実際の星座と対比しやすい天体儀の試作 1998.3.10

REAL PLANETARIUM  2007.7.23

  星空を仰ぎ、星の名前や星座を覚えようと星図(星座早見表)を片手に何度かトライしましたが、星座早見表は全天を平面上に表現する必要があるため、かなり歪んでおり、あまり使いやすいものではありません。そこでもっと見やすいものはないかと検討しました。その概要を紹介します。

 

   

1.試作天体儀の概要

  星座や星の名前を覚える最良の方法の一つは、実際の星空を仰ぎながら星図(星座早見表など)と対比することでしょう。この場合、実際の星と星図の星の方位がほぼ同じであれば非常に対比しやすくなります。方位を合わせるには、球体の内面に星を描くことでできます。しかし、この球体の内部の中心から星図を眺めることは困難ですし、もしこれが可能な、大きな球体(プラネタリウムのようなもの)を作ったとしても、実際の星空はこの球体に遮られて見えません。方位を合わせ、かつその双方を対比させるためには、星図を部分的に用意し、星図の周りから実際の星を眺める必要があります。      この様な目的に適合する部分的な星図の一つがここで提案する半球型天体儀です。球を2分割するため、北天天体儀と南天天体儀(南天は別途報告予定)の2個が一組となります。なお、南天側は北天の一部をオーバラップさせてもよいと思います。

2.主な仕様

  星座は天の北極を軸にして、東から西に回転して見えます。また、見える星座は地球の公転のため、夏と冬では変わります。従ってこの天体儀は地軸を中心に回転できるようにしてあります。

  実際に暗い場所でこの天体儀と夜空を対比する場合、夜空と天体儀の明るさを合わせる必要があります。このために天体儀は蛍光塗料(蛍光ペン)で星を描いており、これをブラックライトで照射できるようにしてあります。星の明るさはブラックライトを調光して行います

  北天天体儀は北極星が北に位置するようにセットします。半球の中心に磁石があり、この指針が北極星の方向を向くように、全体の向きを調整します。

  半球体は市販(東急ハンズ)の塩ビ製を用いております。直径は30センチです。天の北極点で支えており、補強の意味から下部2点でも支えております。

  半球内には地平板 (透明アクリル板)が設けられております。やや垂直の棒はこれを支える柱です。

回転軸の中心に北極星が見えます

白鳥座

手前が磁石、透明な地平板があり、その上におおくま座が見えます。

3.実際に使ってみて

  写真の三脚に取り付け、地平板が目の位置にくるように調整します。予想通り、双方の対比が出来、今までにない天体儀が出来たと思います。これで星座も覚えられると思います。

4.改良点

  回転軸をモーター駆動する

  年、月、日、時刻をセットする機構の追加

  北天、南天を桃割り構造にする(南天はこの構造で別途提案)

  等々まだまだいろいろあります。その内に実現しようと思っております。

5.パソコンとの連動システムの提案

  マルチメディア天文シュミレーション ステラナビゲータを入手し、いろいろ使っているうち、このソフトと前述の部分星座を結合すれば、教育用の面白い星座観測システムが出来ると思います。これについては次の機会に報告します。

REAL  PLANETARIUM  2007.7.23

仕事の関係からなかなか次のステップへの移行がままならず、半球型天体儀を試作してから早9年が過ぎました。 現在ようやく次の試作に取り掛かりましたので、その概要を紹介します。

この写真はREAL PLANETARIUMと命名したプラネタリウムの変形モデルです。星空がよく見える屋外(昼間、曇天、降雨時は、この装置をすっぽり折りたたみ式のカバーで囲います。)に設置します。パソコンに連動したプロジェクタで前面の小型スクリーンに星野(ステラナビゲータなどを用います)を投影します。

シートはターンテーブル上に設置してあり、操作パネルのレバー(上下左右)で回転および背もたれの角度が自由に操作できます。スクリーンはこの動きに連動し、シートの向いている方向の星野を見ることができます。

逆に、見たい星座などをスクリーン上で入力すると、シートが自動的にその方角に移動し、スクリーンにその星座を映しだします。スクリーンは小さいので、見える全ての星野を投影することは出来ませんが、スクリーンが小さいことで、実際の星座とスクリーン上の星座を比較して見ることができます。

現在1シート用を試作中です。近々にその機能を紹介できると思います。

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