小型コアレス発電機を改良しました 2019.10.18
1. 検討の目的 車用オルタネータを人力発電に利用すべく検討を進めているが、回転数に対する発電電力が少なく、1050rpm以上必要なことが分かった。回転数が高いと増速ギヤ比を大きくとる必要があり、あまり好 ましくない。そこで、開発を進めてきた小型コアレス発電機をテストし、オルタネータと特性を比較した。 2.結果の要約 低い回転数で所要の発電電力が得られ、人力発電に利用できると判断した。ただし、コアレス発電機はネオジウム磁石を用いるためコスト高となるので、出来るだけ安く作る検討が必要である。 オルタネータ:40Wの発電を得るには1100rpmの回転が必要 小型コアレス発電機:40W程度の発電には800〜850rpmでよい。ただし発電電力制御に小型DC-DCコンバータ(1250円)が必要となる。 2. テスト回路 Fig.1にテスト回路を示す。Fig.2にテスト状況を示す。
3. 小型コアレス発電機について 4-1コアレス発電機の概要 Fig.3に小型コアレス発電機の外観を示す。
Fig.3 小型コアレス発電機は20φ×5tのネオジウム磁石を片面12個用いたロータ-板2枚と、その間に発電用コイルを12組組み込んだ(不飽和ポリエステル樹脂で注型)ステータから成る単相コアレス発電 機である。 4-2 コアレス発電機の特性 25Ωの負荷を加えた場合の発電特性を下記に示す。
連続して人力発電を行う場合の発電量は10〜30Wと思われる。上記表を見ると、800rpmで31Wが得られている。因みにオルタネータでは800rpmでは全く発電できず、1050rpm以上が必要である。 回転数が低いことは増速比を小さくできるので、発電装置としては望ましい。 4. バッテリ接続時の充電特性 Fig.1のテスト回路を用い、充電特性を測定した。 5-1 電球負荷なしの場合 800rpm時の特性を下記に示す。
V1はDC-DCコンバータの入力に加わる電圧である。コンバータは24.2Vdcを12.83Vdcに下げてバッテリに加えることが出来る。 バッテリに負荷が加わっていないのでバッテリ電圧は12.83Vから徐々に上昇し充電電流は減少して行く。 5-2 電球負荷を加えた場合:100V38W白熱電球
5-1に続き、電球負荷を加えると、発電電圧は12.83V→12.64Vに落ち、充電電流は1.32A→2.50A、充電電力は16.6W→33Wと、即増加する。下段は負荷を加えて約10分後の値である。発電電力⇔ 負荷電力であるため、バッテリは放電し、徐々にバッテリ端子電圧は下がって行く。発電電力>負荷電力であれば、バッテリは充電される。 5-3 回転数を可変した場合の充電特性
V1電圧はDC-DCコンバータの入力電圧で、規格は4〜40Vdcである。回転数を上げて行くと、V1電圧は上昇して行くので、この値が40Vを越えない範囲で使用する必要がある。従って1200rpm以 下で使用するようにする。コンバータは入力が33.6Vでも出力は12.5Vに抑えてくれる。 6.DC-DCコンバータについて Fig.4にDC-DCコンバータの外観を示す。 Fig.4 6.考察 オルタネータの場合はレギュレータが内蔵されており、所要以上の発電をしないように制御している。永久磁石を用いたコアレス発電機などは回転数に応じて電力が発生するので、バッテリに充電する ためには、発電電力をコンバータなどで制御する必要がある。 人力発電機に用いる目的で両者の性能を比較すると、コアレス発電機がベターである。 価格ではオルタネータがよいが、人力発電用としては使いにくい。 以上 |