大辞典総合 第1話〜第6話について収録
ようやく大辞典総合です。誤字脱字はないと思います。が、表記中おかしな言い回しがあるのは原文の通りに入力したためです。(あらかじめ)
早引き、システム言葉別くん
あ行か行さ行た行な行は行ま行や行ら行わ行

ア行

RX計画 宇宙怪獣に対抗する新型機動兵器RXシリーズ(マシーン兵器)の開発と、そのパイロット養成、さらにバスターマシーン開発を目的とした計画。

RX-7 トップ部隊が搭乗する格闘用機動兵器。重力下、無重力空間を問わず作戦行動が可能な巨大兵士。ノリコ専用機は頭頂高8.8m。武装はプラズマランサー・プラズマビアンキ・専用銃等。内装武器は下腕部に収納されたトライアングル・クロー。超小型縮退炉が主機関、超伝導モーターにより駆動する。敵(小型)宇宙怪獣に対しての近接格闘戦や、他天体の調査など、多目的使用を考慮したものである。巨大戦艦や兵器の修理・作業にも使用される。電撃兵器が多いのは、敵宇宙怪獣の生体組織に有効な攻撃手段と判断されたため。2008年の日米戦争で日本軍(空間自衛隊)が使用したロボット兵器「RX-1」がその母体。設定上では、ニッサンとフォルクスワーゲンが共同開発した、という事になっている。コーチの機体は軍用でサイズがやや大きい。言うまでもなく「トップ」で、最も細かく設定されているのが、RX-7である。この設定考証は庵野監督のものではないが、実在のブランドを見せることによるリアル感へのコダワリは95年度作品「新世紀エヴァンゲリオン」でも見られる。アニメでは、「マクロス」の新中州重工、「パトレイバー」のシャフト、「攻殻機動隊」のセプロ等、架空ブランドを設定することが多い。(「トップ」でもGMWという大手自動車メーカーの合併が行われたという設定がある。)アニメでリアルなブランドを表現するのにこだわった最初の作品は、同じくビクター音産のOVAヒット作「メガゾーン23」だろう。ネーミングは勿論、サバンナRX-7から。だが、これはニッサンでなく、マツダ製。

RX-7のデザイン 「トップ」の企画案に「リックドムの様に不格好なロボットを美少女が操縦する」というコンセプトがあり(イメージボード参照)、RX-7は鉄人28号やガメラなど、種々のソースを初期のコンセプトに合わせてまとめあげたといえる。樋口案→庵野案→大畑設定→前田クリンUPというラインで完成された。頭部ヘルメットのデザインイメージは「快傑ズバット」。ガメラ風甲羅は「背面を描くのが楽だから」という理由から。カラーリングは、ジャージとバイク(8耐等レーサー用)のイメージ。これはスタッフにバイク好きが多かったため。「TECH-21」も出典はココ。ノリコ機には当初肩に日の丸が、カズミ機にはパーソナルエンブレムがマーキングされる予定だった。ゼネプロ製ガレージキット発売の際に案野ラフによる銃の設定が追加された。

RX-7の塗装(1〜4話) 同じRX-7とは言っても、頭部はパイロットの好みで変えることが許されており、カラーリングも自由にしてよいようだ。ノリコのマシーン兵器にはヒップの部分に日の丸が、カズミの機体にはイニシャルのKの文字が書かれている。ボディに自分の出身国の国旗などを描く場合が多いようだが、変わったところでは3話に登場した「YZF SHISEIDO TECH21」と描かれたものや、白黒ダンダラ模様に「誠」と描かれた(新撰組?)ものなどがある。また、コスモアタッカーVも同様にパイロットが塗装しているようで、尾翼に「GO!」と描かれたものや、かわいいウサギさんが描かれたものがあった。

RX-7のニックネーム 本編には登場していないが、RX-7の各機体にはそれぞれニックネームがつけられている。ノリコ機はナウシカ、カズミ機はジゼル、ユング機はミーシャ、スミス機はイーグルサム、コーチ機はザトペック。

アイス・セカンド 2003年に結晶化に成功した、人類が最初に手にした常温で重力縮退している氷の同位体結晶。アイス・セカンドが崩壊する際に放出されるエネルギーは莫大なもので、これが縮退炉の燃料となる。

亜シネスコサイズ 6話の画面サイズは、スタッフの間でこう呼ばれていた。ビスタサイズよりも横長で、シネスコほど細長くないサイズである。他にも「ビスタサイズ(ビスタ+シネスコ)」とも呼ばれていた。作画や撮影はテレビのスタンダードフレームで作業を行い、ビデオフォーマットの時に上下に黒味を入れ、トリミングするというスタイルで作られている。ムック等にはセル画がトリミング前の状態で掲載されていることがあり、完成作品では黒味で隠れて見ることの出来ない部分を見ることができる。

アナログ表示 「トップ」世界では、メカの各種表示は数字で表示するデジタル方式ではなく、古風なアナログ方式が基本になっている(一部に例外アリ)。宇宙空間の戦闘シーンではマシーン兵器RX-7の暗いコクピット内部にアナログメーターが綺麗に光り輝き、なかなかよいアジをだしている。

アマノカズミ 本編の副主人公。またの名を「バラの女王様」。学園生活では下級生はおろか同級生からも「お姉様」と呼ばれ、敬愛されていた。2004年11月15日生まれ血液型B型。身長168cm。B83・W60・H85。理知的で優雅、しかし、相当に思い込みが激しい人でもある。彼女の家族構成や家柄等については本編では描かれていないが、自分専用のマシーン兵器を特注しているくらいだから、かなり裕福な家庭に生まれ育ったのだろう。「エースをねらえ!」のお蝶夫人をイメージして作られたキャラであるが、それだけでは終わらず、ドラマ展開の中でかなりキャラクターが膨らんでいる。彼女のネーミングは原作・企画の岡田斗司夫氏の奥様の名前(旧姓・天野和美)から。岡田和美は「トップ」には制作事務の役職で参加している。

アンドロメダ焼き 「トップ」世界において女子高生の定番となっている屋台モノ。ウズマキ状の模様がついた回転焼きのようなお菓子。1話から3話のエンディングで、ノリコとキミコが買い食いをしているのが印象的。ヱクセリヲン内にもアンドロメダ焼きの屋台が出ている。命名したのは山智博之。

庵野秀明 本作品の監督。菜食主義(?)者。「トップ」が商業作品における監督デビュー作であった。アマチュア時代の作品「DAICON 3 OPアニメ」「DAICON 4 OPアニメ」で注目を浴びる。リアルなメカ描写を得意とするアニメーターとして一世を風靡した。その代表作は「王立宇宙軍オネアミスの翼」「超時空要塞マクロス」「メガゾーン23」「風の谷のナウシカ」等。「トップ」以降、テレビアニメ「ふしぎの海のナディア」(総監督)、「新世紀エヴァンゲリオン」でも監督をつとめる。彼は生粋の(超濃い)特撮ファンにして、アニメファンであり、それが「トップ!」全編に色濃く反映している。

イナーシャルキャンセラー 慣性中和装置の事。急加速時や減速時のGを緩和するための装備。古典SFでは「バーゲンホルム機関」に代表される、SF考証を構築する小道具の一つ。

イナズマキック マシーン兵器の高等技術。沖ジョの伝統技なのか、それともカズミの技をコーチが教えたのかは不明。バリエーションとして、宇宙空間で使うイナズマ反転キック、ガンバスターで使うスーパーイナズマキックがある。空中で3回転リピートのスタイルは「快傑ズバット」の「ズバットアタック」から。技のネーミングは西島克彦氏(「プロジェクトA子」「炎の転校生」監督)5話でのスーパーイナズマキックの原画は大張正巳氏による。

イルカと超能力者 カルネアデス計画発動の直前に、1カットだけ登場している。銀河中心殴り込み艦隊の航宙士を務めているという設定で、空中に浮いているイルカは能力を高めるために電脳化されたもの。超能力者はピラミッドパワーを使って超能力を増幅している。

うずまき目 スミスに驚かされしりもちをついたノリコの目が、渦巻き状に回転する。昔のギャグマンガの表現をアニメにとりいれたものだが、最近のアニメ作品としては斬新な手法であった。以後、いくつかのアニメ作品がこの手法をとりいれている。

宇宙怪獣 その行動原理の本当の意味は全く不明だが、人類の宇宙進出を阻止するべく攻撃を開始した天敵(「NeXT GENERATION」では、大宇宙の意思グレートアトラクターの指示によるものとなっている)。その行動も知能によるものか、本能であるのかも不明。しかし人類の抵抗に対し急速に進化(?)し攻撃的に形質を発達させてきている。企画初期からこの「人類と全くコミュニケーションできない敵」という部分は決定していた。節足動物や腔腸動物を兵隊や戦艦にデザインするアイディアは前田真宏氏の案で、初期のイメージボードからそのデザインにほとんど変化がない(前田氏は海洋生物マニア)。これは小澤さとる氏風の潜水艦もの(海洋もの)が味方メカなので「潜水艦の敵→海棲生物」の発想からでたものである。太陽(恒星)に産卵し、増殖するという設定は、恒星系規模で人類の存在を脅かすという発想(太陽を食いつくす!)から考えられたものである。これは超深海に棲息する生物が、光エネルギーを必要とせず、地熱エネルギーで生態系を構成しているという記事からヒントを得たもの。ストーリー後半では、合体して人型に擬態した宇宙怪獣とガンバスターが格闘戦を展開するというアイディアもあった。登場する怪獣は大雑把な分類でも、母艦、重巡洋艦、巡洋艦、砲台、皿虫、上陸艇、ジャックナイフ、タンク、兵隊などの種類がある。CDドラマ「大暴れ!宇宙怪獣ギドドンガス」で使われたゲゲラギドン、ボルゲラン、バボラーなどの名称は宇宙怪獣の正式学名でもあり、たとえば巡洋艦がギドドンガスといったようにそれぞれの種類に対応する。4話冒頭に出てきた宇宙怪獣の解剖図には(画面では端が隠れて見えないが)、Gidodongasと書かれている。

宇宙港の立て看板 飛び立つスペースシャトルのむこうに、ガイナックスと書かれた立て看板が見える。5話の緊急対策会議のドアの前に立つ警備員の腕章にもGAINAXと書かれていた。アニメとしてはオーソドックスなお遊びである。

「宇宙船とアニメージュは創刊号から揃えています」 科学講座の4話より、爆笑モノのノリコの台詞。これは実は、フィルムが完成した段階では「創刊から廃刊まで揃えています」というものだった。しかし、廃刊というのはさすがにマズイだろうという配慮で、ビデオ編集の段階で台詞から「廃刊」の部分がカットされた。テアトル池袋やイベントなどでの上映では、フィルムが使用されているため「廃刊まで」という台詞を聞くことができた。

宇宙船の歴史 「トップ」の作品設定では、宇宙船がその主推進機関等によって世代別に分類されている。
第1世代 アポロ宇宙船等の科学反応ロケット
第2世代 光子力推進による亜高速宇宙船
第3世代 縮退炉とバニシングモーターを装備した涙滴型超光速宇宙船
第4世代 エーテル流体力学を応用したデザインと大型バニシングモーターを装備した、超光速大型宇宙船
第5世代 エーテル流体力学を応用したデザインと思考主推進機関を搭載した超光速大型宇宙船

宇宙放射線病 コーチの生命を奪った病気は「宇宙戦艦ヤマト」で、沖田艦長の命を奪った(と思ったら佐渡先生の誤診だったとゆー)あの宇宙放射線病だ。3話では「宇宙放射線病撲滅週間」のポスターが保健室に貼ってある。

ウルトラひかり号 那覇〜東京間は2時間40分。沖縄と東京を結ぶチューブ式の超特急。1970年の大阪万博で、日本館内を走っていた「夢のリニアモーターカー」がデザインベースになっている。

エーテル宇宙論 「トップ」の宇宙観の根底を支えるSF設定。宇宙が真空ではなく、エーテルと呼ばれる物質で満たされているという理論。SFというより、特殊相対性理論が発表される以前にあった19世紀の科学理論の一つ。「トップ」の世界設定では、1995年にタンホイザー博士が発表した理論で構築された。タンホイザーは現代物理学のアインシュタイン博士の様に、この世界での物理学を構築した天才という設定。「ガンダム」世界のミノフスキー博士と同じ立場である。この宇宙論のお陰で、宇宙で宇宙船が揺れるようなワンダーな現象がおきる。スーパーイナズマキックの時、ガンバスターの足が光っているのはスピードのためエーテルがプラズマ化しているため。

ヱクセリヲン 帝国宇宙軍一等軍艦。対宇宙怪獣撃滅用として建造された第4世代型巨大宇宙戦艦。本編設定上でも3200m級から7200mへの設計変更をしたとされている。全長7205m・最大幅2295m・最大高1680m。搭載機はマシーン兵器x 1220機・コスモアタッカーVx 880機。主兵装は(なぜかヱクセリヲンの兵装は正式な数の設定が無い)、光子魚雷、大口径レーザー砲、中口径レーザー砲、その他小口径レーザー等対空火器。紡錘型の独特なデザインは、エーテル流体力学を応用したリフティング効果を検討したもの。ワープ航法用超大型バニシングモーターと、通常航行用大型縮退エンジンが主機関。第1艦橋(主艦橋区)だけで200mの長さがあり、その天窓が主電探室(艦首の白い部分)の後ろに見える。特徴的なマシーン兵器用大型カタパルトは上甲板に4基。艦底部にはコスモアタッカーV他の宇宙艦用が2基配備され、それぞれが第1〜第6格納庫と繋がっている。一般兵士には機密扱いとなっている第7格納庫でガンバスターが建造されていた。リーフ64会戦、火星沖会戦に旗艦として参加。廃艦となったのち太陽系絶対防衛戦で試作ブラックホール爆弾として使われる。第1艦橋のデザインは証券取引所のイメージ。電光掲示板で最新情報が流れる所や鈴なりになっているモニター、舞散る書類等がポイント。

ヱクセリヲン船体デザイン 船体を上下逆に見ると、NASAのリフティングボディ実験機X-24Rソックリになる。また船体に走る赤いパーティングラインはワープ時に閉じてしまうという設定案もあった。(船体が縮む?)

ヱクセリヲン内施設 その宇宙戦艦ヤマトもビックリの施設の充実ぶりは、2〜4話の見所のひとつになっている。これだけの大きさがあると艦内を移動するのに歩行以外の手段が必要であり、ヱクセリヲン艦内には列車が走っている。3話に登場した「ヱクセリヲン鉄道路線図」を見ると艦内には右舷線、中央線、左舷線、上甲板線と4つの路線が走っており、さらに工事中の路線もひとつあることがわかる。また、中央公園という大公園と、和食の大食堂、洋食の大食堂、さらに裁判所等の施設まであるようだ。さらに各種自動販売機(懐かしい噴水つきジュースの自動販売機もある)があちこちに設置されており、アンドロメダ焼き屋等の飲食店もある。

ヱクセリヲンのコンピュータ ランプがチカチカ光っているクラッシックなコンピュータ。ITCの特撮テレビ「謎の円盤UFO」のSHADO月面基地、ムーンベースのコンピュータによく似ている。

ヱクセリヲンの最後 ブラックホールの中に沈んでいくヱクセリヲンの姿は「宇宙戦艦ヤマト」の7話「ヤマト沈没!!運命の要塞攻略戦!!」で冥王星の海に沈むヤマトを意識したものだ。

ヱクセリヲンのバニシングモーターのT字型スイッチ カシャン、カシャンと回転するスイッチは「キングコング対ゴジラ」や「モスラ対ゴジラ」でゴジラを電流で倒そうとしたシーンで登場した送電所のスイッチによく似ている。また、このカットは「ふしぎの海のナディア」にも流用されている。

ヱルトリウム 恒星宇宙軍零等軍艦。本来は地球脱出用として建造された超巨大艦。その後兵装を強化され「神壱号作戦」における「銀河中心殴り込み艦隊」の旗艦となった。
全長70740m・最大幅18030m・最大高9400m。
乗員56000人(最大150万人)。
搭載機 ガンバスター1号機 x 1機
シズラーマシーン x800機
その他宇宙戦闘機 x3800
機主兵装はヱルトリウム光線(詳細不明)1門
大口径レーザー砲 1600門
中口径レーザー砲 8900門
光子魚雷発射管 200基
その他小口径レーザー等対空火器 3000門
設定では、船殻をたった1個の素粒子で構成され、理論上はあらゆる物質より堅いとなっている。船体デザインはエーテル流体力学を応用したエーテル宇宙翼船。艦橋(作戦指令室)は上下対象の巨大空間になっており、中央に球体スクリーンがあり立体映像で情報が表示される。各コンソールは円盤状にスクリーンの周囲に浮かんでいる。第5世代型の特徴として、全世代のエネルギーの反作用で進む「ニュートン型粒子推進法」と異なり、純粋数学で周囲の空間の物理法則を書き換えながら進む「アルゴリズムイメージ推進法」と呼ばれる「思考主推進機関」が搭載されている。また亜空間航宙士にエスパーとイルカを動員し、ピラミッドパワーで増幅しているのでワープ航法中の亜空間でも探査・索敵が可能。

ヱルトリウム艦内のイス テレビ特撮シリーズ「スーパーロボット マッハバロン」のKSS(キス)基地にあるVサイン型のイスを意識したものとなっている。6話はモノクロ画面なのでわからないが、実際にはやたらと派手な色のものと想像できる。

ヱルトリウムのオペレーター 「バリア崩壊、損害不明!」と言う女性の外見は、「伝説巨神イデオン」に登場したキラルルによく似ている。これは、演出意図ではなく作画のお遊び。レイアウトの段階で冗談で描かれたものが、フィニッシュまで持っていかれたもの。作画監督の窪岡俊之氏は、湖川友謙氏が主催していた作画スタジオビィーボー出身。劇場版「イデオン」にも参加していた為、湖川キャラはお手のモノだった。

エンディング 前田真宏の手による4コマ漫画風イラストで、ノリコの愉快な学園生活を描いている。アニメ版「サザエさん」風がコンセプト。

「追いつめられた人類が何をやるか、見せてやるわ」 最終決戦を前にしたタシロ艦長の台詞。石川賢の漫画版「ゲッターロボG」で巨雷鬼のエピソードに、「やけになった人間が何をやるか、見てろ〜っ!」というリョウの台詞があり、これがモチーフになっている。

大型縮退炉を胸から取り出すガンバスター 数ある中で、最も印象強い引用ネタ。最終回のクライマックスで、ガンバスターの胸部から大型縮退炉を取り出すカッコイイ展開は、石川賢の漫画版「ゲッターロボ」におけるゲッターエネルギータンクを取り出すゲッターロボの最後がモチーフ。

オオタコウイチロウ 推定年齢32歳。階級は中佐(技術士官)。RX計画の総責任者でトップ部隊の隊長。努力と根性をモットーとする。趣味は囲碁。アブない人であるが、先天的にああいう人だったのか、自分のせいでタカヤ提督を死なせてしまったという後天的な理由からかは不明。ネーミングは漫画家の眠田直の本名である太田宏一朗からとられている。また彼が使っている杖は、言わずと知れた「ウルトラマンレオ」でモロボシダンが使っていたのと同じデザイン。

沖ジョ ノリコ達が通っていた学校。正式名称は「地球帝国宇宙軍付属沖縄女子宇宙高等学校」。所在地は沖縄県嘉手納市金柱一丁目。設定では、1978年に「沖縄家政婦専門学校」として創立されたのが紆余曲折の末、2012年に現在のかたちに落ち着いたということになっている。1話の生徒のセリフから男子部もある事が推測できるが、本編では明らかになっていない。校長の名前はイノウエ博明。当時ガイナックスのプロデューサーだった井上博明からとられている。アヴァンタイトルではノリコが中学の時の進路希望アンケートで書いた沖ジョを希望する理由に「どうしても行きたいから!」という愉快なものだったことがわかる。

お寿司 寿司の描きこみが素晴らしく、タシロ艦長も実に旨そうにに食べる。ネタに高そうなものがないのは、作画資料用に使ったのが、お持ち帰り寿司チェーン用のチラシだったため。

オタク タカヤノリコはオタクである。今でこそ、なんてことのない設定であるが、当時としては大変なインパクトを持っていた。時代がノリコに追いついたのだ。

「男と女のラブゲーム」 3話のプロローグは、「よいこのみなさんへ これまでのあらすじ」といいつつ、画面には黒字に本編と全く関係ない科学論文がテロップで流れ、音声は、ヱクセリヲン進宙記念隠し芸大会でコーチとカズミが歌った「男と女のラブゲーム」が流れるというものだった。もちろん、全くあらすじにも何にもなっていないのは言うまでもない。本作の姿勢が端的に現れていると言えよう。この「男と女のラブゲーム」は、特に挿入歌として用意されていたものではなく、3・4話の本編のアフレコ時に、カラオケテープにあわせて若林紀夫さんと佐久間レイさんが歌うというかたちで収録された。しかし、若林さんはそれまでこの曲を歌ったことがなく、佐久間さんや他のメンバーにその場でレッスンしてもらいながらの収録だったそうだ。元々は司会がコーチでタシロ艦長とカズミのデュエットの予定だった。司会(タシロ艦長)の台詞に「不倫の香りを漂わせ…」というのはその名残り。二人が歌っている周りで囃立てているのは日高のり子さん、川村万梨阿さん、矢尾一樹さん、西村知道さんといったキャストの面々である。「やけちゃう〜!」「かわいい!」が日高さん、「キャー、お熱いわ!」と「そぉれ」のあいの手が川村さん、歌ってる最中の「フゥウー、フゥ」が矢尾さん、「いよ!、ご両人!」「やったァ!」が西村さんの台詞である。

オハラナツコとムラカミフジオ 前者はノリコ達が乗ったスペースシャトルのスチュワーデス、後者はパイロット。ネーミングは岡田和美の友人の名から。

思い出の写真・壱 卒業時にノリコが貰った3年1組の卒業写真。やはり、沖ジョは美少女揃い。少数精鋭をめざしているのか、1クラスにしては人数が少なめだ。画面の下の方に、以下のように一瞬だけクラスメート名前を見ることができる。メインスタッフを女名前にしたものであり、ちょっち気色が悪い。ナカヤマヒロミ(中山岳洋・原画)、サダモトヨシコ(貞元義行・作画監督)、キクチマサコ(菊地正典・美術監督)、マツバラヒデミ(松原秀典・原画)、タケイヨシエ(武井芳明・原画)、マエダマリコ(前田真宏・設定)。

思い出の写真・弐 ヱルトリウム内のノリコの部屋の壁には、彼女の思い出の写真がたくさん貼られている。カズミとコーチの結婚式の写真は、ポラロイドで撮られたものであるらしく下の余白に「アマノカズミ」「オオタコウイチロウ」と両人のサインが入れられ、そのサインに対して「旧姓でやんの」「きどってんじゃねーよ ペッペッ(ユング談)」とユングの愉快なコメントがつけられている。前者はカズミが旧姓でサインを入れたことをからかったもの。左側のコーチを中心にした写真は、背景を見るとどうやら地球に帰ってきてから、つまり4話と5話の間に撮られたものと思われる。右下には「ベルばら」のオスカルかリボンの騎士のよーな衣装を着たノリコの写真が貼られている。ハチマキをしている所からヱクセリヲン艦内でのコスプレパーティではないだろうか。また、彼女の赤ん坊の頃の写真や、七五三の時の写真、母親らしき女性と一緒に写ったもの等もある。右下のワイシャツ姿は女子中学生時代のものと思われる。スミスの写真を一枚も持っていないのがちょっと哀しい。

カ行
科学講座 究極のリミテッドアニメ。もりやまゆうじ氏の手による作画は味があって極めてグーである。背景の表示画面はMacintoshぽいのは、制作当時に岡田斗司夫がMacintoshを買ったばかりだったため、その気分が反映されている。「新・科学講座」では鶴巻和哉氏により、さらに練られた考証・演出・作画でそれがバージョンUPされている。

科学講座の順番の謎 4話の前についている「科学講座」の第4回で、まだヱクセリヲン艦隊が健在であるにも関わらず「るくしおん艦隊に続き、ヱクセリヲン艦隊まで全滅させた」と、ノリコがいきなりスゴイことを言っている。実は、この科学講座は4話の後につくものとして作られたものなのだが、構成上の都合でビデオでは4話の前につけられたため、このような混乱が生じたのだ。さらに後にLDをまとめて再発売した「オカエリナサイBOX」では、2話の後のつくはずの科学講座の第2回がなぜか1話の後についてしまったため、「今回の話で、7年前にパパの〜」と、セリフの意味がよくわからなくなっている。全くややこしい話である。

カシハラレイコ 1話では「エースをねらえ!」でいうところの音羽さんの役回り。沖ジョを卒業した後も宇宙パイロットにはならず、沖ジョの教師として多くの生徒を育て宇宙へ送り出した。厳しい教師であり、あまり生徒には好かれていなかったのか、5話冒頭の夏休み中の教室の黒板には、生徒の文字で「カシハラのオールドミス!」と書かれていた。6話では沖ジョの校長となっていた。ネーミングの由来は、当時のゼネプロ社員の神田善美氏(宣伝担当)の奥さんの名前と、同じゼネプロ社員の柏原康雄氏の名前を合成したもの。キャラ表では決定稿ギリギリまで「音羽さん(仮)」のままであった。

カズミの髪の色 カズミは宇宙にでると髪の色が変わってしまう。元々、宇宙での色を先に決めていたのだが、それでは1話の沖縄の抜けるような青空に色が溶けてしまう。そのため、1話で髪の色を変更することになった。5話では本編中で髪の色が変わる。

合体のレバー 正確には形態移項鍵という。なぜか、列車の表示を変えるレバーみたいな形になっている。カズミがこれを回すと表示窓の文字が「巡航」から「合体」に変わるのだが「巡航」と「合体」の間に「回送」の文字がチラッとみえる。ガンバスターの何がどう回送されるのかは全くの謎である。

カルネアデス計画 「神壱号作戦」という作戦名があった。ネーミングは星野之宣の漫画「カルネアデス計画」より。自分の命を守るためなら他人を犠牲にしてもかまわないという「カルネアデスの船板」という考え方にそって名付けられたものだ。「トップ」のカルネアデス計画も、人類が生き残るためには銀河系を破壊してもしかたないだろうということで名付けられた。ちなみに、この考え方は庵野監督の思想の根底に流れているもの。

カルネアデス計画司令官 「もう、我々に残されたのは神に祈ることだけだ」と言うヒゲのオジサンは丹波哲郎さんが演じた映画「日本沈没」の山本総理がモデル。

監視衛星 「ウルトラマンレオ」のMAC基地と、「サンダーバード」の5号(両方とも地球の平和を守る人工衛星)を混ぜたようなデザインとなっている。その側面には、まるでTB5号にドッキングするTB3号みたいに、十字翼宇宙船がドッキングしている。

監視衛星と宇宙軍情報部のやり取り 「敵が7分に黒が3分だ!」という緊張感のある会話は、「沖縄決戦」からの引用。オリジナルは嘉手納の賀谷支援陣地と司令部の無線によるやりとりで「本島西海岸一帯は米艦艇のため海の色が見えない」「何っ!海の色が!?それじゃわからん!」「船が7分に海が3分。分かったな、船が7分に海が3分だ!」というもの。このやりとりは「ナディア」でも再現しようという案もあったが実現しなかった。ガイナックス作品ではないが、摩砂雪氏が脚本、絵コンテを担当したビデオアニメ「帝都物語」の4巻で、ほぼ同じやりとりが再現されている。

ガンバスター RX計画の最終段階として敵宇宙怪獣迎撃用に極秘裏に開発された変形合体可能な大型マシーン兵器。単体でのワープ航法が可能。第4世代の科学技術の粋と、オオタコーチの心が結晶した姿。大型縮退炉を2機装備している。努力と根性が一番のエネルギーだ。全高200m 自重9800t。バスター合金&スペースチタニウム製の堅牢な装甲を誇る。最大速度 光速の99.9%(ワープ時には光速を超える)。全身に必殺武器を多数内装している。またその巨体を生かした肉弾技もこなす。
主装備
バスタービーム
(額のビームランプから放つ、マイナス1億度の冷凍光線)
バスターコレダー
(椀部や脚部に内装された槍から100億Vの電撃を放つ。後に10億ギガVにパワーUPした)
バスターシールド
(背部に収納されている、あらゆる敵の攻撃を跳ね返すマント)
・ホーミングレーザー
(手のひらから発射される追尾型レーザー光線)
・バスターミサイル
(指先から発射される光子魚雷)
・スーパーイナズマキック
(亜高速で敵に猛烈キックを浴びせる)
全体のデザインコンセプトは「ゲッターロボ+伝説巨神イデオン」腕を組んでいるのが基本スタイルであるらしく、5話のラストでは誰も操縦していないのにいつの間にか腕を組んで立っていた。4話でのカラーリングは、鋼鉄の地肌にオレンジで注意ラインが引いてあるという設定だが、実はるくしおんと同じカラーリングになっている。意味深な配色である。デザインは庵野監督のラフを大畑晃一氏がクリンナップで完成。細部設定は前田真宏氏や山下育人氏による部分もある。

ガンバスターのコクピット 4話で登場した操作アームの付いた操縦席は、荒牧伸志氏によるデザイン。貞元のイメージボードにも同様の設定が見られる。宮武一貴氏の初期ラフ設定にも「パイロット養成歩行器(ギブス)」があり、体力でマシーンを操るというアイディアは初期の段階から検討されていたようだ。5・6話では、さらに完成した状態になったガンバスターは操縦席も改良され(デザインは前田氏)支持フレーム等が取り外された。これは腕組みや、服を破る際にジャマになるという演出効果から、変更されたのが本当。

ガンバスターの8大兵器 最終話でBH爆弾内部のシーンにおけるガンバスターのコクピット表示を見ると、ガンバスターの武器は少なくとも8種類あることがわかる。
(1)バスタービーム
(2)バスターコレダー
(3)バスターカウボーイ
(4)スーパーイナズマキック
(5)バスターシールド
(6)バスターホームラン
(7)バスタートマホーク
(8)バスターリング
このうち本編で使用されていないのは、バスターカウボーイ、バスターホームラン、バスタートマホーク、バスターリングの4種類。

ガンバスターの噴射 ガンバスター背部から噴射する青白い上向きの炎は昭和版「ガメラ」でガメラがジェット噴射をして飛ぶ時の炎ソックリ。

ガンバスターのレントゲン写真 5話の合体シーンにガンバスターの内部構造がレントゲン写真風に見えるカットがあるが、これを見るとガンバスターの内部にはアバラ骨、心臓、肺などの臓器があるようだ。さすがはコーチの作ったガンバスター、タダのマシンではない。これは1カットのみのお遊びではない、6話の大型縮退炉を取り出すシーンでは、ちゃんとアバラ骨をじかに見せてくれた。

ガンバスター発進 両手を不自然にあげて発進するポーズを見て、「ジャイアントロボ」みたいだと思った人はオタク修行が足りない。これは「マッハバロン」の発進シーンがモチーフである。ガンバスターの手がパーではなく、グーであるところに注目しよう(笑)。その前に格納されたガンバスターは、庵野監督が大好きな「バトルフィーバーJ」のバトルフィーバーロボの建造シーンによく似ている。この格納庫の天井の「GB」というマークは、「マッハバロン」のMBや、「レッドバロン」のRBのマークを意識したデザイン。

キクチ摩砂典 ヱクセリヲンの艦橋にいる一人。副長ですら名前が付いていないのに、この人はフルネームでエンディングに名前が出ている。ネーミングは美術監督の菊地正典とオープニング原画の摩砂雪から、ルックスは「王立宇宙軍」の監督で知られるガイナックス現代表取締役・山賀博之がモデルになっている。山賀は「科学講座」第3回で「ワープってなんですか?」という質問を送ったりもしている。

「奇蹟は、起きます。起こしてみせます」 ノリコの台詞。庵野監督作品ではお馴染みの台詞である。「ナディア」の21話ではサンソンが「奇蹟ってのは、自分の力で起こすもんです」と言い、「エヴァンゲリオン」の拾弐話ではミサトが「奇蹟ってのは、起こしてこそはじめて価値がでるものよ」と言っている。

「艤装のすんでおらん戦艦など、石のタヌキだ」 緊急対策会議での軍令次長のこの台詞は、「宇宙戦艦ヤマト」2話の沖田艦長の台詞「補助エンジンの動かぬ我々は、石のタヌキだ」からの引用。もともとがよくわからない台詞だけに、引用されてもやっぱりよくわからない。また、この沖田艦長の台詞は「石のタヌキ」と言っているという説と「瀕死のタヌキ」と言っている説があり(音声がよく聞き取れないのだ)「ナディア」の36話では後者が採用され「艤装のすんでおらん戦艦など、瀕死のタヌキだ」とネモ船長が言っている。

軌道ロープウェイ アーサー・C・クラークのSF小説「楽園の泉」等で知られる軌道エレベータを発展させた(と言えば聞こえがいいが)冗談のような超科学メカ。側面にマークが入ってるところから、JRの管轄であると思われる。「耳がツンとなる」は「トップ」のギャグの中でもかなりの傑作といえよう。軌道ロープウェイは、ハワイから第三宇宙ステーション、メリディアン・スターに向かって伸びている。ハワイ〜メリディアンスターまでの距離は8800km。ハワイポートには宇宙から帰ってきた人を迎えるために「ようこそハワイへ!!」と書かれた看板が付けられており、またその上にはカメハメハ大王の像が立っている。シモラク牛乳は庵野監督の実家近辺では有名な実在のメーカー。「エヴァンゲリオン」でも登場した。

軌道ロープウェイの中の広告 NHKの人形劇「空中都市008」の広告が貼ってある。これはギャグネタという意味ではなく、「国際電話は001」等の車内広告をSFネタでもじったモノ(この人形劇の世界での、空中都市の市内局番が008という設定)。他にもなにやら生活感の漂う広告が並んでいる。

キモダメシ キモダメシのルートになっていたヱクセリヲンの廊下にはそれらしく柳の木が植えてある。また、ヱクセリヲンの第一艦橋には観葉植物の植木が置かれている。

きれいな富士山 ノリコがスペースシャトルから見下ろした富士山。この時代は噴火している状態が普通のようだ。5話のバスターマシン発進のシーンでも、バスターマシンの背後でちゃんと噴火している。

銀河中心殴り込み艦隊 8700隻を超える宇宙戦艦で構成された宇宙艦隊。ヱルトリウムを旗艦に、スーパーヱクセリヲン級や十字型宇宙戦艦等を中心に構成されている。イラストで処理された宇宙怪獣大軍団との戦闘シーンでは、東宝特撮映画「妖星ゴラス」に出てきたJX-2おおとり号によく似た宇宙船や、「マイティジャック」のMJ号によく似た巡洋艦の姿も見える。

緊急対策会議 このシーンはかなり濃い。東宝の戦争映画の雰囲気に溢れている。軍令部総長は志村喬氏、カイゼル髭が印象的な「日本のいちばん長い日」の石黒農相の姿も見える。艦攻本部長は「沖縄決戦」で丹波哲郎氏が演じた参謀長の長勇少将がモデルで「あ〜だめだ!だめだ!だめだ!」と机を叩くしぐさまでそっくり。そして、東宝とは関係ないが机の真ん中に巨大な松本零士風メーターもポイント高い。

緊急対策会議の宇宙図 宇宙怪獣の接近を示すためのもの。どーゆーわけか台風接近を示す天気図みたいである。宇宙海獣が絶対防衛線を越えてくる確率は80%だった。

キングス弁 これを抜く(開放する?)と船が沈んでしまうというエンジン部分の装備。緊急対策会議におけるコーチの説明によれば、ヱクセリヲンの縮退エンジンにも、このキングス弁がついているらしい。ちなみに正しくはキングストン弁と呼ぶそうだ。

クラウチングスタート カタパルトをロボットが滑って発進するパターンは「機動戦士ガンダム」風。「ガンダム」ではモビルスーツがしゃがんだ姿で発進していたが、「トップ」ではマシーン兵器が陸上の短距離走のようなクラウチングスタートで発進する。スポ根ネタがメインの企画であることや、学生時代に陸上部だったスタッフのアイディアが活かされて「ガンダム風発進シーン」をこういうスタイルで表現したのだ。このシーンでかかるBGMも「ガンダム」風。

グランド50周 「エースをねらえ!」に関しては、どちらかというと原作よりもアニメ版を意識した部分が多いようだ。コーチが赴任してきた途端、過酷なランニングを命じてヒンシュクをかうのは劇場版より。

クレクレタコラのキーホルダー ウルトラひかり号に乗ったノリコのバッグにつけられていた。オシャレなオタクグッズである。「クレクレタコラ」とは70年代にフジTV系帯枠で放送されていた怪獣ギャグドラマ(?)で(製作は「サイバーコップ」の東宝企画)一部にカルトな人気を持つ作品。「トップ」制作当時、ゼネプロからガレージキットがリリースされていた(この作画参考にも使用されている)。1995年にLD/サントラ盤がリリースされ、濃いファンを驚喜させた。

建造中のヱルトリウム 衛星軌道上の建造シーンで見られたのは、超巨大な船殻を成形するための「注型用型枠」を制作している場面。船殻をプリンに例えると、プリンを流し込む型を作っている所である。なぜかランナーにヱルトリウムのパーツがついており、宇宙に浮かんだ全長数十キロのプラモデルにも見える。「宇宙戦艦ヤマト」のような三連砲塔のパーツもあるが、実際にはあのような砲塔はヱルトリウムにはついていない。あれは何かというと、ミリタリーのプラモデルによくある作った後に余ってしまう予備パーツだそうだ(何のこっちゃ)。

攻撃を受けるヱクセリヲン 無人のヱクセリヲンが宇宙怪獣に攻撃を受けるカットで、爆発の前にピカ、ピカッと閃光が輝く。これはいわゆる中野フラッシュと呼ばれる、特撮監督中野昭慶氏のフィルムによく見られる映像だ。

光子魚雷 人類初の縮退兵器であり、マイクロブラックホール(MBH)を目標にぶつける、一撃必殺の破壊兵器。発射管から射出後、母艦から一定距離まで到達すると光子力チューブが点火され、亜高速まで加速される。目標至近距離で縮退物質を反応させ、タンホイザーゲート(TG)を持つMBHを形成。命中寸前でTGを消滅させるとむき出しのMBHが光子エネルギーを放出しながら出現し、目標にダメージを与えるという戦法。誘導弾ではなく、発射後の目標変更ができないので「魚雷」と呼称される。

コーチの茶室 いろりの部分に松本零士メーター。
碁盤の側面にも松本メーター。
宇宙で風鈴がなるのも松本的。
そもそも、宇宙船の中に茶室を作るというセンスも松本的であると言えよう。

更衣室の女の子 ブラを外しながら「ねぇ、聞いた?サエコ、昨日、彼氏とCまでいったんだって」と言っている女の子。「超時空要塞マクロス」のリン・ミンメイによく似ている。これは演出の指示ではなく、このカットを担当した原画マンの作業時のアドリブだそうだ。色指定のスタッフが気をきかせたのか偶然か、髪の色までミンメイに似たものになっている。

コスプレ 「新・科学講座」で太陽系の星の説明をしつつ、ノリコは「水・金・地・火・木……」と星の名前に合わせて、星の名のついた美少女戦士のコスプレをみせてくれる。地球のところで、地球を守護星とするタキシード仮面のコスプレをするあたり芸が細かい。しかし、コスプレはジュピターまでで、プルート、ウラヌス、ネプチューン、サターンのコスプレはしない。そのことについて彼女は「(そのアニメは)途中から、アレでしたけど……」と語っている。どうやら、ノリコは「やっぱり、あのアニメも面白かったのは第1シリーズまで。第2シリーズ以降はノリがイマイチよね」と思っている様だ。う〜〜ん、ノリコは作品を観る目が厳しすぎるんじゃないだろうか?(ちなみに「S」と劇場版「R」は認めているそうだ。やれやれ)実は4人のコスプレをしなかったのは、制作当時はまだ4戦士が登場していなかったためでもある(笑)。「途中から、アレ……」というのには、ネタが尽きた照れ隠しも含んでいる。また髪の色も戦士毎に塗りわけていたが、「なんだかよく判らない(コスプレに見えない)」といった理由から髪の色はノリコの色に統一した。

コスモアタッカーV 全く活躍する場面がなかったヱクセリヲンの宇宙戦闘機。企画当初では主役級のメカになる予定で宮武氏のよりデザインされた。「マイティジャック」に登場する戦闘機エキゾスカウトの胴体に、同じく「マイティジャック」の戦闘機ピプリダーの前部と翼をつけたようなクラッシックなデザインをしている。発進するたびに、わざわざ翼をとりつけるあたりもピプリダーと同じ。

コスモルック ブラックホール爆弾に乗ってきた時にカズミが着ているレトロフューチャーな服。いかにも昔のバルプSFの挿絵にでも出てきそうな露出度の高いものだ。デザイン案は伊藤岳彦氏によるもの。本編では使われなかったが、コーチとユングのコスモルックの設定も作られていた。

「この地方に被害はない」のテロップ 6話の冒頭、ハワイのフカンのカットにでるテロップは映画「日本沈没」の後半、日本各地の被害の状況を描写する場面で、近畿地方の丹後半島で出るテロップを意識したもの。

「このまま何もしない方がよいのでは」 軌道ロープウェイ内の若い士官の台詞。映画「日本沈没」からの引用。

こぼれた水問答 「こぼれた水はまた汲めばいい」とは、コーチの人生観の感じられる名(迷?)台詞だが、「ナディア」の15話でもフェイトが「こぼれた水はもとにもどらないけど、また汲めばすむことだよ」と同じようなことを言っている。こういう強引なことを言う人は早死にするようだ。さて、このシーンではカズミは「こぼれた水」そのものをノリコの「命」として言っているのに対し、何を勘違い(?)したのかコーチは「水」をこぼしたのなら、また汲めばいいじゃないかという事象そのものについて語っている様に見える。「ノリコの代わりはいくらでもいる」と取れるこの発言は、カズミを怒らせてしまうよねぇ。単に囲碁に夢中になっていて、ちゃんとカズミの話を聞いていなかっただけではないのだろうか??

サ行
サスケ 「トップ」がリリースされる数年前に一時的に売られていたマニアックな味の清涼飲料。サスケは当時放映されていたテレビCMもなかなかヘンなもので、印象深かった。ウルトラひかり号の車中でカズミが飲んでいる。

サブタイトル 5話の「お願い!!愛に時間を!」はロバート・A・ハイライン氏の「愛に時間を」から、6話の「果てしなき流れのはてに…」は小松左京氏の「果てしなき流れの果てに」(ちなみに記念すべき早川文庫のJA-1である)からとられている。また、意外と気づかないことだが、LDのラベルの2、4、6、話のサブタイトルは英文で表記されている(「オカエリナサイBOX」では和文表記)。

「さよならは言わないわ、いってきます」 ブラックホール爆弾内部で、ユングに別れを告げるカズミのこの台詞は、「宇宙戦艦ヤマト」の3話で、森雪が母親に別れを告げるシーンでの台詞「さよならなんて言わないわ。言ってまいります」からの引用……かと思ったら、特にスタッフにはそのつもりは無かったのだそうだ。普通に台詞を作っても、深層意識にインプットされたアニメや特撮の名台詞が浮かび上がってきてしまうのだろう(笑)。他にもパロディにしか思えないものなのに、スタッフがそれと意識していないものは、意外と多い。

シズラー 量産型ガンバスター。合体変形は省略され一人で操縦される。ヱルトリウム艦隊に配備された、マシーン兵器部隊(トップ部隊という設定はない)の主力兵器。6話の戦闘シーンでは、ランサーやトマホーク、シールド(マント)を武器としているシーンが見られる。シズラー銀、ブラック、ホワイトの三種類があり、ユングが乗っていたのはシズラーブラック。ネーミングは、アメリカマテル社の玩具、電動走行のミニカー「シズラー」からとられており、シズラー銀とは後期に発売されたライトの点滅するタイプだ。また、シズラーの頭部は「ガメラ対大悪獣ギロン」に登場する宇宙ギャオスのイメージだそうだ。

自転車の補助椅子 キミコが乗っていた自転車の、子供を座らせるための補助椅子。その背もたれには「パンダコパンダ」のパパンダらしきイラストが印刷されている。

ジャコビニ流星アタック ユングの必殺技。ネーミングは「プロジェクトA子」のB子の……ではなく、超人野球マンガ「アストロ球団」のジャコビニ流星打法が原典。ジャコビニ流星打法は、打者がボールを打った際にバットが砕け散り、ボールと一緒に破片が飛んでいくというムチャクチャな技だ。

重力ターン 3話でヱクセリヲン艦隊が行った、惑星等の重力を利用しターンする宇宙航法。SF小説や海外特撮映画ではお馴染みだが、アニメでは珍しい。

尻ふりノリコ オープニングの後半のカットでかわゆく尻を振るノリコが大変に恥ずかしい。このカットは絵コンテではクルッとターンするだけの指示だったが、原画マンのアレンジでこうなったようだ。その原画担当は、「エヴァンゲリオン」副監督の一人、摩砂雪氏である。氏はトリッキーな作画で人気のアニメーターとしても有名。

シルバースター 東宝特撮や昔のSFマンガに出てくる、いかにもなデザインの宇宙ステーション。NASAが建造した人類初の大型宇宙ステーション・アトランタを、日米戦争に勝利した日本が接収し、シルバースターと改名したという設定。大展望ホールが日本式大浴場となり、壁の月面着陸を記念した絵画が風呂屋のペンキ画風になっているのはその名残りだとか(笑)。シルバースターというネーミングは東映の特撮テレビ「キャプテンウルトラ」の宇宙ステーションと同じ。このステーションに所属する練習艦シュピーゲル号のネーミングも「キャプテンウルトラ」からとられている。

新作設定 「新・トップをねらえ! 科学講座」制作時に、ヱルトリウムの推進機関についてや太陽系の構造について種々の設定が新たに考証された。また、ガレージキット用に90年頃に新たにメカの細部設定が起こされた。RX-7の武装バリエーション、ヱルトリウムの脱出艇等である。

「新・トップをねらえ! 科学講座」 「オカエリナサイBOX」の特典として、6年ぶりに作られた新映像。「エヴァンゲリオン」で副監督を務める、鶴巻和哉氏の第1回監督作品でもある。本編に比べ遙かに画質がクリアなのは、6年のあいだにビデオのマスタリング技術が進歩したためである。エンディングで、テロップで名前の後に(新人)とつくのは邦画のテロップのパロディ。画面が白黒反転したり、一文字だけ赤かったりするのは、市川昆映画によく似ている。

新聞記事 るくしおん沈没を伝える新聞記事には、以下のように本作のスタッフが似顔絵入りで登場している。キクチマサノリ(菊地正典・美術監督)、ニシモトセイジ(西本成司・原画)、ササキヒロシ(佐々木洋・美術監督)、アンノヒデアキ(庵野秀明・監督)、サダモトヨシユキ(貞本義行・原画/作画監督)、ヒロノヒロシ(広野寛・背景)、パンキームチダ(村浜章司・製作担当)、ピエールマツバラ(松原秀典・原画)、等。

出席番号の謎 本編では「3年4組、2番。タカヤノリコ!」と言っているが、絵コンテや台本では「3年4組、42番」となっている。実際に「た行」で始まる人なら12(42)が正しいと思われるだろうが、台詞の語感からか、省略されてしまった。

スーパーイナヅマキック ガンバスターが使うイナヅマキック。初期はウルトライナズマキックという名称であったが、叫ぶ時の間の悪さから変更になったようだ。本編での原画担当は大張正巳氏。

捨て身の宇宙怪獣の倒し方 ロボットの胴体にわざと敵の攻撃を受けて、相手の動きをとめるガンバスターの戦法は、石川賢氏の描く漫画版「ゲッターロボG」における巨雷鬼の倒し方と同じ。巨雷鬼も、凄く飛ぶのが速い敵だった。

スピーカー男 エンディングの役名に、このヘンな名前がある。要するにスピーカーから流れる声を出している人のこと。これ以外にも、オペレーター男や車内アナウンス女(3話)や女子高生α、女子高生β、女子高生γ、クラスメイトΣ(1話)などヘンな役名は多い。

スペースシャトル 1話のラストで、ノリコ達ふぁシルバースターに行くために乗ったスペースシャトルは「サンダーバード」に登場したファイヤーフラッシュ号のJAL仕様のようだ。かなり大きなものだが、この時はノリコ達の貸し切りだったようだ。これに乗ったノリコ達は、まるでオリンピック選手のような服を着ているぞ。コーチの赤いジャケットは、あまりにも似合ってなくて、ちょっと恥ずかしい。

スミス・トーレン ノリコの初恋の人(?)でもある宇宙パイロット。といっても宇宙学校を優秀な成績で卒業して…というわけではなく、水兵として宇宙船に乗り込み、うまく立ち回ってパイロットになった苦労人だ。小説版では、アメリカのテキサス出身で、るくしおん艦隊のタカヤ提督に憧れて宇宙パイロットになったことになっている。ネーミングはアメリカの日本アニメ研究家トーレン・スミス氏から取られている。スミス氏は、日本に来た時にガイナックスの寮に下宿していたという縁があるのだ。

タ行
待機室 3話でユング達が怪談をしたり、4話でノリコが泣いていた部屋は、ノリコ達の私室ではなく女子パイロットの待機室。ヱクセリヲンでは、パイロットは2人で1区画2部屋を与えられていることになっており、おそらくノリコとカズミで1区画の私室を持っていたものと考えられる。パイロットは艦内において1日の大半を待機室で過ごし、私室を使うことは滅多に無かったのだそうだ。6話でカズミが、アニメ雑誌だらけのノリコの部屋に驚かなかったのは、ヱクセリヲンでノリコと共同生活をした経験があったためなのだろう。

「第3艦橋大破!」 宇宙怪獣と戦闘中のヱクセリヲンのクルーの台詞。「宇宙船艦ヤマト」で、頻繁に第3艦橋が破壊されて(しかもすぐに再生していた)という故事にもとづいたもので、ある程度年齢のいったアニメファンにだけギャグとして通用する台詞である。しかし、ヱクセリヲンのどこに第3艦橋があるのだろう?

「大破・轟沈1,700隻 中破4,500隻 未帰還機22,800機」 宇宙怪獣との戦いが一段落したところで画面に出る銀河中心殴り込み艦隊の被害状況を示したドハデなテロップ。「激動の昭和史 沖縄決戦」における、投入された兵器の数を示す「大型砲弾44,825発 ロケット弾33,000発 白砲弾22,500弾」というテロップに似ているのだ。

太陽系の星 「トップ」世界の太陽系は、お馴染みの水星、金星、地球、木星、土星、天王星、海王星、冥王星の他に、魔王星、智王星、神無月星、雷王星、ねめしすがあることになっている。魔王星のネーミングはSFマンガ「2001夜物語」の第8夜「悪魔の星」に登場した第10番惑星からとられている。その他の星は「新・科学講座」制作時に考えられた。既存の星に併せてギリシャ神話の神の名から付けられたものや、神様の名前がもう無いので「神名尽き星(笑)」等。ねめしすは惑星ではなく、太陽の伴星という設定。

タカヤノリコ 本編の主人公。2016年9月12日生まれ。血液型O型。身長158cm。B80・W58・H83。大阪出身で、大阪市三陵中学を経て沖ジョに入学。体育会系のオタク少女で、運動神経と体力はバッチリ、コーチが彼女を認めたのも、自分の足でグランド50周を走りきった彼女に努力と根性を見いだしたためなのだろう。ガンバスターの操縦に関しても、状況を判断したり作戦を立てたりする頭脳労働はカズミにまかせて、ノリコは体を動かすことに専念するというかたちになっている。趣味はプラモデル。初期設定案ではもっとフツーの女の子らしい趣味や特技が検討されていたが、科学講座4話のシナリオを作成しているあたりからオカシク(?)なってきたようだ(アニメ誌やコンプティーク誌等で当初発表された設定にもオタク少女という記述はない)。1話の縄跳びシーンでは妙に胸が大きく描かれている(原画担当は貞本)が、設定的には2話のサイズが正しい。彼女の場合もネーミングはスタッフからとられており、メカなどのハーモニーを担当している美術スタッフの高屋法子さんから。高屋さんは設定・絵コンテ担当の樋口真嗣氏の奥さん。樋口氏の奥さんと岡田氏の奥さんから名前をいただいたという事。

タカヤユウゾウ タカヤノリコの父でありるくしおん艦隊提督。享年45歳(推定)、この年齢設定は製作当時のファン層に合わせたものであり、視聴者が大人になった時を想定した年齢(年代)設定となっている。この手法は「ウルトラマン(初代)」でも使われている。

タシロ艦長 「なんてこった!」が口グセのタシロ艦長は「ナディア」や「まんが日本昔ばなし」で有名なアニメ会社グループ・タックの社長で「王立宇宙軍」等の音響監督でもある田代敦巳氏がモデル。名前だけでなくルックスもとてもよく似ている。この人は食事シーンが多く、4話では寿司、6話ではスイカ、CDドラマ「戦え!!銀河の果てまでも!」では天丼と鰻丼を食べている。大艦隊の提督であるところから見て、かなりのキャリアを持つ軍人であると考えられるが、4話の「かまわん、撃ちまくれ!」発言で(多分)大半の艦隊を撃沈させてしまったであろう事から推測すると、ただの無鉄砲オヤジでは?との見方もある。

「多分、溶けて蒸発してしまったのでは…」 宇宙怪獣の爆発に包まれたガンバスターについての副長の台詞。突き放した言い方が妙にカッコイイ。これは、松本零士氏の漫画版「宇宙戦艦ヤマト」で、超大型ミサイルの爆発にヤマトが包まれたシーンでの地球司令部オペレーターの台詞からの引用。同様の台詞は「ナディア」でも聞くことができる。

タンホイザーゲート 複数の回転するマイクロブラックホール(MBH)の中心にできる亜空間の穴。これは「高次元時空の泡」と呼ばれる。この「泡」の直径を拡大させることで船体を包み、通常空間から転移し、高次元空間を使って長距離移動するのがワープ航法である。通常はバニシングモーター内のMBHを制御することによって、タンホイザーゲートを凍結状態にしている。

地球帝国 「トップ」の世界では、全ての国家が地球帝国の名のもとに統一されている。2012年に日本がアメリカ戦争と呼ばれる日米戦争に勝利。その翌年に帝国憲法が公布され、人類初の統一国家として地球帝国が誕生してという設定。この帝国は経済的にも軍事的にも他の国を圧倒していた日本がイニシアチブを取ったものであり、軍のトップクラスのほとんどを日本人で占められることになった。そのためにこの世界では日本語が第一共通語になっている。ユングやスミスも、ノリコ達と同じ日本語を喋っているのだ。宇宙船内などの各種表示も日本語によって行われる場合が多く、それもなぜか古い表現方法が好まれている。沖ジョの体育館の壱、弐、参の文字等が代表。このセンスは「新世紀エヴァンゲリオン」にも受け継がれている。

地球に帰ってきたガンバスター 物語のラスト、1万2千年後に地球に帰ってきたガンバスターは、上半身だけの無残な姿になっていた。この姿は石川賢氏の「ゲッターロボ」単行本4巻の表紙イラスト(大都社版・全5巻のバージョン)によく似ているが、これも特にスタッフが意識して引用したものではないそうだ。

地球防衛庁 ビル群の中に地球防衛庁が颯爽と聳え立つ姿は「ウルトラマンタロウ」のZAT基地を意識したものだ。周囲のビルの並びかたもよく似ている。左側に「YKKファスナ」の看板が建っているのも同じだ(朝日ソノラマ発行の「ウルトラマン白書」に掲載されたスチールを見てみよう)。いかにも昔のSF等に出てきそうなチューブ式の高速道路が泣ける。

乳ユラシ 文字どおり、女性のバストが揺れることである。今でこそ、様々なビデオアニメで乳ユラシを見ることができるが、これはガイナックスが発明し、発展させたアニメSFXである。その歴史の始まりは古く、ガイナックスの前身であるDAICONFILMが製作した「DAICON 4 OPアニメ」にまで遡る。ダイナロボをひっくり返したバニーガールがガッツポーズをとるというカットで、原画で胸の動きが描かれていないにもかかわらず、動画を担当した貞本が中割で揺らしたのが、日本でアニメで女性の胸が揺れた最初であるとされている。このカットが新鮮な感動を多くのアニメファンに与えたことは言うまでもない。そして「王立宇宙軍」のシロツグによるリイクニ強姦未遂シーンのリアルタッチの乳ユラシ(第1原画が漫画家の江口達也氏、第2原画が井上俊之氏、作画監督と動画!を貞本が担当するという超豪華なカットであった)を経て、「トップ」に至る。「トップ」でも1話の縄跳びシーン、6話の服を引き裂くシーン等、乳ユラシのカットは多く、タカヤノリコの若々しさや存在感を表現し、見るものに深い感動を与えた(笑)。この技術は「トップ」以降も「ナディア」「おたくのビデオ」などに受け継がれ、現在も発展し続けている。

帝国宇宙軍のマーク タシロ艦長の帽子、醤油入れや湯飲みに等、あちこちに、しつこく表記されている。ガンバスターの額にも巨大な同じマークがついているぞ。これは偶然だが「機動戦士ガンダム」の地球連邦軍のマークによく似ている。

通告の張り紙 パイロット候補生任官の張り紙が映し出されてノリコの名前にカメラが寄っていくところの凝ったカメラワークは「怪奇大作戦」の「京都買います」で、ゴーゴー喫茶で契約書がアップになっていくカメラワークからの引用。

テロップ 5・6話はやたらとテロップが多いが、これは岡本喜八作品からの影響によるもの。一般のアニメ作品のテロップは写植で打った文字を使うが、「トップ!」の5・6話のテロップは東宝映画と同じく、わざわざデン・フィルム・エフェクトによる手書きの文字を使用しており、なかなか味わい深いものになっている。普通のテロップよりはるかに手間とお金がかかっており、こだわりや趣味というよりも、酔狂の世界である。

電話番号・壱 ノリコのメモ帳によれば、ユングの宿舎の電話番号は0836-324-3303。キミコの家の電話番号が0980-8350-99625。さすがに21世紀ともなると、ケタが多くなっている。市外局番から察するに、ユングが所属する「こと座方面軍32部隊」は庵野監督の出身地である山口県にあるようだ。

電話番号・弐 宇宙軍情報部の内線番号は、22-1850。これは、制作当時のガイナックス本社の電話番号(現在は移転している)

読者参加キャラ 学研「アニメV」誌上との連動企画のひとつ。読者からの募集により当選したキャラクターは画面にちゃんと登場している。6話でノリコとユングがカズミと再会する場面(C-80)で、2人の後ろで嬉しそーな顔をしているキャラがそれ。(密着引きですぐに見えなくなる。おまけに白黒だし)

特撮映画の未来感覚 昔の特撮もので、制作当時の風景を撮影して、ドラマ中で「未来の風景」として使うことがよくあった。5話の公園のシーンやキミコの団地内の描写は、それを再現してみようという試みで、未来の話なのにわざと現在よりも古臭い雰囲気にしているのだ。

特撮的映像 「トップ」は全体に特撮作品の雰囲気を取り入れようとする傾向があり、特に5・6話は特撮を意識して映像が作られている。「このカットはオープンロケのカット」「このカットはセット撮りでミニチュアを合成」等という風に、特撮ならこう撮るだろうと想定しながらカットを作っていった。特に、ビームやスパークなど光学合成風に処理されている。6話のラスト、ガンバスターのコクピット内のパネルが割れたその下を見ると、なぜかパネルの下にはそれらしいメカではなく、普通の蛍光灯がならべられている。つまりこのシーンは、コクピット内のカットは大道具の人が作ったセットに役者を座らせて撮影したという想定であり、コクピットのパネルの下の蛍光灯は大道具の人がパネルの下にしこんだもの(!)なのである。これなどは「特撮のネタがバレちゃった」をわざわざアニメで見せているのだ。

トップ部隊 大型宇宙戦艦と船団による人類の外宇宙移住計画を推進するためには、人類の天敵「宇宙怪獣」との交戦が避けられない事態となり、大型宇宙戦艦と船団による艦隊の援護及び怪獣迎撃を専門とするマシーン兵器部隊が設立された。そのエリートパイロット達を「トップ」と呼ぶ。ヱクセリヲン艦隊にて実戦配備されたが、主たる成果を上げられぬまま、11年後に解散された。だがその後の銀河中心殴り込み艦隊における大型マシーン兵器部隊運用に際しての母体となった。設定年表では2489年に再結成されている。

「トップをねらえ!」 「トップガン」と「エースをねらえ!」をミックスした、SFアクション根性ものというのが、本作品の企画時のコンセプトにあった。ただし、本編は「トップガン」の要素はあまり見られない。庵野監督が「トップガン」を見たことがないというのが大きな理由のひとつ。

「トップをねらえ!〜Fly High〜」 5話で挿入歌として使われたことが印象的であるが、元々はイベントで日高さん&佐久間さんのコンビが歌うために作った曲である。コンセプトは、うしろ髪ひかれ隊的なノリの歌、だったそうだ。「-田中公平の世界-」に収録された「元気でね」もおニャン子クラブ的なノリをねらった歌(「じゃあね」に似ている)だった。

ナ行
名前の表記 空想科学シリーズの伝統(?)にのっとり、キャラクターの名前はカタカナ表記が基本。ただし、6話ででてきたコーチの墓は、名前が漢字で表記されている。全く漢字が使われていないわけではないようだ。ちなみに、コーチの墓は海に面した断崖に立っている。

波の出る海岸 水着で日光(灯)浴をしているユングとリンダの背後に「波の出る海岸・貸しボート」という看板が出ている。ヱクセリヲンの中には海まである…わけではなく、これは海岸のように作られた宇宙船内プールのこと。このプールでは波乗りもできるらしく、ユング達の背後にはサーフボードが立て掛けられている。このシーンは出番の少ないリンダの顔を、まともに見ることができるほとんど唯一の場面。このユングとリンダのシーンを描いたのは「老人Z」「ジョジョの奇妙な冒険」の監督としても有名な北久保弘之。

日常的な小道具 「トップ」に登場する小道具はあえて未来的なデザインをせず、現代使われているものをトレースしている。また、一般のアニメでは商品名、企業名が登場する場合に「SEIKO」を「SAIKO」と書くなどと一部表記を変えることが多いのだが、「トップ」では大胆にも商品名、企業名などはそのまま書いており、それが不思議なアジを出している。以下はその主な例。
・パナソニック製のコーチのメガホン
・「サッポロポテトバーベQあじ」「特製サクマドロップ」などロッカールームに置かれた菓子類(以上1話)
・「フケ、カユミにカロヤン」と底に印刷された浴室のオケ
・タグホイヤー製のカズミの腕時計(以上2話)
・「コカコーラ」「伊太利屋のピザ」などの自動販売機
・「SHISEIDO TECH21」のマーキング(以上3話)
・ノリコの部屋の洗濯物に「宇部興産」のタオル(5話)
・軌道ロープウェイないの「ケロリン」の広告(6話)等々。

入浴シーン ヱクセリヲン内の浴室は何故か日本の銭湯風。ペンキ絵は富士山ではなく、アポロの月面着陸シーンが描かれている。ココで注目したいのは三人のバストのかたちである。庵野監督は「2話は、女性キャラのバストの形に個性を持たせることに賭けた!」と当時の記述にある。実際、ユングの豊かなバストはそれまでのアニメではきちんと表現されなかった「リアルな巨乳」に描かれているし、ノリコは小さなバストにズンドウという、70年代のアイドル体形になっている。アニメでは、女の子のバストはみんな同じかたちに描かれることが多く、このこだわりは見事。しかし残念なのはカズミで、このシーンではずっと湯船に浸かっており、ほとんど肩から上しか見えないのだ。

「人間失格」 太宰治氏の小説。とても暗くて、落ち込んでいる時に読むと、ますます落ち込めてよい。ベッドで横になったカズミが、これの単行本版を読んでいる。

ノリコづくし 主題歌を歌っているのが酒井法子さん、主人公がタカヤノリコ、それを演じているのが日高のり子さん。「トップ」はノリコづくしで、ノリのいいアニメをめざした(笑)らしい。製作の初期には、酒井法子がタカヤノリコを演じるという案が真剣に検討されていた。

ノリコのトレーナー コーチに呼び出された時に、SIDと印刷されたトレーナーを着ていく。SIDとは「謎の円盤UFO」に登場するコンピュータ衛星の名称…ではなく、ゼネラルプロダクツ(ガイナックスの兄弟会社・大阪発祥のSF専門店)の店内にあった喫茶店の名前。トレーナーの文字もその店のロゴと同じデザイン。

ノリコの部屋・その壱 沖ジョの宿舎である。机の上には教科書と共にカート・ヴォネガット・ジュニア氏の非SF小説「ローズウォーターさんあなたにお恵みを」や、すがやみつる氏の学習マンガ「マンガ版エーテル宇宙論」(こんな本はない。念のため)などが置いてある。1話の科学講座でノリコが妙にエーテル宇宙について詳しいと思ったら、すがや先生の学習マンガを呼んでいたのだ。壁に張ってあるポスターは、リリース当時にビデオアニメ専門誌「アニメV」誌上で行われた「カットインキャラをさがせ」という企画のために描かれた「恵奈」という美樹本氏描きおろしのキャラクター。本編のどこかに隠されているこのキャラの絵を探すというクイズだったのである。

ノリコの部屋・その弐 1話と同じ沖ジョの宿舎だが、ノリコが宇宙に行っている間、ずっとそのままにしておいてあったようだ。壁に「となりのトトロ」のチラシ、「宇宙戦艦ヤマト」「風の谷のナウシカ」のポスターが貼ってある。天井の2021年のVAN HALENのカレンダー(よく見ると写真は VAN HALENではない)も、彼女が宇宙に旅立つ前に貼ったものなのだろう。CDのドラマでも彼女は VAN HALENのコンサートに行ったことを自慢している。きっと、オタクの彼女が行った数少ない非オタク系のコンサートだったのだろう。

ノリコの部屋・その参 ヱルトリウム艦内の部屋。彼女はますます立派なオタクになっている。棚の上に置いてある「宇宙戦艦ヤマト」のプラモデルは、第1シリーズ放送当時に売られていた下にゼンマイが付いて走るバージョンに、わざわざ2版目の「銀河モデル」版(金型修正版)に付属しているディスプレイ台をくっつけるという超濃い改造をしている。シールが貼られた学習机(きっと彼女が子供の頃から使っているものなのだろう)の上には、そのプラモの箱。「となりのトトロ&火垂るの墓」のチラシはまだ普通としても、「惑星大戦争」「サンダーバード」「スーパージャイアンツ 人工衛星と人類の破滅」「宇宙からのメッセージ」等、かなり珍品のポスターやチラシが貼られている。圧巻はノリコの背後に平積みになっている「アニメージュ」「OUT」などのアニメ雑誌の山だ。やはり、オタクたるものこうありたいものである。この世界ではビデオテープはすでにすたれているため、現代のオタク部屋なら普通にあるテープの山は見当たらない。

ハ行
バスターコレダー ネーミングは「マッハバロン」のマッハコレダーから。技の内容はマッハバロンとは関係ない。(マッハコレダーは両眼から発射されるビーム)。バリエーションとしてダブルバスターコレダーがある。

バスターシールド マントで敵の攻撃を弾き返すのは古典的な技だが、イメージとしては東映TV特撮「ザ・カゲスター」に近い。石川賢氏の「ゲッターロボ」漫画版でゲッター1がマント(ゲッターウィング)で体を覆い、メカザウルスの体内に突入するシークエンスがある。ただし、もともとガンバスターにマントをつけようというアイデアの出発点は「ゲッターロボ」とは関係ない。

バスタービーム 「ゲッターロボG」のゲッタービームによく似ている…ではなくて、「ウルトラセブン」のエメリウム光線によく似ているぞ。4話で初めてバスタービームを放つ時、いわゆるエメリウム光線・B型のポーズをとっている。5話でビームランプにエネルギーが集中するのは「ウルトラマンタロウ」のストリウム光線のイメージ。

バスターホームランとバスタートマホーク バスターホームランとバスタートマホークは、本編に名前のみ登場した幻の技。5話の合体シーンをよく見てみると、ほんの一瞬だけ肩の内部に、バスターホームランに使うバットと、バスタートマホークが収納されているのが見える!!ちなみにこの合体シーンの原画担当は、「ああっ女神さまっ」の監督で有名な合田浩章氏。

バスターマシン ガンバスターが2機に分離した個々の宇宙戦艦をバスターマシンと呼称する。1号・2号は第4世代型特務宇宙戦艦であり、コンビネーションによる戦法で宇宙怪獣を迎撃するために開発されたものであるが、カルネアデス計画より建造開始されたバスターマシン3号の援護も主任務の一つである。

バスターマシン1号機 パイロットはタカヤノリコ中尉。強力な打撃力と高機動を生かした長距離侵攻、制宙戦闘を主任務とする。合体後はガンバスターの上半身と腕部を形成する。1号機パイロットはモーションコントロールにより、全身でガンバスターの基本操縦を担当。
全長100m 最大幅63m 自重4600t
最高速度 光速の99.0%(ワープ時には光速を超える)
主兵装は冷線砲4門。その他パルスレーザー砲・バスターミサイルを装備。

バスターマシン1号・2号のコクピット 計器類は、石川賢氏の「ゲッターロボ」のゲットマシン「イーグル号」のコクピットに、よく似ている。

バスターマシン1号・2号発進 最初の富士宇宙基地の全景のカットは東宝映画「妖星ゴラス」での富士山麓宇宙港で最初におおとり号が姿を見せるカットの構図を引用したもので、発進を待つバスターマシン1号の姿は同じく「宇宙大戦争」のスピップ1号・2号の発進を意識したものと思われる。また、同じく発進を待つバスターマシン2号のパースの付いた構図は「地球防衛軍」のα号を意識したもの。

バスターマシン3号機 パイロットはオオタカズミ少佐。有人航宙戦略爆弾。3万分の1に圧縮された木星をコアにしたブラックホール爆弾であり、カルネアデス計画の最終ステージに用意された戦略用兵器。銀河系の半径1万光年に敷設された3000本のスレイブユニットを起動させる起爆信管でもある。単体で長距離ワープが可能な大型縮退炉や堅牢なバリヤーも装備している。3号には固定武装が無く、1号、2号がその護衛にあたる。全長は、長径が869km、短径は415km。自重は重力縮退時の重力波のムラにより、測定不能。

バスターマシン2号機 パイロットはアマノカズミ大尉、あるいはユングフロイト中尉。強力な光学・電子兵装で戦闘管制及び威力偵察を主任務とする。合体後はガンバスターの下半身を形成する。2号機パイロットは火器管制と索敵・航法を担当。
全長99m 最大幅169m 自重5200t
最高速度 光速の99.0%(ワープ時には光速を超える)
主兵装は全周熱線砲1門。その他パルスレーザー砲・バスターミサイルを装備。

バスターマシン2号機のビーム 5話で見せる2号の左右に薙払っていくビームは「宇宙大戦争」のナタール円盤のビームと同じパターン。またバスターマシン2号のコクピットには潜望鏡がついている。宇宙船に潜望鏡とくれば、これは「妖星ゴラス」の隼号&おおとり号を意識したものに違いないだろう。

バスターミサイル 指先からでる光子魚雷は、装填のタイミングといい、ミサイル自体の模様といい、東映TV特撮版「ジャイアントロボ」のロケットミサイルとウリふたつ。命中した部分からスッポリ消滅するのは「ウルトラマン」の科学特捜隊新兵器スパーク8のイメージ。

フェイント 5話のラストで、地球に帰ってきたガンバスターが病院の屋上にゆっくり手を下ろすので、普通なら掌の上にノリコとカズミが乗っているのかと思うところだが、実際には手首のあたりに開いたドアからノリコ達がでてきてしまう。思わず引っかかってしまうナイスなフェイントである。

鉢巻き 作品の中でも効果的に使用されているノリコの鉢巻きにはルーツがある。企画当初にキャラのラフを描いていた貞本のアイデアに「長く垂らした鉢巻きをしめた女の子」のイメージがあった。これは貞本が通っていた学校の女子バレー部で流行っていたという。これに樋口氏の「体操服にブルマ」のコスチュームが加わり、デザインラインが固まった。

バニシングモーター バニシングエンジンともいわれる。設定ではウェスチングハウス社が2007年に開発・実験したワープ装置が1号機となる。この1号機の初実験の際、予定空間に出現せず「消滅(バニシング)したエンジン」と呼ばれたのが名前の由来。後に2011年に火星軌道上に出現した1号機を元に超光速宇宙船に搭載される「バニシングモーター」が開発されることになる。

パンチテープ 昔の電子計算機から出てくる穴の開いたテープ。暗号や2進法で記入されているため、普通人間の読めるものではないが、シルバースター総合指令室のオペレーターは平気で読んでいた。昔の特撮ものでも、これを読んでいるシーンがよくあったが、それをわざわざやって見るディープなお遊びである。このシーンはタシロ艦長の背後にクラッシックなコンピュータがあるが、テープのリールの回り方がなんともリアル。

ヒグチキミコ メガネがかわいい、ノリコの親友。趣味は星占い。楽天的なノリコにシビアなツッコミを入れる、ちょっとリアリストな性格。沖ジョを卒業した後、ごく普通に結婚し、母になりごく普通の人生を送ったようだ。オープニングのラストカットでのみトップ部隊の戦闘服を着ている(設定にもある)。もう少し沖ジョ編が長ければ、活躍の場も多かっただろうに、なんとも残念(その分5・6話での大人のキミコが印象強いが)。ネーミングは、漫画家のひぐちきみこさんから。キミコは結婚して5話からアカイキミコになっているが、アカイとは結婚後の彼女の姓なのだ。ご主人はゲーム「プリンセスメーカー」やダイコンフィルムでおなじみの赤井孝美氏。つまり5・6話で登場するキミコの娘のタカミの名前は赤井氏から取られている。

副長 完全な理科系人間であり、その理知的なムードを含めて佐藤慶がモデルになっている。姓名もつけられていないが、西村知道の好演もあり、大変にアジのあるキャラクターとなっている。タシロ艦長と共に、「トップ」のCDには、なくてはならない人物である。

プロローグ OPなしで、宇宙を航行する宇宙戦艦のカットにメインタイトルがかぶさるというパターンは、「宇宙船艦ヤマト」の22話「決戦!!七色星団の攻防戦!!」や、26話「地球よ!!ヤマトは還ってきた!!」と同じ。ヤマトの理由は不明だが、この場合、OPの時間もドラマに使いたかったからである。ちなみにこのプロローグ部分は何故かビスタサイズの画面になっている。

ブラックホール爆弾 恒星宇宙軍有人航宙戦略爆弾。またの名をバスターマシン参号。2034年着工、2047年進宙。その全長は月の1/4に及び、人口の構造物として人類史上最大。光速に近い速度で移動する宇宙船内部と同様に、高重力下においても時間の流れは遅くなる。ガンバスターの帰還が1万2千年後になってしまったのは、重力縮退を開始したブラックホール爆弾周辺の時間の流れが異常に遅くなったため。

プレテュース号 5話で出撃前のヱクセリヲンの周囲に、映画「ミクロの決死圏」のプロテュース号によく似た宇宙船がいる。

ヘアー 5話では幻となってしまったノリコのヘアヌードだが、2話ではユングのそれがブラシ処理で表現されている。多分アニメで最初に表現されたヘアーかもしれない。設定資料でもはっきり注釈がある。多くのテクや表現が後のOVAに影響を与えた「トップ」だが、意外とマネされていない点の一つ。

ペナント よく観光地などでおみやげ用に売っている三角旗。愉快なことに21世紀には各惑星(?)のみやげもの屋などで売っているらしくて、4話の待機室のユングのベッドに「タイタン」、6話のノリコの部屋には「火星」のペナントが張ってある。ビデオ(VHD)1巻のジャケットのセルイラストにもノリコの背後に同様のものが貼られている。また、6話のノリコの部屋に関しては、みやげものの定番である東京タワーの置物(日付カレンダー付き)が置いてあるのも見のがせない。

ホーミングレーザー 本来なら直進していくはずのレーザー光線が、文字通り敵を追って弧を描いて伸びていき途中で分岐するという超SFな兵器だ。歌舞伎の「蜘蛛の糸」がモチーフになっている。松本零士氏のSF漫画で「曲射レーザー」という兵器がある。

マ行
マスク マシーン兵器搭乗時に、戦闘服の襟を伸ばしてマスク状にする。「機動戦士ガンダム」のキシリア・ザビ少将も同じようなマスクをしていた。アニメの実作業において、口元を隠して口パクを減らすためのデザインであった。酸素マスクになっているという設定もあったようだが…?

幻のヘア・ヌード 入浴シーンで湯船の中でノリコが立ち上がるカットは、完成したフィルムでは臍の少し下までしか見えないが、実はヘアまでしっかり作画されていたのだ。このヘア・バージョンは一度撮影されたのだが、アフレコ後に諸般の事情で使えないことになり、完成したフィルムでは作画からやり直したものが使われている。そのヘア・バージョンは大変にリアルに描きこまれており、ヘアから風呂の水が滴り落ちる(おおっ!)というニクイ芸もあった。

メインタイトルロゴ 「トップ」のメインタイトルロゴは、6話だけ亜シネスコサイズにあわせた細長い渋い筆タッチのもの。庵野監督自らの手によるもの。1話冒頭の進路希望アンケートや5話のノリコのメモ帳の文字など、本編に登場する全ての「ノリコが書いた文字」も庵野監督の手によるもの。

モニター内の不思議 1話のカシハラとノリコの決闘シーンで、ノリコのマシーン兵器内のコクピットのモニター内にコーチの映像が割り込んできた時に、同じくモニター内のカシハラがコーチの方をちらりと見るという、よく考えると、笑えるシチュエーションがあった。これは一度きりのギャグではない。4話のガンバスターのモニター内、さらに6話のヱルトリウムのモニター内でも、「モニター内の人物が、思わず他の映像の人物の方を見てしまう」シチュエーションがある。

モノクロ 庵野監督のコダワリとスタッフの昔の邦画に対する愛情から、6話はモノクロ&亜シネスコサイズ(シネスコとビスタの中間サイズ)で作られた。現在のところ、日本でモノクロでワイド画面で作られたアニメ作品はこれだけのはず。モノクロは、セル画の彩色で使う絵の具の数が少ないため、作業がラクチン……かと思われたが、実際は、色指定担当の配色の時や、セル塗りミスをチェックする検査の担当が苦労したそうだ。

ヤ行
夕日をバックにした、ノリコとコーチのシルエット ノリコとコーチの心が通い合った感動的なこのシーンは、「ウルトラマンレオ」の1話で、おおとりゲンとモロボシダンが力をあわせて戦うことを誓いあった場面の夕日を背景にしたカット(「レオ」のオープニングのラストカット)がモチーフだ。

ユング・フロイト 2004年9月12日生まれ。血液型AB型。身長170cm。B95・W64・H93。月育ちで「宇宙戦闘の天才」と呼ばれている。いかにもAB型らしく、感情の起伏が激しく、その感情の変わり様は二重人格者かと見紛う程である。名前はユングとフロイトという二人の高名な心理学者から。「トップ」のネーミングで、スタッフから名がとられていない二人の内の一人である。銀河中心殴り込み艦隊ではカズミがブラックホール爆弾で合流するまで彼女がノリコとペアを組んでいた。したがって、ガンバスターはノリコとカズミのペアより、実際はノリコと彼女のペアが乗っている時期の方が長い。ネクストジェネレーションの世界設定では、ユングは2245年に銀河連邦初代大統領に就任している。「月刊コンプティーク」連載版の「ネクスト」漫画版では、主人公を鍛える「覆面コーチX」として登場している(笑)。

ユングのRX-7 RX-7は、トップ部隊設立時より各国でライセンス生産される事となり、各国代表は自国製のRX-7に搭乗する。ユングの機体はソ連製(「トップ」の世界ではソ連は健在である。と、いうよりも制作中は、まだソ連は崩壊していなかった)で頭部センサーの精度が悪く、大型の部品がむき出しになっているという案からのデザイン。このプラネタリウムのように無骨なラインは、庵野監督のお気に入り。

予告(3話) ノリコのナレーション「宇宙の海は俺の海〜」は「宇宙海賊 キャプテンハーロック」の主題歌の歌詞から。スミスは、この予告で初めて登場したのだが、この直後に収録された4話の予告で早くも、彼が死んでしまうことが暗示されてしまっている。

予告(4話) これもアニメソングからの引用。ノリコのナレーション「人のいのちは尽きるとも、不滅の力、バスターマシン」は「マジンガーZ」の挿入歌「Zのテーマ」より。

予告(5・6話) 2巻(4話)についた予告で「いっきなり、企画がきまってしまって、まだ脚本もあがってないの。ウソみたいな本当の話」とノリコは言っているが、ノリコが喋っている背後には、ちゃんと5話の絵コンテが映っている。これは、「トップ」はもともと全6話のシリーズとして企画されたのだが、まず1〜4話までをリリースし、その販売成績がよければ5&6話もリリースするという方針だった。2巻がリリースされた後、3巻がリリースされるまでに半年も間があいているのは、そのため。正式に5&6話をリリースすることが決まる前から、一応制作は進められており、そのため予告が作られた段階で、5話のコンテや設定の一部ができていた。ただし、この予告を作った時点で6話の脚本は完成していなかったため、「まだ、脚本もあがってない…」とノリコが言うことになった。後に5・6話の内容をキチンと予告するナレーションは、CD「音楽大図鑑」に、新たに録音したものが収録された。

ラ行
ラストシーン 完成本編ではリングワールドが輝く未来の地球に吸い込まれていく2人(の光)だが、絵コンテを見るとその前後のシーンから「タッチ付きの線画有ります」とメモが描かれ、ラフ案(?)が隅に描かれている。最初の案では「未来の地球ではタコ型に進化した未来人が手を振って出迎えてくれる」等の爆笑エンディングも検討されていたようだが…やらなくてヨカッタよね(コミックガンバスター1にこの案のエンディングを前田がマンガで描いている)。

リンダ ユングの相棒で、フルネームはリンダ・ヤマモト。この名前はもちろん70年代の人気歌手、山本リンダから。アニメマニアには「ジャックと豆の木」主題歌でお馴染み(?)。本編ではリンダとしか呼ばれていないが、エンディングにはちゃんとフルネームで出ている。スタッフから名前を取られなかった2人の1人。名前は2話から出ているにも関わらずまともに顔が見えるのは、3話の更衣室のシーンで1カット、4話の日光(灯)浴のシーンの2カット、乗るマシンが無くて困っているシーン、死ぬ時のアップと全部で計5カットのみという、可愛そうなキャラだ。

るくしおん 帝国宇宙軍一等軍艦。ノリコの父とコーチ(オオタ中佐)が乗っていた人類初の超光速戦艦である。三菱造船/石川島播磨重工による「日本重化学工業共同体」が2006年に計画した恒星間航行用移民宇宙船建造計画により、建造がはじめられた。日米戦争により一時中断されていたが、2013年の地球帝国建国に伴い再スタートされ、同年に進宙した。設定資料の中で、魚雷発射管に「光子魚雷」と書いてあるが、光子魚雷が完成したのはるくしおん遭難の2年後、2017年となっている。設定装備は「宇宙魚雷15門・レーザー砲塔26機」が正しい。全長320m、幅52m。乗員390名。デザインは「青の6号」「サブマリン707」などの海洋マンガで知られる小澤さとる氏の描くメカに、よく似たラインのものとなっており、そのレトロフューチャーなセンスと相まって、オールドファンには人気が高い。

るくしおん艦隊 人類の宇宙進出と開拓、恒星間航行の実験と調査が主目的の調査隊として出航した。もちろん当時の科学技術の結晶であったが、戦術戦法が全く異なる宇宙怪獣には歯が立たなかった。重巡洋艦マックスウェル級は18隻、全長206m(魚雷10・レーザー砲塔18)軽巡洋艦スパランツァー級が9隻、全長180m(レーザー砲塔10)これに旗艦るくしおんを加えた28隻の大艦隊であった。

練習船の乗員名簿 ノリコ達が乗っていた練習船シュピーゲル号の乗員名簿が、シルバースターの総合指令室のモニターの端に小さく表示される。ここにもスタッフや関係者がいっぱいだ。ムラハマ・ショウ(村浜章司・製作担当)、サクマ・美穂子(佐久間美穂子・製作事務)、バカオウ・摩砂雪(摩砂雪・OP原画)、タマタニ・純(玉谷純・メインタイトル撮影)、ササキヒロシ(佐々木洋・美術監督)、タケイ・ヨシアキ(武井芳明・原画)、アミヤ・マサカズ(阿宮正和・演出助手)、モリヤマ・ユウジ(森山雄治・作画監督)等。

ワ行
ワープについての説明 「次元波動超弦迎起縮退半径跳躍重力波超光速航法を、略してワープ」というのは、もちろんウソ。略にも何にもなってない。いかにもSFファンらしい大袈裟な言葉遊びだ。また、この表記には間違いがあり後に出た「オカエリナサイBOX」では「次元波動超弦励起縮退半径跳躍重力波超光速航法」に訂正された。同じように大袈裟な長いお遊びとしては、絵コンテの表紙などに書かれた本作品のコピーが「炎の熱血友情ハードSF宇宙科学勇気根性努力セクシー無敵ロボットスペクタクル大河ロマン」であった。

「私達は、死ににいくのではないのよ」 ブラックホール爆弾内でのカズミの台詞。「さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち」の古代進の台詞「我々は、死にに行くのではない」からの引用……ではなくて、これも偶然だそうだ。