タイトル グランド・ファザー
内容(参照)
「【るーみっくわーるど】高橋留美子短編集 1orW」より
初出掲載誌 週刊ビッグコミックスピリッツ 1991年1・2合併号
発行元 小学館
単行本 【るーみっくわーるど】高橋留美子短編集 1orW


<解説>

 「めぞん一刻」の連載終了後、久々に週刊ビッグコミックスピリッツに描かれた作品だが、高橋先生お得意の元気で懲りない老人が登場している。

 高橋先生の描く老人は、五代くんのばあちゃんといい、八宝斎といい元気で、かよわいとか、老い先短いとかいう雰囲気を感じさせない部分があるが、この作品に出てくる玄さんと藍ちゃんもまたそんな老人だ。しかも、藍ちゃんはなかなかかわいいおばあちゃんと言える。(笑)

 野球ネタとなっているが、野球で老体選手というと、水島新司氏の「野球狂の詩」に出てきた岩田鉄五郎を思い出す。この岩田鉄五郎も、老体であることを利用し、捕手のサインがよく見えないふりをしてどんどん捕手に近づいて行き、周囲の失笑を誘いながら油断させておいて、牽制球で走者をアウトにするというせこい手を使ったことがあった。が、玄さんの伝説の心臓作戦は、それに匹敵するせこい手と言えよう。

 最後、玄さんはギックリ腰で入院してしまうが、結局、最後まで孫の哲は玄さんにいいように利用されたかたちになり、別の意味で早く元気になって欲しいと思うところが皮肉っぽくきまっている。


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