1kwFPSE用DC型ダミーロードコントローラの開発

 

 

 

 

 

2017.1.8

 

 

1kwFPSE用DC型ダミーロードコントローラを開発したのでその概要を報告する。(回路図は未公開)

 

1.       1kwFPSEの動特性

1kwFPSEは発電電力より少ない負荷を接続すると発電電圧が上昇する。もし、無負荷で運転した場合、発電電力が上昇すると、発電電圧が許容値を越え、内部メカが破損する。また、負荷が発電電力より大きいと、発電電圧は低下し、発電が停止する。1kwFPSEを安定に作動させるためには、常に発電電力に見合う負荷を接続しなければならない。発電電力に見合う負荷を自動的に接続するシステムをダミーロードコントローラ(DLS)と呼んでいる。

2. 開発の経緯

従来の方式は1kwFPSEの交流発電電圧を監視し、発電電圧が上昇すると、これに見合う負荷(100100W白熱電球)を段階的(10段階)に接続し、発電電圧の一定化を図ったシステムである。コンパレータを用い順次切り替えて行くため、切り替え時の負荷の変化がエンジン動作に影響を与え、瞬間的に異音を発生する。また、負荷の急変で白熱電球がちらつくなどの課題が残っている。

 

発電電力に対しリニアーな負荷接続を行う方法として、トライアックを用いた導通角制御方式を試みたが、1kwFPSEはノンリニアな負荷を接続すると異常動作することが分かり、これは断念した。

 

1kwFPSEの発電出力を整流し、DC化した場合には動作に異常が出ないことを見出し、今回IGBTを用い整流した発電出力をチョッピング方式で負荷接続するDC型DLC(ダミーロードコントローラ)を開発した。

 

3. 装置の外観(試作品)と仕様の概要

fig.1正面

fig.2平面図

 

DC-DLCのダミーロードは1001kwの抵抗を1個用いる。抵抗は投げ込みヒーターやニクロム線ヒーターでよい。どの程度の電力を消費しているかを開発過程では知る必要があるので、DC電圧計、電流計を負荷回路に接続した。fig.1のアカ丸は制御電源が入っていることを示すLED。グリーン丸は消費電力の程度を示すLEDで消費電力が大きくなると明るくなる。実際の消費電力はメーターの指示値から計算する(P=V×I)。制御中はDC電圧はほぼ100VDCに制御されるので、電流値で容易に消費電力が把握できる。

 

制御中の負荷にかかるDC電圧波形を以下に示す。

fig.3

fig.4

fig.5

fig.6

 

テスト結果は良好で、エンジンへの影響は殆んどないと推察される。

 

4. 今後の計画

1)エージングテストの実施

DLSは高い信頼性を要求される。この仕様でよいか長時間の稼動テストで確認する。万一故障するとエンジン破損に至るので、従来のDLCを並列接続してテストを行う。なお、この場合従来DLSの制御電圧を105V程度と高く設定しておく。各部の温度を計測し考察する。

2)エージングテストがOKならば、量産設計に進む。従来品に比べコストダウンが期待できる。

 

5.       DC-DLSの用途について

(1)  ソーラーパワコンによる系統連係ではエンジン始動からパワコン作動までの期間をこのDLCでエンジン制御する。また、系統停電時にはエンジン発電電力をこのDLCで吸収してエンジンを保護する。

(2)  独立発電システム(非常用電源用など)ではバッテリ充電完了後の発電電力をこれで吸収する。

 

以上