越冬するトンボ

 

 

 

2007.1.28

 

蝶の中には成虫で越冬するものがあることは以前から知っていましたが、トンボが越冬するとは知りませんでした。

市川動植物園

市川動植物園(千葉県市川市)には湧き水を中心に据えた自然散策路(無料)があります。周囲の高台に浸み込んだ雨水がこの一帯に湧き出し、これが小川となり動植物の豊かな生活環境をつくりだしています。特に冬のこの一帯は野鳥の宝庫で毎日のようにアマチュアカメラマンがカメラの砲列を作っています。お目当ては何箇所かに点在する池周辺に生息する翡翠(かわせみ)です。

 

 

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散策路

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かわせみを狙うカメラマン

 

地元の博物学者

今年になってから3回程ここを散策しました。なぜ3回も?一度訪れてみれば分かります。四十雀とめじろが群れをなして飛来してきます。それもほんの数メートル近くまで来て餌を食べています。この群れの後からこげらもついてきます。これほど多量の野鳥を身近に見られる場所はめったにないでしょう。鳥が好きなら病み付きになります。

ここを常連とする地元の博物学者がおります。それも何人もです。3回ほど通うともう顔なじみになります。そしていろいろな情報を教えてくれます。

(1)ふくろうがあそこに住み着いていて去年は2羽が誕生した。今日はまだ見えないが3時(15時)ころには戻ってくるかも知れない。この写真(デジカメ)は午前中に撮影したものだと見せてくれる

(2)とんぼが越冬している。これが越冬中のとんぼだ・・・と言って分かりにくいトンボの越冬する姿を指し示してくれる。今年は4頭越冬している。

(3)夏になるとあそこのビオトープでキイトトンボが羽化する

(4)さっきあそこの水辺におしどりがきていた

などなど、ここの自然を知り抜いています。

越冬するトンボ

トンボが越冬している? この寒い冬にトンボが越冬しているとは全く想像できませんでした。地元の博物学者がそれを見せてくれました。とくさの先に何やらくっついています。よく見ると正しくトンボです。しかも化石のようにとまっています。種類はよく分かりませんがイトトンボの仲間でしょう。

 

 

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とくさの林の中のイトトンボ

とくさの先端にさかさにとまった姿はなかなか見つけ出せません。一種の擬態と思われます。このようなトンボが越冬している状態を見つける地元の博物学者には感服します

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山と渓谷社の日本のトンボを開いて、調べてみました。“日本に産するトンボのうちで最も出現期間の長い種類は、成虫で越冬するホソミオツネントンボ、オツネントンボ、ホソミイトトンボなどで、その期間は10~11ヶ月にもおよぶ。”とあります。トンボも越冬する種類のあることを知りました。図鑑の写真と見比べるとオツネントンボのように思えます。

自然を守るマナーについて

ここ市川動植物園の散策路を訪れる訪問者は自然を守るマナーがかなり高いと推察されます。それは、ここに生息する野生の鳥たちの姿を見れば分かります。人をあまり恐れていないようです。また、ごみが殆ど捨てられていないことです。また背後では自然を維持するための手入れが充分に行なわれていると思われます。今日も、ボランティアと思われる人たちが、小川の流れに手を加えておりました