ぎんやんま釣りに挑戦

 

 

                           2007.9.9

 

私の子供の頃の遊びで最も好きだったのは、近くの畑でのぎんやんま釣りでした。夏休みに入ると天気が良ければほぼ毎日のように出かけて行きました。ぎんやんま釣りで必要なのはおとりです。雌のやんま(腹の部分が緑色)が捕まえられれば良いのですが、日中は殆ど姿を見せません。そこで止む無く雄(腹の色が空色)を網で捉えて、空色の部分に朝顔やさつまいもの葉を揉んで貼り付けて雌に偽装させて使います。釣り方の感触は鮎の友釣りに似ています。

 

ぎんやんま(おとり)の捕獲

流山市野々下付近には坂川の源流があります。源流と云っても清流が湧き出しているわけでなく、利根川から江戸川に水をバイパスする導水路の出口で、利根川の水が流れだしているところです。水質はあまり良くはありませんが、水辺には葦が茂り(写真―1)、トンボの成育場所としては格好の条件が揃っているようです。昨年8月末にこの場所でぎんやんまの生息を確認しましたので、今回はその捕獲に挑戦しました。岸辺の足場のよいところに陣取りじっくり観察していると、10〜20分おきにぎんやんま(雄)が飛来します。この飛翔は縄張りを確保するものではなく休息場所を探しているように見えます。飛翔経路を確認した上で捕虫網を準備し、次の飛来を待ちます。子供の頃のように一振りで捕獲とは行きませんでしたが、約2時間を費やしてやっと一匹の捕獲に成功しました。

久しぶりに手に持って見るぎんやんま(写真―2)の雄です。

 

 

DSC_0197棲息地

 

写真-1

 

DSC_0213ぎんやんま雄

 

写真-2

 

 

やんま釣りの準備

ぎんやんま釣りには雌のやんまが最適ですが、雌はなかなか捕まえることが出来ません。そこで雄のやんまを使います。

雄をそのままおとりに使うとすぐ見破られます。雌であるかのように変装させなければなりません。雄のぎんやんまは尾の付け根の部分は空色をしています。

雌はこの部分が緑色です。

近くの畑でさつまいもの葉(写真―3)をいただきました。手の平でこれを揉むと粘り気が出てきます。適当な大きさにちぎり、空色の部分に貼り付けます(写真―4)。

 

DSC_0209さつまいもの葉

 

写真-3

 

DSC_0241さつまいもの葉貼り付け

 

写真-4

 

 

次に長さ1.5mほどの糸でやんまを繋ぎます。繋ぐ場所は図―1のとおりです。糸の片方の先は1m程度の竹ざおに結びます。これでやんま釣りの準備完了です。

 

やんまの糸掛けs

 

 

変装方法にはいろいろあります。

さつまいもの葉以外に朝顔の葉を同じように揉んで貼り付ける方法があります。緑の絵の具を用意しておき、これを塗る方法などがあります。いずれも昔経験済みの方法です。変装の効果としては、絵の具、朝顔、さつまいもの順ですが、現場で調達する場合はさつまいもの葉がよいでしょう。

 

ぎんやんま釣り

開けた川面をよく観察し、雄のぎんやんまが巡回飛翔しているのを見つけます。昔は簡単に見つけられましたが、今では辛抱強く場所を変えながら見つける必要があります。

おとりやんまを近くで飛ばすと、すかさず飛翔中のやんま(雄)が飛びかかって来ます。二匹が絡み合って地上に落下するので、素早く捕虫網をかぶせて捕獲します。これには熟練が必要です。

今回も準備してから約5分で一匹を釣りました。何十年ぶりのぎんやんま釣りでした。

 

ぎんやんまが生育できる豊かな自然環境を増やそう

昨日、野田市役所で開催中の小中学生の夏休みの自然科学研究発表会を見てきました。昔は夏休みの自由研究といえば昆虫採集が一番多かったのですが、最近は数が少なくなりました。昆虫を採取できる環境が無くなってきたことも一因でしょう。

昆虫がいなくなると昆虫採集も忘れさられます。そしてある時、自然が失われていることに気づきます。

子供たちにもっと自然に親しむ機会を与えてやる必要があります。昆虫採集することで、自然の仕組みが理解されていきます。

 

 

 

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