韓国映画「8月のクリスマス」ロケ地・群山旅行記(2002年11月8日〜11月10日)

8月のクリスマス写真館跡

 この夏に7回目の韓国旅行をし、そこで偶然に買った韓国映画のVCD「8月のクリスマス」を見て以来、そのストーリーの舞台となっている群山の写真館周辺を絶対に自分の目で見てみたいと思うようになった。そしてその機会を探していたのであるが、このたび、やっとそれが実現することとなった。
 今回8回目となる韓国旅行も例によって2泊3日の短いものだったが今まで以上に充実した旅行となった。(*^▽^*)
 本当は1週間くらいの有給休暇を取り、ゆっくりと過ごしたかったのであるがとてもそんなことのできる職場ではないのでハードスケジュールは目に見えていた。
 ところで、今回の旅行の目的は映画「8月のクリスマス」のロケ地を見ることともう一つ、韓国の日韓交流インターネットホームページで知り合った韓国人メル友に初めて会うことであった。このメル友(仮名・ナリさん)は現在ソウルで日本語の学校に通っており、日本のドラマが大好きな20代前半の女の子で、これまでメール交換やチャットはたびたびお互いに行ってきていた。英語が非常にうまいので私はチャットの際はいつも英語の辞書を欠かすことができなかった。(^^;;
 事前にこの旅行のことをメールで知らせ、ソウルでお互いに「初対面」する計画を立てていた。

2002年 11月8日(金)
 今回の韓国行きも事前に成田ーソウル間の格安チケットのみを準備し、ホテルは現地で探すというパターンを取った。ツアーに参加し、行きたくもない高いキムチ店や免税店に連れて行かされて無駄な時間をを過ごすのが嫌だったからである。平日だというのに成田空港は相変わらず混み合っていた。今回利用する航空会社は初めて利用するアシアナ航空だった。韓国の航空会社なのでどんな韓国食が出るか機内食に少し期待していた。搭乗機はほぼ定刻どおりに成田を10:00に出発した。機内の混み具合は8〜9割位だろうか?相変わらずこの路線は人気が高いようだ。
 期待していた機内食はなんと、純日本食が出てきてがっかりさせられた。メニューはちらし寿司、各種煮物類、鶏の照り焼きなどであった。(≧д≦)
機内食を食べ終わり、食後のコーヒーのおかわりをもらったりしているうちに「あと15分でインチョン国際空港到着」のアナウンスがあった。ソウルへは飛行機に乗ってしまえば沖縄へ行くより近い。インチョン空港はまだ新しく、きれいで広くて本当に気持ちがよい。
 インチョン空港のホテル案内カウンターでホテル予約をする。日本語は通じず、英語と韓国語のミックスでやり取りする。ところでこのカウンターは「ホテル」案内専用カウンターなのであるが、私の前の人(日本人)がこのカウンターでソウル市内で格安の旅館はないものか?と長い時間ねばっており、カウンターの係員もウンザリしている様子だった。私は、ソウルの繁華街チョンノにあるホテルを紹介してもらい、空港からソウル駅前まで高速バスで向かった。空港ビルを出ると外は日本の真冬並みの寒さ。鋭い感じの寒さだった。ソウル駅行きの空港バスを待っていると、空港バスの係員がきてどこへ行くのか?とか、まだ来ないから座って待ってて、とかいろいろと話しかけてきた。バスに乗り、窓からいろいろな店の看板にあふれるハングルを見ているとようやく韓国に来たんだと実感がわいてきた。
 通常50分程度でソウル駅に着くのであるが、例によってソウル市内のひどい渋滞のためさらに20分程度余計にかかった。外は少し雪がちらついていた。
 もう、何度も訪れているソウル、宿泊予定のホテルへは地下鉄を利用してすぐに見つけることができた。ソウルの繁華街・チョンノの仁寺洞近くにあるクラウンホテルで、地下鉄駅にも近く良好な立地だった。
 ホテルで荷物の整理をし、私はすぐに今夜、初対面する予定のナリさんの携帯へ「初めて」連絡を入れる。メールやチャットでは何度も話しはしているもののかなりの緊張である。(^^;;
 電話をすると、なんと「黒猫のタンゴ」の音楽が流れてきた。どうやらこれが携帯の呼び出し音らしい。あとで彼女に聞いてみるとやはりそうであり、インターネットで携帯のいろいろな音楽の設定ができるということであった。日本の携帯も「プルルル・・・・」ではなくこのようなシステムがあれば楽しめるのに。。。
 10秒くらい「黒猫のタンゴ」が流れた後、いきなり「ヨボセヨ?(もしもし?)」。。。緊張が最高潮に達する。こちらも落ち着いて「ヨボセヨ?マッシーイムニダ」と韓国語で答えると、「あ〜、アハハハハハハッ」と、ナリさんの笑い声が聞こえてきた。これで少し落ち着いてしゃべれるようになり、この後の待ち合わせ場所や時間を決めて電話を切った。待ち合わせ場所は仁寺洞のスターバックスの前に6時、と決めた。
 まだ2時間以上時間があるので私は今回の旅行の目的の一つ韓国映画のVCDの買い物へ行くことにした。ソウル駅から電車で10分位のところに龍山という日本の秋葉原のような電気街があり、たくさんのDVDやVCDが大変安く売られているのである。私はそこで10本以上の韓国映画のVCDを買った。こんなにたくさんで40000W(4000円)以下だった記憶がある。「接続」、「約束」、「チング」などお気に入りの映画VCDを買うことができた。
 買い物に満足して仁寺洞へ戻るともう、ナリさんとの待ち合わせ時間の6時近くになっていた。この時間、外は非常に寒くなっているが週末ということもあり仁寺洞の通りはたくさんの人通りが絶えることがない。そうこうしているうちにスターバックスの前でおたがいの初対面を果たすことができた。事前におたがいの写真はメールを通じて送ってあるのですぐに分かった。しかし、初対面の際にどんな挨拶をお互いにしたのかは緊張していたので覚えていない。この後、韓国料理の食堂や韓国伝統茶の喫茶店へ連れて行ってもらったり、前から行ってみたいと思っていたPC房へ連れて行ってもらったりした。ナリさんとは韓国語、英語、日本語のミックスでいろいろと本当のおしゃべりをして(普段はパソコンのチャットなので)楽しんだが、同時に自分の英語発音の貧弱さも思い知らされた。(≧д≦)自分の言いたいことがなかなか表現できず、筆談もしばしば行ったりした。
 韓国伝統茶の喫茶店へ行ったのは私は今回で2回目だった。仁寺洞あたりはこの種の喫茶店が多い。ところで、私が連れて行ってもらった韓国伝統茶の喫茶店は、メニューがなんと原稿用紙に手書きで書かれていた。お店にはマスターと思われるおばさんが1人カウンターにいるだけだった。店内は日本の昔の農家のような造りになっており、今、韓国にいることを忘れてしまいそうなくらいの落ち着いた雰囲気だった。私はメニューを見て「高麗人参緑茶」をナリさんは「ユジャ茶(ゆず茶)」を注文したが、マスターによると私が頼んだ「高麗人参緑茶」は今はできないらしい。そこで私は「テジュ茶(なつめ茶)」を注文したがマスターはまた何かいいたそうだったので、「テジュ茶もないの?」と韓国語で聞くとなぜかそれが大受けしたらしく、マスターとナリさんは大笑いしていた。先ほど連れて行ってもらった食堂では私はご馳走になってしまったので今度は私が払うと言った。韓国人には「割り勘」の制度はないようである。私がマスターのおばさんへお金を払っていると、おばさんはいやにニコニコしていた。あとでナリさんが教えてくれた。「あのマスターのおばさんはあなたのことが好きみたいよ」と。(^^;;
 名残惜しかったが時間も時間だったのでナリさんとは10時過ぎに別れた。遅くまで寒い中私に付き合ってくれてjyongmal kamsa ham nida!! 本当にいい思い出になりました。私はその後しばらくチョンノの繁華街をぶらついた後にホテルに戻り明日の群山行きの確認をした。

 11月9日(土)
 今日はこの旅行のメインイベントである、群山へ行く予定である。群山はソウルの南243キロの西海岸沿いにある街であるが、めぼしい観光地がないせいか、ガイドブックにはまったく掲載されていない。そこで韓国内で発売されている冊子になっている時刻表が頼りになる。
 ソウルから群山まで行くには鉄道と高速バスの2種類の行き方がある。私は便数が多い高速バスで行くことに決めた。群山行きバスはソウル高速バスターミナルから15分〜30分おきに運行されており、所要時間は約3時間20分である。距離はチケットによると、243.5キロとある。ということで今日は6時には起きてホテルを出、何とか7時の群山行き高速バスに乗ることができた。運賃は16100w(1610円)の安さだった。韓国の高速バスは特に高速優等バスは座席が非常にゆったりしていて大きく、気持ちがよい。バスは時間通りにソウル高速バスターミナルを出発、7割程度の混み具合だったと記憶している。朝食を食堂で食べる時間がなかったのでターミナルの売店で買ったパンとジュースを食べながらぼんやりと窓の景色を楽しんだ。朝が早かったせいか、そのうちうとうとと寝てしまったようだ。と、オルゴールのメロディが聞こえてきたので目が覚めた。車内放送だった。今、自分がバスに乗っていたことに気づくとともにバスは高速道路のサービスエリアに駐車しようとしている最中だった。オルゴールの音楽の後、このサービスエリア(ソサン休憩所)に寄る旨の車内アナウンスがあった。
 3時間20分の長い時間の移動なので途中でトイレ休憩に寄ったようだった。バスはこの後もしばらく高速道路を走り続け、定刻よりも早く群山の小さなバスターミナルに到着した。本当になんか、小さな郊外の町のバスターミナルといった感じである。
 私はまず、帰りのソウル行きの高速バスのチケットを予約した。いよいよ「8月のクリスマス」のロケ地へ行くことにする。
 映画に出てきた写真館のあるエリアまではバスターミナルからゆっくりと歩いて30分くらいであった。行き方はあらかじめナリさんに頼んでネットで調べてもらっておいた。ついに念願のロケ地に到着。まずはやはり写真館から見ることにした。もちろん写真館は映画上の設定なので現在は少々違う建物にはなっていたがここにあのジョンウォン(ハンソッキュ)とタリム(シム ウナ)がいたと思うと感動とともに本当に不思議な感じがしてならなかった。このエリアは群山の繁華街からは離れているため非常に静かだし、ローカルな雰囲気が味わえた。写真もばっちりと撮った。他にもジョンウォン(ハンソッキュ)がタリム(シムウナ)へアイスを買った店(休み?だった)やところどころに映画の中に出てくるあの小学校、タリムたちが追い出された「チンミ食堂」、最後に出てくる「FEEL」喫茶店、ジョンウォンとチョルグが「酒を飲んで死のう!」と騒いでいた場所などなど、ほぼ当時の映画のままの光景が残っており非常に感慨深く見ることができた。
8月のクリスマスのシンボル・写真館跡 ジョンウォンがタリムにアイスクリームを買った店・元ウリスポ タリムと先輩が入店を断られた食堂

写真館跡の向かいにあるレストランアルプス・オレンジの看板には8月のクリスマスのハングル文字が 映画の最後、死期が近いジョンウォンがこの喫茶店からタリムを眺めた タリムと先輩がハンバーガーをここで食べていたらジョンウォンがスクーターでここへ

 名残惜しかったが帰りのバスの時間も考えて、結局この写真館周辺には2時間程度しか滞在できなかった。また、私は群山駅の横にあったローカルな雰囲気いっぱいの市場が気になっていたのでそれを見に行くことにした。群山駅のすぐ横から数百メートルもの長いアーケードでつながっているこの市場は沖縄の牧志公設市場を思い出させるような、本当にローカル色いっぱいの市場だった。野菜・果物類(スイカやぶどうがまだあった!!)魚介類、衣類、韓国料理の露店、煮干や唐辛子を売る乾物屋、アーケードの中はうす暗く、キムチのようなにんにくのような独特の匂いでいっぱいでエスニックムード満点だった。また、ソウルの南大門市場のように客への呼び込みがないのでゆっくりと見ることができた。観光地めぐりもいいがこのような日常のなんでもない風景を見るほうが後になって記憶によく残っている。
 昼は群山の高速バスターミナル斜め向かいの雑居ビル1階にある小さな食堂でとった。私はメニューを見てテンジャンチゲ(韓国の味噌チゲ)を頼んだのであるが・・・・注文して待っていると店のおばさんが大変大きなお盆を持ってやってきた。そこには何とキムチが10皿(10種類も)並んでいた。写真参照(左は食堂でとった写真、右は群山市内の文房具店の前にあったガチャガチャ・・・むかし、日本の駄菓子屋によく合ったのと同じ!!!!硬貨を入れてレバーをまわすとカプセルに入ったおもちゃが出てくる)
テンジャンチゲと大量のキムチ。これで4000W(400円)!!昔、日本の駄菓子屋にもあった!!!! 
 このキムチはタラの干物のキムチ、からし菜キムチ、ジャガイモの甘煮、白菜キムチ、じゃこキムチ、ノビルキムチ、小松菜?キムチ、ナムル、ケジャン(かにキムチ)、あと1種類は思い出せない。。。そして手前左がテンジャンチゲ、右がご飯である。キムチは量が多すぎて全部は食べ切れそうになかったのがせっかくなので全種類箸をつけてみた。日本で食べれないキムチも多くあり、また、日本で買うと非常に高いかにキムチ(ケジャン)が大変おいしかった。テンジャンチゲは店によっていろいろと味が違うことがこれまでに分かってきたが、この店はアサリや食べたことのない貝類がたくさん入っていてとても美味しかった。群山は海に大変近い街なので魚介類も安いのだろう。ご飯が少なくなってきた頃、店のおばさんがやってきておかわりがほしいかどうかたずねて来た。本当にサービス満点の店である。私の経験上、やはりソウル市内の食堂ではつき出しで出されるキムチの種類、量は少なく、料理の値段も若干高め(日本に比べたらそれでもバカ安であるが)そしてソウルから離れるほどキムチの量、種類も多くなり、料理の値段も安くなるということは何度か実感していた。
 ところで、これだけ食べてなんと4000W(400円)こちらが心配になるほど安かった。あとでナリさんに聞いたらやはりこの量で4000Wは韓国内でも安いらしい。日韓両国の経済水準の差はあれ、日本の焼肉屋でキムチ1品で400円していることを考えると恐ろしくなる。
 昼食後は群山市内の繁華街をあちこち歩き回って2時にソウルへ向けて出発した。帰りは高速道路の水原インター付近から渋滞し始め、4時間近くかかってソウルへ到着した。ガイドブックにもまったく掲載されておらず、観光化されていないこの群山という街はローカルな韓国の雰囲気がよく味わえることができて、私のお気に入りの街となった。
 夜は仁寺洞でお土産類を何点か買ったり、引き続きチョンノの繁華街を見て回り、この日の予定を終えた。

 11月10日(日)
 今日は早くも帰国する日である。明日からまた辛い仕事が始まるかと思うと非常に憂鬱になってくる。
 帰りの飛行機は10時インチョン空港発なので早朝にホテルを出る。途中、ソウル駅に寄り、駅構内で韓国のお菓子や餅や果物などのお土産類を買い込む。空港で買うと非常に高いので。韓国のみかんは味が濃くて非常に甘いことが分かったのでみかんを見つけるたびに買って帰ることにしている。
 駅構内の売店や設置されているテレビを見ているうちに空港バスの時間になったのでソウル駅前からバスに乗り、空港へ向かった。
 
 群山高速バスターミナル

 
 トップメニュー



 
 
 



アクセス解析