11月20日、家の近くで車の前をひよどりよりやや大きめの鳥が歩いている。あまり良く飛べないようだ。車を降りて近づいてみると、片目を怪我している。この近くは飼い猫が多く、見つかったら大変だ。とりあえず家に連れて帰った。片目の周辺に血の滲みがあり、目がよく開かない。目薬を点滴してやるとなんとか開いてきた。良くなったら放してやろう。ところでこの鳥は何という鳥なのか。鳥の図鑑で調べるととらつぐみらしい。

あの夕方の暗がりを、不気味な声を発しながら飛び去って行く怪鳥の正体が、この鳥であることを知った。しかし近くで見ると怪鳥ととは似ても似つかぬかわいらしい鳥である。

みみずを好んで食べると書いてある。洗濯かごを逆さにして中に入れ、何匹がのみみずをとり(庭では数匹しか捕れず、江戸川近くまで探しに行ってやっと50匹程捕って来た)、与えてみた。食べてくれれば元気も出るし、回復も早いだろう。

左目は少し開いてきた

日が落ちて暗くなってきた。部屋の隅に置いた仮の住まいの中のとらつぐみが突然みみずをくわえて一気に飲み込んだ。これで安心、放せる日は近いだろう。

その後の経過

怪我の回復具合の判断がつかない。11月21日から23日は土曜と休日であったため、みみず、柿、パン屑などを与えて様子を見た。いずれもよく食べた。

24日午前、我孫子の山階鳥類研究所に電話を入れ、状況を説明し、指示を仰いだ。そして柏動物病院で怪我の状況を診断していただき、かつ放してもらうこととなった。無事に自然に帰ることを祈っている。

関係者のご協力に感謝します。

一口メモ

山渓フィールドブックス 野鳥によれば、とらつぐみはヒタキ科ツグミ亜科に属し、ヒー、ヒョーと闇にしみいるような声が夜道で聞かれる鳥。ヒヨドリよりも大きい、日本最大の大形ツグミ類。よく茂った広葉樹林を好み、林床でくちばしで落ち葉をはねのけてミミズなどの土壌動物を探す。とある。

永岡書店 野鳥カタログによれば、夜間あるいは薄暗い雨や曇りの日、口笛のように細く、しかしよくとおる声でヒイ―と鳴く。その声は音感や方向感に乏しく、どこから発せられたのかわからない不気味さを感じさせる。昔はこの声の主はぬえと呼ばれ、怪鳥または凶鳥として忌み嫌われていた。とある。

1998.11.24 星野太郎,理香(日本野鳥の会の会員なりたて)

遊びの専門店TOPへ