること、早朝から夜までやっているのでつい行ってしまう。値段も安い。観光客もほとんど見かけないのもいい。この店でビールとソルロンタンを注文し、店内のテレビを見ながらゆっくりと過ごすことができた。値段はこれで8000w(800円)くらいだったと記憶している。メニューはソルロンタンしかないので初めての人にもお勧めである。
 結局、明洞をぶらついていてホテルに戻ったのは10時を過ぎてしまった。

8月11日(日)
 今日は朝早くに起きて午前中は京義線に乗って臨津江駅まで行き周辺観光、午後はソウルの秋葉原・龍山にある電気街を見ること、ソウルの下町の永登浦市場(ヨンドゥンポシジャン)を見ること、ホテルそばの南大門市場散策などを予定している。朝食はホテル近くの南大門市場でとってもよかったのだがいったん市場に入ると面白くてなかなか出られない癖があるのでさっさとソウル駅へ向かうことにした。ソウル駅構内には早朝から多くの食堂が開いている。ハンバーガーショップ、ウドン店、韓国料理店などなど。何を食べようかいろいろ迷ったが、そのうちの一つの店に入りジャージャー麺を注文した。ジャージャー麺は甘口の味噌で炒めてある焼きそばみたいな麺料理である。韓国では子供に人気のメニューだそうだ。
 ところでジャージャー麺を店の人に注文するとしばらく待つように言われた。駅構内の食堂ではたいていどんな料理でもすぐに出されるのが普通である。しばらく様子を見ていると店の人は大きな冷蔵庫から大きくて白いかたまりを取り出してこね始めた。10分くらいかけてこねた後に製麺機のような機械にそれを入れている。案の定、その機械の下から細い麺が出てきていた。私は驚いてしまった。まさかジャージャー麺の麺をこねるところから作り始めるなんて・・・。だから店の人は私が注文したときにしばらく待つように言ったのだ。結局、20分以上待たされてようやくジャージャー麺にありつけた。待たされただけあってとてもおいしく、量も多くて満足できた。たくあんとたまねぎのスライスがついてこれで3000W(300円)。この店は壁に貼られているメニューを見るとチャンポンやご飯ものなどほかにもいろいろな料理があったが、客の多くはジャージャー麺を注文していたのでそれがこの店では一番おいしいメニューなのであろう。
 8時10分発の京義線に乗るべく、窓口で臨津江駅までの切符を買う。さらに北にある都羅山駅まで行けるのだが、都羅山駅からソウル駅へ戻る電車の本数が極端に少ないため今回はあきらめて臨津江駅までの往復にしたのである。ソウル駅構内の郊外線専用の窓口で切符を買ったが依然として日本では珍しい硬券の切符が残っていた。京義線はディーゼルカー、ソウル駅を出るとひたすら北に向かって走り続ける。しばらくすると車窓は日本でも見慣れた田園風景に変わりここが韓国か日本かわからなくなってしまう。郊外へ行くローカル線ということもあり、車内はだいぶ空いていた。時々思い出したように飲み物類やお菓子類を積んだ車内販売員がやってくる。これまた日本と同じ光景である。
 ソウル駅を出て1時間20分で終点の臨津江駅に到着した。駅はできたばかりで新しく、気持ちがよい。
臨津江駅に到着した京義線臨津江駅
 
 駅のまわりは広い公園になっており、その一角に「北韓特産物」とハングルで掲げた看板の店があった。北朝鮮の物産品を売っている店らしい。臨津江が国境に近いことを感じさせる。店内をのぞいてみると北朝鮮産のきのこ類、焼酎・高麗人参酒、切手などが売られていた。大変珍しいのでしばらくその店にいてしまったが、特に買いたいと思うものはなかった。今思えば北朝鮮・白頭山産のブルーベリー酒を買っておけばよかったと後悔している。公園をさらに奥へ行くと臨津閣という建物がありそこでは臨津江とさらにその向こうが見渡せるような展望台が設けられている。つい最近まで一般の韓国人はこれより先には行けなかったそうである。
 
 上の写真は左が臨津江駅の案内板、右は臨津江を渡って都羅山方面からやってくる電車である。この川を越えると国境はすぐである。駅名の案内板には平壌まで209KMの表示があった。先の南北首脳会談で京義線の南北連結をすることが確認されているが、まだまだ障害は多いようである。臨津江の景色をよく見ていると各所に小さな詰め所があり兵士が見張りをしているのがわかる。小さな緊張が感じられる。さて、2時間ほど付近を散策し、臨津江駅へ戻ると駅の中に数名の兵士がいて検問をしていた。これはこれより北の都羅山行く乗客を検問していることがわかった。ここでも緊張が感じられた。
 私は、南北の平和的な統一を願いながら臨津江駅を後にし、ソウル駅へと戻った。
 ソウル駅へ戻ったのはちょうど昼の1時過ぎ、駅構内の食堂でテンジャンチゲ(韓国風味噌汁)の定食を食べてからソウルの秋葉原である龍山の電気街へ向かった。パソコン類と韓国映画のDVD、VCDを見たかったからである。ソウル駅から地下鉄で乗り換え含めてすぐであった。龍山は秋葉原以上の規模であり、予想以上に楽しめた。私は韓国映画が好きなのでそのVCDやDVDを売っている店を探したが、すぐに見つけることができた。2枚で5000w(500円)と驚く安さだった。私は以前から見たいと思っていた「8月のクリスマス」を始め数枚の映画ソフトを購入した。日本の映画で「ぽっぽや」も売っていたので迷わず買った。帰国後、「8月のクリスマス」を見てみたが、久しぶりにいい韓国映画に出会った気がし、すっかりこの映画のとりこになってしまった。台詞はあまり多くない映画であるが、その分、主演の韓石圭も沈銀河も絶妙の表情で演じているのが分かった。ぜひいつかこの映画のロケ地である群山に行ってみたいと感じた。
 龍山の電気街は秋葉原とは違って大きなビルの中にいくつものショップが入っている形式のところが多かった。店の人の呼び込みが激しく、ゆっくりと品物を見れないところもあった。
 充分時間をかけて楽しんだ後、今度はまた地下鉄で永登浦市場(ヨンドゥンポシジャン)へ向かった。ここはガイドブックには掲載されていず、おそらく下町の大きな市場がある町だろうと自分で勝手に判断して行ったのであるが、果たしてそうであった。市場は駅から歩いて5〜6分くらいの場所にあったが、南大門市場に比べると明らかに地元の人向けのある意味で地味な市場であることが分かった。市場は昔ながらの長いアーケードがいくつか交差するつくりになっており、衣類、食品類、粉食と呼ばれる各種韓国料理の屋台などで構成されていた。南大門市場のように激しい呼び込み、客引きがないのでゆっくりと歩いて見ることができた。また、日本人を含む外国人観光客はいないように思われた。
永登浦市場の入り口
写真は永登浦市場入り口。このアーケードにいったん入ってしまうと面白くてなかなか出てこれなくなる。この市場は観光化されていないのでぜひまた訪れてみたいと思った。韓国人の生の生活が感じられる場所であった。 
 夕方はホテル周辺の南大門市場をブラブラと歩いたり、お土産を買いに明洞のロッテデパートの地下食品売り場へ行ったりした。南大門市場ではワールドカップで有名になった??韓国チームサポーターが着ている赤いTシャツを買った。生地はしっかりしていて1枚3000w(300円)という安さ!このTシャツを着ている人を市内のいたるところで見かけ、韓国人のサッカー熱には驚かされた。ロッテデパートでは地下食品売り場で韓国産の煮干を買った。これは自宅でラーメンや味噌汁のダシに使いたいと思ったからで、帰国後に家で使うと本当にいいダシがとれた。大袋で5000w(500円)であった。
 デパートの地下食品売り場は日曜日ということもあり日本では経験できないような異常な混雑ぶりだった。ここはガイドブックにも掲載されているせいか、韓国の即席ラーメンやのりを大量に買っている日本人観光客がたくさんいた。
 夜は昨日と同じく明洞のショップや屋台をブラブラし、夕食は参鶏湯を食べた。
 8月12日(月)
 今日は帰国する日、帰りの飛行機は午後2時過ぎであるが午前中に再度、南大門市場とソウル駅内のソウルステーションプラザなどを散策した後に早めに空港へ向かった。空港へはソウル駅前からリムジンバスが出ている。
 仁川空港では時間があったので喫茶店に入って休んでいた。キウイジュースを注文したが値段は8000w(800円)もはやここは韓国の物価が通用するところではなかった。ところでこの空港は私が行った空港の中では一番大きな空港だった。ここでお土産を買うときは一通り店をブラブラしていてはいけない。何しろずーっと向こうまで同じような店が並んでいて歩くだけで疲れてしまうからだ。あらかじめ何が買いたいのか決めておいたほうがよい。実際、フロア内で空港職員は小さな電気の車で移動していた。
 日本に帰ってからは毎度のことながら物価の高さにがっかりさせられる日が続いた。



                   トップメニューへ


 
 

 

アクセス解析