木炭を燃料とした温風発生装置  2011.3.172011.5.29追加記載

 

 

代替エネルギーとしてこれまでバイオマスペレットやチップを用いて検討を進めてきましたが、これらの燃料は燃焼させた場合、タールや煤が熱交換器に付着し、熱交換効率を悪化させます。実験の一例として別に報告の1kwFPSEコージェネユニットでバイオマスペレットを燃料としてガス湯沸かし器の熱交換器を用いた場合、延べ20時間の燃焼で熱交換器が詰まって排煙出来なくなる結果がでました。これを基に、1kwFPSEシステムでは、煤やタールで目詰まりしない構造の熱交換器を新たに開発しましたが、熱交換効率はやや低下しているものと思われます。今回タールや煤の出ない(少ない)木炭を使用した温風発生装置を試作しました。昔使った七輪構造のバーナーを作り、どの程度の温風が得られるか、煤のつき具合はどうかなどのテストを行なったので紹介します。

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左の写真が今回実験した装置の全体です。

(1)バーナーに木炭を入れ、点火します。空気はブロアーで内部に送りますが、風量は調光回路を用いて最適条件に合わせています。

2)バーナーの上にはガス瞬間湯沸し器用の熱交換器(廃棄品を解体して利用)を流用しています。

3)プラスチックのポリタンクを貯湯槽代わりに用い、約16Lの水を入れます。この水を循環ポンプでくみ上げ、熱交換器→温風器→ポリタンクと循環させます。流量は約4/minです。

4)温風器は温水用暖房装置の廃棄品の再利用です。制御回路などは全て取り去り、熱交換器とファンだけを用いています。バーナーと温風器はビニルホース(4m×2本)でつないでいます。

5)燃料供給はバーナー側面の燃料投入口からこの実験では手動投入しています。

6)ポンプ、ファンなどの電力はソーラーパネルからのバッテリへの充電電力を用いた(バッテリ:24V100Ah、インバーター:24V250Wタイプ)完全独立タイプです。

 

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ソーラーパネル

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バッテリ充電装置

 

◇システム構成図を下記に示します。

温風発生装置ブロック図s

 

◇テスト結果

テストは予想とおり順調に推移し、10.7℃の冷風(外気)が31.5℃の温風となって温風器から吐き出されます。また、ポリタンクの水温は3545℃程度でした。

10時間の燃焼テスト後、熱交換器部の煤のつき具合を調べましたが、煤やタールは殆ど付着しておらず、また有色排煙もなく実用的であると判断しました。

木炭テスト後、バイオマスペレットによる稼動を行いました。温風発生性能としては木炭とほぼ同じ結果が得られましたが、燃焼開始時に有色排煙が発生し、また、約8時間燃焼後熱交換器を調べましたが、やはり煤やタールが付着し始めておりました。

クリーンな燃焼を行うためには木炭が優れているとの結論です。

 

    今後の予定

燃料供給方法の検討

発熱量の計測、熱効率の追求

制御系の検討

1坪温室への組み込みテスト

家庭用暖房装置としての可能性の追求

などを行なう予定です。

 

    あとがき

この実験の直後の311日に東日本巨大地震が発生しました。被災地では雪の降る寒さに苦しんでいる被災者の姿をテレビで見ました。このような時こそ、このような装置が必要だと感じ、実用化すべきと思っております。

また、木炭は煙が出ない、タールが出ないなどの優位性がありますが、価格がかなり高いようです。如何に価格を下げるかが今後の課題であろうと思っています。