タイトル | 舎利姫 |
内容(参照) | 「るーみっくわーるどスペシャル 人魚の傷」より |
初出掲載誌 | 週刊少年サンデー 1992年6月増刊号 |
発行元 | 小学館 |
単行本 | るーみっくわーるどスペシャル 人魚の傷 |
<解説>
久々の週刊少年サンデー増刊号への執筆、1回読み切り、「闘魚の里」以来の過去(時代物)を描いた作品ということで、珍しいことずくめだったが、内容としては「約束の明日」でも出てきた「死者を蘇らせる」という図式が登場しているところが目を引く。
なつめは、生き肝を食らうなど、周囲に害をなすこともあるが、これから生きてくことを考えている点で、「約束の明日」の苗とは異なっていると言えよう。湧太もそのことを評価している部分がある。
しかし一方で、なつめのような子はもう作るべきではないという考えも示される。このあたりの湧太となつめの父のやりとりは、非常に意味深なものがあるように思えるのだ。愛する者を永遠の命とともに蘇らせたいという気持ちと、それは逆にかわいそうなことだという考え…。
永遠の命を持つこと、死ぬことができずにずっと生き続けて行くことのつらさ…。それは作品の命にも当てはまる。鳥山明氏の「ドラゴンボール」などがよく引き合いに出されるが、それは作家にとっても作品にとっても悲劇と言える。
この作品からそこまで読むのは、やや考え過ぎだろうが、「約束の明日」に続いてこういう図式が出てきたことには、何やら暗示的なものがあるように思われるのだ。