タイトル | 1ポンドの福音 −小羊のレストラン− |
内容(参照) | 「週刊ヤングサンデー 1998年51号」より |
初出掲載誌 | 週刊ヤングサンデー 1998年51号、52号 |
発行元 | 小学館 |
単行本 | 未収録 |
<解説>
2年半ぶりにヤングサンデーの週刊化4周年突入記念として前後編2話構成で描かれたのがこの作品だ。このところ、こうした記念行事のときにしか描いていないという感もある…。(汗)
作品としては、叔母に計られたシスター・アンジェラが、大金持のお坊ちゃまシェフの若王子と見合いさせられる話だが、この作品で注目すべきポイントは、むしろ、シスター・アンジェラの身の上について、いくつかのことが判明したことであろう。
姓は相変わらずわからないが、本名が麻利絵だということ…。そして、家が敬虔なクリスチャンで、何の疑問も持たずに神につかえる道を選んだのだということ…。さらに、終生誓願(それまで10年くらいかかる)の前ならば、修道女をやめることも可能であるということ…。特に後ろ2者は、今後の作品の展開に重要な意味を持つものとなる。
これまで、あの若さで修道女の道を選ぶからには、現世を捨てるに値するような過去がシスター・アンジェラにはあるのではないかと思ってきた。この先、耕作とシスター・アンジェラの関係が進展したとしても、それが最後の大きな障害になるのではないかと…。まさに「めぞん一刻」の響子における惣一郎の存在のように…。
ところが、作者はその路線を外してきた。むしろ、耕作との関係に進展があれば、何の障害もないに等しい。結局は、シスター・アンジェラの気持ち次第なのだというこをこの作品で示してみせたのだ。ただ、それによって今後のドラマ性に不安が出てきたようにも思える。何の障害もなく結ばれてはまるでドラマにならない…。そのあたりをどう料理するのかが、今後のこのシリーズの興味のポイントとなるだろう。
作品のラストで「帰ってきました…」という言葉が出てくるが、これが妙に印象的でもある。これまでは、かなりブランクをあけていたが、これからはもう少し短い間隔で描いてくれるのだろうか? そんな期待をしてしまうような一言である。
また、今回はすっかり脇役に回ってしまった耕作だが、シスター・アンジェラにふられたと、もう逢えないのではないかと落ち込みながらも、しっかり試合に勝ったあたりは評価に値するだろう。戦績が上がってきて、いずれ上を目指すときがくるのかもしれない。そちらも、期待したいところだ。