江原道(道渓・古汗・アウラジ・甑山)とソウル・ロケ地の旅(2007年1月3日〜1月6日)
    

              
                  

                  



1月4日(木)

 今日は1日、韓国鉄道を乗ったり降りたりして過ごすことにしている。
1〜2時間に1本しか運行しないヨンドン線に乗って道渓、古汗を途中下車、なおかつ1日2本しか運行しない旌善線で甑山⇔アウラジを往復したい。
この旅の一番の目的がこれだった。
事前の計画段階で時刻表とにらめっこしながらいくつか案を作った。
ソウルからいきなり旌善まで市外バスで行くのがよいのか、高速バスでソウルから原州経由で行った方がいいのかなどいろいろルートを考えた。
どうやらソウル方面からバスや列車で攻めるより江陵から鉄道で攻めたほうが列車の接続が良く、効率的に動けることがわかってきた。
今回、初日から江陵に泊まったのはこんな理由があるためだ。

今日のスケジュールは以下の通りである。

江陵駅7:00発 ヨンドン線ムグンファ号→道渓駅8:24着(次の列車まで1時間56分の空き時間・道渓の街歩き)
道渓駅10:20発 ヨンドン線ムグンファ号→古汗駅11:17着(次の列車まで1時間52分の空き時間・古汗の街歩き)
古汗駅13:09発 ヨンドン線ムグンファ号→甑山駅13:25着(次の列車まで35分の空き時間)
甑山駅14:00発 旌善線アリラン観覧列車→アウラジ駅14:50着(次の列車まで50分の空き時間・アウラジの川、旌善アリランの碑など散策)
アウラジ駅15:30発 旌善線アリラン観覧列車→甑山駅16:20着(帰りの江陵行き列車まで1時間17分の空き時間・甑山駅周辺、甑山五日市など散策)
甑山駅17:37発 ヨンドン線ムグンファ号→江陵駅20:10着


とりあえず朝7時、江陵駅始発のムグンファ号、清涼里行きに乗らなければならない。
が、私が泊まったモーテルは駅のすぐそばなので気が楽だ。
朝の江陵駅構内はほとんど人がいない。
きっぷ売り場で道渓までの切符を買う。5000Wだった。
切符には「2号車37席」とある。
とりあえずは道渓までの1時間23分の旅だ。
私が乗ったこのムグンファ号はガラガラだった。
   
※朝7時前、江陵駅に入線したムグンファ号、清涼里行き。まだ真っ暗だ。

そりゃそうだろう、江陵からわざわざ6時間30分もかけてソウルの清涼里へ行くのはナンセンスだ。
高速バスではその半分の時間で行けるのだから。
が、初めて乗る路線というのはワクワクするものだ。
列車はしばらくすると韓国内で一番海に近い駅である正東津駅に着いた。
ホームのすぐ先は海である。
ここは初日の出見物の名所だそうだ。

※正東津駅。ホームの前は海岸である。

列車はこのあと東海など数個の駅に停車してほぼ時刻どおりに道渓駅に着いた。
韓国映画「花咲く春が来れば」で観た通りの山あいの小さな町だ。
江陵に比べるととても寒いし空気が澄んだ感じがする。
  
※道渓駅

古汗へ行く次の列車まで2時間近く時間があるのでさっそく街歩きを開始する。
道渓駅前広場を過ぎて右方向へ。
どこにいてもこの街が山に囲まれていることを実感できる、そんな風景が印象的だ。
  
※道渓駅のまわりはこんな感じの風景

あちこちに雪が残っている。
駅周辺はモーテルや個人商店など並んでいるがとにかく静かだ。
高い建物が全然ないので落ち着いている。
しばらく歩くと炭鉱の街らしく「大韓石炭公社 道渓鉱業所」なる建物を見つけた。
すぐ近くには「大韓石炭公社 労働組合道渓支部」の事務所もあった。
炭鉱労働者を題材にした昔の韓国映画を思い出した。

※大韓石炭公社道渓鉱業所

駅から少しはなれ、山側へ歩いていくと斜面に平屋の古い薄汚れた長屋式の住居がいくつも固まっている。
おそらく炭鉱労働者の住居だろう。
住居の煙突からは時折り煙が出ているのを確認できる。
  
※長屋式の住居

その付近には使い終わって白くなった練炭があちこちに捨ててある。
昔の韓国映画の雰囲気を感じることができたものの、複雑な気分になって再び道渓駅に戻る。
お腹が空いたので食堂を探したがやっている店がほとんどない。
ところが、恐るべしキムパブ天国。
こんな山あいの小さな田舎町にまで進出している。
体がすっかり冷えてしまったのでキムパブ天国でチャンチククス(2500W)を食べる。
やっぱり寒い時は温かいものが一番だ。

※チャンチククス 2500W

元気が出たところで今度は道渓駅を左方向へ歩く。
しばらく歩くとチョンド市場なる小さなアーケード式の市場を見つけた。
アーケード式の市場というのはたいてい中が薄暗いのだがここは違う。
外からの光がたくさん入る明るい市場だ。
珍しい。

※明るいアーケード式の市場は珍しい

まだやっている店は少なかったが肉屋、八百屋、食堂、洋品、かばん屋などひととおり揃っているようだった。
まだ閉まっている八百屋の前には今日売る予定の品だろうか、野菜や唐辛子がたくさん積まれている。
個人商店を一つ一つゆっくり見ているうちに時間切れだ。
古汗へ向けて出発する。
列車はだんだんと山の奥深くへ入り、しだいに速度が遅いまま走るようになってきた。
しばらくして、反対方向へ走る旨の車内アナウンスがあった。
これが例のスイッチバックだ。
ワクワクする。
列車の速度は箱根登山鉄道並みに遅いままだが見る見るうちに先ほどいたスイッチバック箇所がはるか下のほうに見えるようになった。
非常に景色がよい。
 
※こんな山深い高いところを列車はゆっくりと走る
 
よくもこんな深くて高い山の中に鉄道を敷いたものだと感心しながらずっと外を眺めていた。
古汗駅へ近づくにつれて、雪が多くなってきた。外はかなり寒いのだろう。
ほぼ時間通りに古汗駅に着く。
駅前には大きな看板があり、よく見ると「海抜700メートル」とのこと。
寒いわけだ。
 
※古汗駅。                          ※「ここが海抜700メートル」の碑

ここ、古汗は韓国映画「追われし者の挽歌」の舞台となった場所である。
炭鉱の労使問題を元に社会のひずみを描いた映画だ。
この映画を観たのは確かまだ学生の頃だった。
韓国のタバンを知ったのも、旅人宿なる宿を知ったのもこの映画がきっかけだった。
この町も道渓同様に山に囲まれた小さな町だ。

が、古汗は近年、炭鉱を開発してスキー場になっているところもあるようだ。
駅からしばらく歩いたところに古汗公設市場なる薄暗いアーケードの市場を見つける。
ごく普通の在来市場だがやっぱり市場をブラブラ歩くのはとても楽しい。
肉屋が目立つ。
  
市場近くには靴屋、本屋、雑貨屋、モーテル、食堂などかなり小さな規模だが個人商店が集まっている。
セブンイレブンがこんな町にもあるのか、と感心しながら看板を見るとなんと店名は「7days」。
看板のデザインはセブンイレブンそっくりだ。

※セブンイレブン じゃないよ(^^;)

古汗駅向かいの丘の上に上がると街が一望できる。
しばらくここで映画「追われし者の挽歌」のシーンを思い出しながら景色を楽しむ。
古汗駅を中心に本当にコンパクトにまとまった街であることがわかる。

※古汗の街を一望

あっという間に1時間50分弱の空き時間を使ってしまった。
次は甑山駅へ。
そこから旌善線アリラン観覧列車に乗り換えて終点のアウラジまで行く。
この旌善線、なんと1日に2本しか運行していない。
旌善線の客車は1両のみ、あとはディーゼル車と??な車両が1両、計3両編成である。
  
※旌善アリラン観覧列車。                 ※車内はこんな感じ。

客車内は窓に向かって座席とテーブルが設置してあり、また天井には沿線の風景が張り出されている。
始発駅の甑山駅から終着のアウラジ駅まで50分、途中旌善をはじめ数個の駅に停まる。
車内アナウンスはテープで、駅名アナウンスのほか名所案内なども聞けた。
途中の街、旌善以外はずっと川に沿った山の中を走る列車でこれまた景色がとてもよい。
50分はあっという間だ。
終点のアウラジ駅に着くが折り返しの列車が50分後に発車する。
これを逃すともうその日の列車はない(^^;)
アウラジ駅前に大きな魚の建造物が横たわっていてそこがカフェになっている。
  
※アウラジ駅                           ※カフェ

それ以外では山の中の村という雰囲気、個人商店と旅人宿が1軒、平屋の家が数軒、あとは空き地や畑ばかりだ。
私はまず、アウラジ駅の名前になっている「アウラジ」を見に行った。
アウラジとは交わるという意味があるとのこと。
駅から徒歩数分、畑というか、野原のようなところを歩いて行ったところに川が流れているのだが2つの川がちょうど一つに交わる地点がある。
その場所がアウラジで碑も立っている。
  
ここは旌善アリランの発祥の地。
韓国ドラマ「めっちゃ大好き」の主人公の出身地と設定されている場所でもあり、ドラマの中で旌善アリランを初めて聞いたのだがなんとも郷愁ある歌で忘れられない。
そんなアリラン発祥の地を見てみたかったのだ。
はるばるここまで来た甲斐があった、そう思わせてくれる風景が広がっている。
まわりは緑と川の流れる音のみ。
誰もいない自然の風景だ。
今、自分が韓国にいるのか日本にいるのか分からなくなる感じさえする。
アウラジ駅へ戻り、個人商店でお菓子を買って列車へ戻る。
甑山駅まで戻り、江陵行きの列車まで時間があるので外に出る。
  
※甑山駅                         ※駅から街を見下ろす

甑山駅は街の高台にあって駅前から街を見下ろせる。
ここもまた山あいの小さな町だが大きなホテルが1軒あるのが目立つ。
ちょうど甑山五日市をやっているのを見つける。
売られているものは日常の食料品や洋品ばかりだがここは青空市場になっている。
付近には小さなスーパーが1軒あるのみなので生鮮品に関してはこの五日市は貴重な市なのだろう。

※甑山五日市

最後の列車の旅程、これから江陵へ戻ることにする。
甑山駅から終着江陵駅まで約2時間半ほどかかる。
あたりはもう暗くなってきた。
山あいの街の夕暮れは早いし寒い。
今日は1日ずっと歩き回っていたせいか、帰りの列車の中ではずっと寝ていた(^^;)
江陵駅には若干遅れて20:30頃到着した。
やっぱりここはとても淋しい感じの駅だ。
夜に降り立つと余計にそう感じる。
モーテルへ戻る前に、ご飯を食べに行く。
駅からバスターミナル方面へ数分歩いたところにちょっとした繁華街があってそこには食堂が集まっている。
途中、旅人宿前を通ると相変わらず客引きがしつこい(^^;)
ウェルビーング食堂なる食堂を見つける。
でもごく普通の韓食堂のようだ(^^;)
客はおらず、店のおばさんが一人KBSドラマを見ていた。
ペッパン(定食・5000W)があるようなのでそれを頼む。
これは大当たりだった。

※ペッパン5000W。

ご飯とテンジャンチゲ(ちょっと小さめ)のほかに焼き魚(さば)や手作り風のハンバーグをはじめおかずが9皿。
さばは脂がのっていて塩加減もばっちりだった。
ハンバーグが出てきてびっくりしたが出来合いの味ではなくて家で食べるような本当に手作りの味のハンバーグだった。
店内には小さなボードが掲げられていて「今日の推薦メニュー・ハタハタチゲ」と手書きされていた。
魚のチゲも捨てがたい。
帰り際に焼き魚がとても美味しかったと言うと食堂のおばさんはとても喜んでくれた。
モーテルへ戻ると受付のおばさんが、「済州島の親戚からみかんをいただいたから食べて」と甘いみかんを数個くれた。
ちょっと嬉しくなる。
こうして楽しい2日目は終わった。


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