“Magical Wonderland”
JBAN X
第10回ジャパン・バルーン・アーティスツ・ネットワーク・コンベンション

06.8.7〜10 東京・ホテルイースト21
主催:Japan Balloon Artists Network



10回目を迎えたJBAN convention。「もう10年か、早いなぁ」というのが正直な気持ちだ。
会場は5年続いた横浜を離れ、東京・東陽町のホテルイースト21。深川からも近い、下町である。
では順を追って見て行こう。

1日目 (8.7)
1日目は例年通りコンテスト制作のみ。ラージスカラプチャー部門の制作が行われた。テーマは「Magic」、形状は昨年までの置き形から吊り形に変わった。過去の記録を見てみると吊り形は99年の第3回以来7年振りだ。サイズは6,000(W)×6,000(D)×2,500(H)mm、人員7名、途中でのメンテは不可で10日まで展示可能なもの、となっている。作業時間は10時間 (8日11:00〜21:00) しかなく、サイズは拡大されたにも係わらず昨年の16時間から大幅に短縮されている。それだけ高度なテクニックが要求されるというわけだ。展示場所はホテルイースト21 1FのEAST21ホールBにて。今年も制作中の公開は行われていない。8チームの参加。

2日目 (8.8)
台風が接近しており、明け方から激しい雷雨が東京を襲った。地下鉄東西線・東陽町駅で降り、北の方角へと向かう。途中の江東区役所には近くを流れる大河・荒川の水位表示があり、その表示は地表より高い位置を示している。この辺りは地面が海面よりも低いゼロメートル地帯だ。正面にひときわ高いビルが見えてきた。目指すホテルイースト21だ。
受付を済ませる。今年もフルパックでの参加だ。パス引換券を渡し、エントリーパック一式を受け取る。中身はエントリーパスの他、各クラスの資料をまとめたレジュメブック、コンテスト投票用紙、ファイナルパーティー座席予約チケット、オリジナルトートバッグなどだ。

午後からは各セミナーが始まる。今年は海外からの講師に本場アメリカの方がいらっしゃらない。それだけバルーンアートは世界に普及したということなのだろう。
会場は3Fの小ホールにて。途中の通路には各所にバルーンデコレーションが飾られている。エスカレーターにあったトゲトゲのマイラーバルーンはインパクトがあった (ミリオンスターといい、エミリーズバルーンのオリジナル商品だそうだ)。

まずはスロベニアのニコ・フリックさん (CBA) による ソーセージウィービングから。参加者も実際に作成するハンズオンクラス。いきなり苦手なマジックバルーンのクラスだ。ウィービングとは「織物を織る」などの意。その名の通りマジックバルーンをまるでソーセージのような形に織り込んで作品を作ってゆく。一緒にマジックバルーンを捻ってゆく。最初は練習。次にビールジョッキのオブジェを作ってゆく。以前は講師に着いていくこと自体が大変だったが、かなり慣れてきた。でき上がった作品はイビツだが。
頭上にはマジックバルーンで作られたHALLOWEENの文字が吊るしてある。これは同じくニコさんのクラス「ナンバー & レターズ!!」で作成するもののようだ。

コンテスト作品の展示がオープンしたので見てみよう。昨日行われたラージ部門の制作に加え、この日は2つのコンテスト制作が行われた。
スモールスカラプチャー部門は7チームの参加。テーマ「Magic」、条件は床置き形、サイズ1,500(W)×1,500(D)×2,000(H)mm、人員4名、作業時間3時間 (8日9:00〜12:00)、10日まで展示可能なもの、途中メンテ不可となっている。サイズは昨年より若干小さいが、こちらも作業時間は昨年の8時間から大幅に短縮されている上、人員も1人減らされている。
ウエディングメインテーブル部門は、テーマなし、サイズ2,800(W)×1,800(D)×2,500(H)mm、人員3名、作業時間3時間(7日9:00〜12:00)、10日まで展示できるもので、途中メンテ可、生花、造花持ち込み可。これは昨年とほぼ同じ条件だ。参加者も15チームと多い。
これらの展示もラージ部門と同じホールBにて。床から天井までぎっしりと作品が詰っており、気分はまさに“Magical Wonderland”だ。
ホールの片隅では、まだオブジェの制作が続いている。これは毎年特別展示を行っているトラベルジャーナル旅行専門学校テーマパーク科の方々だ。2年生の女の子10名がスタッフの指導を受けながら制作に励んでいる。プロの作品と比較しても引けをとらない完成度だ。

次のクラスは神戸のバルーンショップ・FLAPの前野るり子さん (CBA) によるふしぎバブリングドームだ。実際に作品を制作するワークショップだが、ファイナルパーティーの装飾で使われるものではない。テグスをつけたマイラーバルーンに5インチ3個を結びんだものを2個、Tバルーンの中に仕込む。バランスを整えて、外側のTバルーンをふくらまして縛る。仕上げに吹き込み口のところに4つ玉クラスターやマジックバルーンで飾りをつける。作業は順調に進んだが、Tバルーンの口を縛ってから中身のバランスが悪いのに気が付いた。テグスの位置を調整せずに縛ってしまったようだ。

今日最後のクラスは北海道中標津町で花屋「チャーリー」を経営するチャーリーさん (篠田 卓さん)(CBA) の想像と創造のバルーンアート――ソウルスカラプチャーを作ろう!!だ。昨年のラージスカラプチャー部門で優勝した「SEED 〜連綿と続く生命の放射〜」のノウハウについてあれこれ。詳しいことはここでは書けないが、普通なら誰も思い付かないようなアイデアに感心した。これはバルーンアートのみならず様々な業界にも応用できる考え方ではないだろうか。

3日目 (8.9)
この日は4クラス。最初のクラスは、JBANではおなじみの牛崎祥子さん (CBA) の It's a Magic!。大好きな特殊効果のクラスだ。6フィート程度の気球に小さな風船を仕込んで、ばんっ! とやる。
今回は火薬などを使わず、引き割りという方法を使う。気球は生地が薄いので引っ張るだけで割れてしまうのだ。しかしただ引っ張ればいいというものではない。本番で失敗しないための数々の細工を施す。
実際に割ってみた。ヘリウムで気球を浮上させ、ある程度の高さに達すると紐が引っ張られて割れる、いわゆるリリース&ドロップと呼ばれるやり方。
他に3フィート5個によるアーチを一斉に割る実演も行った。こちらは火薬を使った。狭い部屋で5個同時に割れると大変な迫力だ。

昼休みは90分ある。台風上陸で外は荒天だ。12:30からはファイナルパーティーの座席予約が始まる。コンテスト参加者に優先予約席が設けられていたが、空いている席は一般に開放される。今回も最前列を予約した。後ろ向きだが、振り返ればステージが目の前だ。何度も書いているが、ファイナルパーティーは食事を味わうためではなく、楽しむためのパーティーなのだ。

午後からはメキシコのアレックス・シェパードさん (CBA) によるデリバリーアレンジメント&デコレーションに参加した。これは講師の実演のみのクラス。等身大のミッキーマウスのオブジェや、誕生日向けアレンジメントなど。この作品を始め、各クラスの作品は終了後ロビーに飾られており、一般の宿泊者を含め多くの方が目にしたのではないだろうか。

受付の隣で行われているプロダクトショーケースを見てみよう。各社最新のラインナップが並び、エアロバルーンなどの実演も行われていた。在庫処分で格安で売られる風船もあった。今回も原則としてコンベンション参加者のみが対象だが、一般来場者も受付で申し込むことにより入れるようになっていた。

次のクラスは福岡のライムクリエイトの村井福也さん (CBA) によるゴム気球でやれる特殊効果だ。先ほどの牛崎さんのクラスとだぶる部分があるが、こちらでは実際に気球に小さな風船を詰める作業を行う。数チームに分かれて気球に小さな風船を詰め込んでゆく。太目の塩ビパイプの切れ端を気球の吹き込み口に取り付け、専用の道具は使わずに詰めてゆく。中身の大きさは4インチ。このクラスでも仕掛けは引き割りを行う。実際に1つ割ってみたが、各チームが作ったものはファイナルパーティーで使うのでそのままにしておく。天井に仕掛けて一斉にスパークさせるのかな……?

3日目最後のクラスはチャーリーさんのWow! Wonder Land!。ファイナルパーティーで使うセンターピースを作るワークショップ。思えば近年はワークショップが大幅に減ってしまった。ファイナルパーティーの仕掛けは見てのお楽しみということなんだろね。
テーブル上には様々な資材が置かれている。2人1組で作業に取り掛かる。最初にガラスの花瓶にゼリーとバラの花びらを詰める。え、ゼリー? 生花用の材料らしいが、確かに寒天状の塊だ。その上に2インチくらいの風船を1個入れる。さらにアイスキューブという光る石も入れるのだが、これは時間が経つと暗くなるのでパーティー直前にスタッフが入れるそうだ。
続いてリースと呼ばれる籠状の台に2インチくらいの風船5個とゼリーを入れた小さな筒2個を付ける。リースの底にあらかじめ付けてあるボール紙にEasyPopという風船割り器をセットする。何とセンターピースにまで特殊効果が仕込まれているのだ。コードは見えないように星の飾りの付いた紐にアルミ状のテープで包んで隠す。コードの先端にはリモートスイッチがあるが、アルミホイルで包んで星型マイラー3個の下に隠す。
時間がないため結構シビアだ。1人で作っている方もおられたが、かなり苦戦していた模様。
次はツタの葉などの生花をゼリーを入れた筒に挿す。ツタの葉はリースに絡めるようにして這わせる。
4Bバルーンと呼ばれる完全な球型のマイラー風船に小さなLEDライトを付けてヘリウムでふくらます。ふくらます最中に破裂音が2回ある不思議なバルーンだ。できたらテグスとリボンを付ける。テグスをEasyPopに通してリースに結びつける。リースと4Bバルーンの隙間は鳥の巣みたいなものを入れて隠す。
これとは別にLEDライトを仕込んだ4Bバルーンをふくらまし、傍らに置く。これもファイナルパーティーである仕掛けとして使われる。そして、このクラスの参加者に、パーティーのあるタイミングであることをして欲しいという約束があった。さて何でしょう!?
あっという間に90分が過ぎ去り、さらに30分ほどオーバーした。チャーリーさんの話も面白く、みんなノリノリで実に楽しい作業だった。完成したセンターピースは1Fのパーティー会場前へと運んでゆく。重いので気をつけて。

4日目 (8.10)
台風も過ぎ去り、夏の日差しが戻ってきた。
今日は村井福也さんの飛び出す!から始まる。またまた気球を使った特殊効果クラスだ。さすが今回はMagical Wonderlandなだけあって特殊効果のクラスが多い。
このクラスは今までと多少違い、気球から人が飛び出してくる、あの演出だ。気球に人を入れる場合の注意点やビデオを使っての一通り説明のあと、黄色い12フィートの気球を用意し、3チームに分かれて実際に気球に入ってみる。
気球に人を入れるやり方は初めて見た。気球の口を思い切り広げて、人を一気に入れる。入るというより強引に押し込まれるような感じだ。このとき鋭利なものを身に付けていると割れてしまうので注意。1つのチームはエントリーパスのケースが引っ掛かり割ってしまった。
普段なら中に入ったらそのまま割って飛び出すのだが、気球の中を全員に体験させるため、吹き込み口からそのまま這い出してくるという余り体験できないことも行った。でもどうせ入るなら割って飛び出したいもの。各チーム最後に入った人は割って出ても良いことになり、最後を狙う。3人同時だ。
自分の番が近付いた。パスケース、メガネなどは外し、靴も脱ぐ。気球の口を2人掛かりで広げると同時に一気に内部へ突入する。
無事、気球の中に入ることができた。どこを見ても同じ景色。こんなところに長いこと入っていると平衡感覚が狂って目を回したりするそうだが、何ともなかった。しかし酸欠という別の問題もあるので長時間は禁物。
「こっちが正面です」「ここからカッターの刃が入るので気をつけてください」。さぁ、緊張の一瞬だ。みんな決めポーズを取る。
ばんっ!! 大きな音を立てて気球が割れ、一気に飛び出した。いやぁ、これは快感。実に素晴らしい。一度は体験してみたかっただけに大満足だ。

さて1FのホールBでは、ヘリウムブーケアレンジメントとスペシャリティーエンターテイナースカラプチャーのコンテスト制作が行われている。
ヘリウムブーケアレンジメント部門は、テーマ「Magic」、サイズ800(W)×800(D)×1,800(H)mm、人員1名、作業時間1時間 (10日9:00〜12:00)、当日21:00まで展示できるものでメンテ不可。バルーンをメインとした作品で、造花はokだが生花は不可。

スペシャリティーエンターテイナースカラプチャー部門は、テーマ「Magic」、サイズ1,000(W)×1,000(D)×1,000(H)mm、人員1名、作業時間1時間 (10日9:00〜12:00)、当日21:00まで展示できるものでメンテ不可。使用可能な材料は260Q、350Qなどのノンラウンドバルーンのみで、フレームやスタンドは使えない。

投票は受付でもらった投票用紙を使う。今年もデザイン、バランス、オリジナリティなど数項目に分かれており、さらに総合評価を選ぶようになっている。一般来場者は投票箱に用意してある投票用紙を使う。こちらは各部門お気に入りの作品を1つ選ぶだけだ。
なおスペシャリティーエンターテイナースカラプチャー部門は講師のみによる評価となっている。それに気付かず投票用紙がないと一瞬慌ててしまった。

午後からはイタリアのアルベルト・ファルコンさん (CBA) によるファルコンズ 3フィート パレードに参加した。その名の通り3フィートの大きな風船を使った各種デコレーションの制作実演だ。「LOVEマシーン」というどっかで聞いたことあるような名のオブジェの作成も行った。

次は(株)ライオンゴム代表取締役・宮尾佳延さんによる専門セミナーよくわかる! ラテックスバルーンのお話だ。ゴムの木栽培から樹液の採取、樹液からラテックスの精製、ラテックスの性質、ゴム風船の製造、さらに印刷まで、スライドとビデオを使ってのゴム風船ができるまでの詳細な解説だ。実際にラテックス液と型枠を使ってゴム風船を作る実験も行ったりした。

最後を飾るのはファイナルパーティーだ。昨年まではセミナー終了〜パーティー開場まで2時間以上の空きがあったが、今年は1時間と短い。また受け付け前では風船職人SHINOさんによるSHINOジャムルームが行われている。各種マジックバルーンが用意され、SHINOさんのアドバイスを受けながらいろんな作品が作れる自由参加型の楽しいマジックバルーン教室だ。

会場はコンテスト展示の隣のホールA。入口にはトンネル状のオブジェが用意されている。これはプロダクトショーケースでもそのまま使われていたものだが、さらに手を加えてマジカルな雰囲気を出している。会場がオープンした。さぁ入ってみよう。トンネルを抜けると、そこは何もないガランとした空間。今までの会場は入口に様々な工夫があったのだが、これは一体……? (後で知ったのだが、この空間は喫煙コーナーであった)。その奥のドアが本当の入口。薄暗くムードを演出していることが多いが、今回はギラギラと照明が輝いていて明るい。

ステージ前にはオニキスブラックの3フィートが大量に並ぶ。オープニング時にばんっ!! とやるに違いない。ステージ正面にはスクリーン、スクリーン両サイドには丘に立つ家のオブジェ、そしてスクリーンの真下に巨大な気球が置かれている。ここから司会者が飛び出してくるのか? ステージ左右には虹と雲のオブジェがあり、虹には魔女と緑のネコ (パンフに描かれてるマスコットだよね、これ!?) が乗っている。

左右にはマジックバルーンや紙吹雪が詰った24インチで作った長いアーチがある。これもオープニングでスパークさせるのだろう。天井には無数の星型マイラーが吊ってあり、ところどころに魔女のほうきのオブジェがある。各テーブル上には昨日のワークショップで作ったセンターピースが載っている。

会場の照明が落ちる。間もなくスタートだ。さぁ、昨日のチャーリーさんとの約束の時間が来た。センターピースの傍らに置かれているLEDライト入り4Bバルーンをふわりと放る。暗い中に明るく輝くバルーンが飛び交い、神秘的な雰囲気を醸し出す。最初入ったときにホールが明るかったのはこの演出を引き立てるためだ。
他のテーブルでも同じように行われていたが、実際にこれをやってみると、テーブル上の既にドリンクが注がれているグラスのところに降りて倒れる恐れがあり、あまり派手にはやれなかったようだった。

ステージが始まった。毎年のことだがCGアニメーションが素晴らしい。JBAN10年の歩みを振り返る映像が流れた後、スクリーン前の気球がスパーク。けど何も出てこない。うーん、これは予想外だった。スクリーンにカウントダウンの数字が出る。4、3、2、1、0。それと連動してステージ前の3フィートが浮き上がってスパーク。見事なドンピシャのタイミングだ。中から大量の赤い風船が飛び出し大迫力。そこへお掃除部隊が登場。散らばった小さな風船を一斉に隅へ掃き出す。やや見苦しい光景だが、ステージ前に風船を大量に蒔いておくのは表彰式などでトラブルの原因ということでの措置だろう (ダンスタイムならむしろそのままの方が楽しいのだが)。
次いで司会者が登場し、エミリーズバルーン深尾マリ子社長の挨拶、さらにメインスポンサーである米パイオニアバルーンカンパニーの副社長テッド・J・ブラミス氏の掛け声により乾杯が行われ、ディナータイムへと入っていった。

ディナーを楽しむうちに、各テーブルに11インチ風船が10個くらい入った袋が配られてきた。中には「バルーンの限界に挑戦!」と書かれた紙が入っている。ステージ上には風船の大きさを計るためのサイザーが立てられた机が。ピンと来た。これは風船を割らずにどこまで大きくふくらませるかのコンテストじゃないか?
予想的中。テーブル対抗全員参加ゲームバルーンの限界に挑戦!だ。口でもポンプでも構わない。とにかく一番大きくふくらました人が勝ち。賞品は優勝者のテーブル全員にバルーン3,000個プレゼント。
さぁ、スタート。
「あと少し! あともう少しっ!!」……ばーん!! 「あー、やっちゃったぁ」。
会場はたちまち白熱と化した。みんなキャッキャッ言いながら大変な盛り上がりだ。どこのテーブルも洋梨型にふくれ上がった風船でいっぱい。爆音も花火大会の如く轟いている。そして各テーブルで一番大きくふくらました人がステージへ上り風船の縦方向のサイズを計る。40cm、41.5cm、45cm、46cm、47cm……上には上がいるものだ。優勝者は何と57.5cmまで達した。11インチ (=約28cm) が、である。
誰もがびっくり驚いた楽しい企画であった。

今年はフィギュアコンテストが行われない。まるでビデオの早回しを見ているかのようなパフォーマンスで大いに盛り上がるコンテストなのだが、スペシャリティーエンターテイナースカラプチャー部門がそれを兼ねていたのかも知れない。

再びしばらくディナーの後、コンテスト各部門の表彰式だ。今回はJBAN10周年を記念して、毎年欠かさず参加していただいた方に特別賞が贈られた。「ふうせん天国 桜井様……」「えっ、俺!?」――実は事前に連絡を受けていたのだが、実際に自分の名が呼ばれスクリーンに写るとやはり驚いてしまう。そうなんです。過去のレポートを見ていただければおわかりの通り、ふう天管理人のこの私も、実は10年間欠かさずJBANに足を運んだ者の一人 (ただし第1回のみパーティーには参加していない)。特別賞を受賞した方は7名しかいない。うち2人はセミナーでお馴染みのバルーンスケッチの牛崎さんと藤村さんだ。舞台上へと上り、記念の盾をいただいた。あっという間の10年だったが、その10年の重み、そして次々と新しい出会いが起こっていることを改めて感じた。レポートで調子に乗りすぎて迷惑を掛けてしまったこともあったし、実に様々な出来事、出会い、体験があった。JBAN関係者の皆さん、本当にありがとうございました。

次いで各部門の発表だ。ヘリウムブーケアレンジメント部門、スペシャリティーエンターテイナースカラプチャー部門、ウエディングメインテーブル部門、スモールスカラプチャー部門。次々と発表、表彰が行われてゆく。栄誉あるラージスカラプチャー部門で優勝したのは、「ジョーカーマジック☆」(タイトル写真) だ。作品名の上にあるプレートには次のように書かれている。

子カッパ達は、修行の旅でジョーカーマジックに初挑戦!
 ジョーカーマジック入門編
  其の1 ほうきで空を飛ぶ!
  其の2 帽子からジョーカーを出す!
  其の3 口からトランプを出す!
さぁ★うまくトランプが出せるかな?
子カッパ達のマジック修行 はじまり〜はじまり〜

ちょっとわかりにくいが、子カッパ達が帽子を持って魔法のほうきで空に上がり、その帽子 (ジョーカーの影でちょっと見えにくい) からジョーカーの人形を出し、さらにジョーカーの口からトランプを出すマジックの様子を描いている。昨年の「SEED」とは異なり、ストーリー付きの、いわゆるマンガのひとコマ的な作品だが、日本人はこういった作品の方が受け入れられやすいように思う。
他の作品も素晴らしいものばかりだったが、今回はラージ、スモールともにテーマ「Magic」で統一されていたため、トランプを題材にしたものが多かった。

しばらくの後、第2部は恒例のバルーンコスチュームコンテストだ。今年はSHINOジャムルームで生み出された凄いコスチュームが勢揃いだ。選考は昨年と同じく入口で行われ、白いバルーンをもらった人がノミネートされた人、赤いバルーンをもらった人は審査員だ。審査員に選ばれた人には星の付いた細長いバルーンが配られる。ノミネートされた人はステージ上で15秒間、思う存分アピールしてもらう。それに応じて審査員にバルーンを振り回してもらう。バルーンを最も派手に振り回された人が優勝だ。今回はSHINOさんが特別審査員となり、それ以外にも会場の歓声の凄さも判定の基準に取り入れられた。
さらに今年はマジカルって賞コスチュームコンテストというコンテストも行われた。マジカルなテーマにふさわしい服装の人がノミネートされ、審査のやり方は前者と同じ。これも大いに盛り上がった。

さぁ、次はいよいよダンスタイムだ。左右にあった24インチのアーチがステージ前に移動してくると、一気にスパーク。同時に天井から無数の星型バルーンがふわりふわりと舞い降りてきた。ステージのみならず会場全体が一気に加熱した。
ここでチャーリーさんとの2つ目の約束。センターピースの一部のバルーンを動かすと、隠してあったEasyPopのリモコンが現れる。ボタンを押す。センターピース上部に仕掛けられた4Bバルーンがふわりと浮き上がり、リボンの垂れ幕が伸びる (本当はここに「祝 JBAN10周年」とか印刷したかったそうだが、時間的に無理なためリボンのみになった)。こんなところに仕掛けがあるなんて驚いた方も多かったことだろう。
今年は大風船の投げ合いが復活した。実はこれ、3日目に村井さんのクラス「ゴム気球でやれる特殊効果」で作った観測気球だ。こういう使われ方をするとは予想外。中身には5インチの風船が100個入っている。ばーん!! 気球が弾けると同時にたくさんの風船が宙に舞う。もう最高の盛り上がりだ。さて私はといえば、魔法のほうきを引きずりながら会場中を練り歩いていた。「誰だ、あの目立ちたがり屋は?」と感じた方もおられたと思うが、それは私です (冷や汗)。
ダンスタイムでもう一つの名物が "人間列車"。肩に手を掛け長大な行列となって会場を何周も回って歩く。もちろん私もその中に入り込む。ディナーの最中にこんなことができるパーティーは日本では恐らくこれだけだろうね。繰り返すが、JBANファイナルパーティーは味わうことよりも楽しむためのパーティーなのだ。

時刻は間もなく21:00。ステージに司会者が上ると、そろそろ終了だ。あっという間の楽しいひと時だったが、20:30までのところ、30分延長してくださったようだ。
閉会の言葉をつとめるのは今やJBANに欠かせない重要人物となった牛崎祥子さん。今回のパーティー会場のデコレーションは、チャーリーさんが特殊効果を、そして牛崎さんが全体の指揮をとったそうだ。キャノン砲が無数のテープを打ち出し、フィナーレを迎える。

10周年を迎えて大いに盛り上がったJBANコンベンション。今年は特別賞をいただいたり、各セミナーでも貴重な体験ができ、忘れられない最高の思い出になることだろう。毎年素晴らしいイベントを企画・運営してくださるエミリーズバルーンの皆さんに感謝しつつ、会場を後にした。満月のきれいな夜だった。