“Evolution”
JBAN convention V
第5回ジャパン・バルーン・アーティスツ・ネットワーク・コンベンション

01.8.27〜30 横浜・みなとみらい21地区
主催:Japan Balloon Artists Network



5回目を迎えたJBAN covention。今年のテーマは「Evolution」(進化)。会場は一転して横浜みなとみらい21地区に移り、コンテスト制作・展示はショッピングモールで一般に公開されたライブ形式となり、一般客にも投票権が与えられたのが新しい試み。……いや、このライブコンテスト形式は実は97年の最初のコンベンションもそうだった。最もこの時の会場・大森ベルポートはただのオフィスビルであり土日は誰も来ないところなので (この年は土曜日の開催だった)、来場したのは関係者のみだったと思われるが。
では順を追って触れていきたい。

1日目 (8.27)
月曜日。仕事を終えてからフレームオブジェのライブコンテスト制作シーンを見るために横浜へ向かう。東京では土日になると雨が降り月曜日は晴れることが多いのだが、この日は生憎にも激しい夕立に見舞われた。全く皮肉なものだ。
みなとみらい21地区を訪れたのは初めてだ。桜木町駅で降り、バスターミナル脇を歩いて動く歩道に乗ればランドマークプラザへと案内してくれる。月曜の夕刻なので買い物客よりも帰路に付くビジネスマンの方が多い。目の前にある日本丸、よこはまコスモワールドの大観覧車が良く目立つ。そして空を見上げれば池袋サンシャイン60を抜いて日本一の高層ビルとなったランドマークタワーが聳え立っている。
ランドマークプラザの吹き抜けガーデンスクエアにはJBANの文字を型どったオブジェが吊されている。ここもコンテスト会場となる場所だが、この日に行われたコンテストはフレームオブジェ ロングタイム部門のみなので、まだ何も用意されていない。ランドマークプラザを通り抜け、その先のクイーンズスクエアへと向かう。
フレームオブジェ ロングタイム部門の会場は1Fのクイーンズサークル。あの「TVチャンピオン - 第3回バルーンアート王選手権」の決勝戦が行われたところだ。この部門は4,000×4,000×4,000(WDH)mmの巨大なオブジェを27日13:00から28日11:00まで6人のチームで22時間掛けて作り上げるという大規模なものだ。 参加チームは6組。私が現地へ付いたのはスタートから5時間ほど経過した18:00頃。各チームともフレームがほぼ完成して風船の準備を進めているところだった。現地で1時間ほど見学してこの日は引き上げる。どんな作品ができあがるか楽しみだ。ここにもランドマークプラザ同様にJBANの文字を型どったオブジェが吊されており目印となっている。

2日目 (8.28)
本業のため不参加。
この日のコンテストは引き続きフレームオブジェロングタイム部門に加え、フレームオブジェ ショートタイム部門 (サイズ2,500×2,500×2,500(WDH)mmまで、人員4名、制作時間7時間)、ウエディングメインテーブル部門 (同2,800×1,800×2,200(WDH)mm、3名、3時間)、テーブルセンターピース部門 (同450×450×350(WDH)mm、1名、1時間)、アレンジメントブーケ部門 (同600×600×1,500(WDH)mm、1名、2時間)、の制作が行われた。もちろんどの部門も一般公開のライブ形式だ。センターピースとアレンジメントについては「Evolution」とテーマが決められているが、その他の部門にはテーマは設けられていない。
フレームショートタイムはランドマークプラザ1Fガーデンスクエアで、センターピースとアレンジメントは同3Fの公共歩廊にて、ウエディングメインテーブルはランドマークタワー3Fのオフィス棟で行われた。またこの部門は制作時間も18:00〜21:00と終業時間に合わせて行われ、多数のビジネスマンが行き交う中での制作となりプレッシャーはより大きかったのではないだろうか。

3日目 (8.29)
29日と30日はセミナーとワークショップ主体の内容だ。この2日間は休暇を取っての参加となった。例年通りいくつかのコースをバラで受けようと思ったのだが、今年は思い切ってフルパックでの参加とした。
ファイナルパーティーの座席予約があるので、朝一番で横浜へ向かう。渋谷から東横線に乗ってしまえば桜木町まで一直線だが、早朝は電車本数が少なく乗り換えにも意外と時間が掛かるので渋谷に着くまでが一苦労だ (ちなみに私の住まいは埼玉県と接する練馬だ)。東横線は都内では渋谷行きの方が混んでいるが、横浜に近付くに連れ桜木町行きの方が混むようになる。横浜ではほぼ満員状態だ。横浜は東京に負けない大都市なんだなと改めて感じさせられた。
駅を出て、動く歩道〜ランドマークプラザ〜クイーンズスクエアと延々と歩く。クインーズサークルでは一昨日のフレームオブジェ ロングタイム部門の作品が完成している。クイーンズスクエアの奥にあるパンパシフィックホテル横浜が今回のメイン会場だ。着いたのは7:45頃、総合受け付けオープンは8:00だ。昨年は受け付けオープンのかなり前から座席予約の列ができたが、今回は思ったより少ない。例によって中央最前列の特等席を取る。他の人達は意外にも2〜3列目のテーブルを選んでいる。……後で実際にステージが始まってわかったのだが、最前列だとステージが近すぎるためオープニングの演出がかえって見にくいのだ (思い出せばこれは昨年もそうだった)。
受け付けを済ませ、セミナー開始まで1時間近くあるので、完成したコンテスト作品を見に行くことにしよう。フレームオブジェ ロングタイム部門はホテルからも比較的近いところだが、その他の部門はランドマークプラザまで歩く必要がある。しかも時間が時間なだけにオフィスへと急ぐビジネスマンが多く何とも堅い雰囲気だ。後でじっくり撮影することにしよう。

9:00からはセミナーとワークショップだ。最初に参加したのは日本が世界に誇る "大将" こと大曽根康弘さん (CBA) による簡単にできるバルーンアトラクションだ。これまでの体験を元にしたバルーンアトラクションのノウハウを中心に、大曽根さんが手掛けたバルーンアトラクションの貴重な非公開ビデオも見せていただいた。

各セミナー間は30分の休憩がある。コンテスト作品の見学・投票に行きたいのだが、ランドマークプラザまで往復するのは30分ではちょっとしんどい。

11:00からは「TVチャンピオン - 第1回バルーンアート王選手権」以来お馴染みの井波恭子さん (CBA) によるスモールオブジェに参加した。卓上には風船セット一式とポンプが用意されており実技もあるようだ。まず井波さんが簡単なオブジェを作って見せる。350Qや160Qを使った新郎新婦のフィギュアだ。続いて受講者もこれを作るわけだが、ノンラウンドバルーンが大の苦手な私にはかなり敷居が高かった。

2つのセミナーが終わると60分の昼休みだ。クイーンズスクエア内のコンビニで菓子パンを買って昼食を簡単に済ませ、コンテスト作品を見に行く。まずはフレームオブジェ ロングタイム部門から。6チームの参加で噂通りの力作揃いだ。4m四方の大きさとなると迫力もかなりなものだ。昨年は途中でメンテが許されず最終日の頃にはくね〜っと行ってしまった作品もあったが、今回はメンテの時間も設けられているのでどのオブジェも状態は良好だ。一角に投票箱があり、一般客にも投票できるようになっている。参加者はエントリーパスに付いていた投票券を受け付けで専用の投票用紙と引き換えてもらい投票する。
フレームオブジェ ショートタイム部門も6チームの参加。サイズは少し小さくなるが、ロングタイムに負けない立派なオブジェができ上がっていた。フレームオブジェは子供連れに人気があった。
テーブルセンターピース部門 (参加17名) とアレンジメントブーケ部門 (同11名) は公共歩廊でアクリルケースに収められての展示。
ウエディングメインテーブル部門は10チームの参加。こちらはオフィス棟での展示で買い物客も余りおらずビジネスマンばかりでちょっと堅苦しい雰囲気だ。
フレームオブジェが子供たちに人気があったのに対し、センターピース、アレンジメント、ウエディング各部門は若い女の子たちから注目を集めていたようだ。

再びホテルに戻り、午後からのセミナーに入る。13:30からは米国のジム・パーカーさん (CBA) による企業ロゴを作り売るに参加した。彼が手掛けた作品のスライドを見ながら説明を受ける。シアトルを中心に展開している方だそうで、かのMicrosoftの社屋のバルーンデコレーションも手掛けていた。

15:30からはエミリーズバルーンの藤哲次さん (CBA) によるワークショップバルーンを使った特殊効果に参加した。これは2時間半の長いクラスで、ファイナルパーティーに使う特殊効果バルーンを実際に制作するクラスだ。昨年も好評だったクラスであり早いうちに満席になったようだ。今回は藤さんがIBACに参加して得た技術を元に制作する。昨年は電気を使ったものだったが、今度は火薬も使った。16インチに紙吹雪やリボンをぎっしり詰めたものや、18インチポリに260Qネオンカラーを2本詰め込んだ使ったオブジェ、それに星模様の3フィートクリアに20インチ星型マイラーを詰める作業などを行った。パーティーではどんな仕掛け方をするのか楽しみだ。

終了後、ロビーにはもう一つの2時間半コースのワークショップ、井波さんによるスモールオブジェで作られた昆虫?のオブジェが集まっていた。
本日のスケジュールはここまで。帰りぎわにコンテスト作品をじっくり観覧、撮影、そして投票する。19:00を回る頃には客も減りゆっくり落ち着いて見ることができた。

4日目 (8.30)
いよいよ最終日がやってきた。この日もセミナー4クラスをびっしり受講だ。
9:00からは昨日に続きジム・パーカーさんによるフレームの作り方に参加した。彼が手掛けた数々のオブジェのスライドを使い、フレームの組み方、設置に際してのノウハウなどのお話があった。

11:00からはバルーン周辺用品で知られる米Conwin Carbonic社のジャン・イアムズさん (CBA) によるマジカルセンターピースに受講した。同社の最新機器を使い実演しながらの説明だ。5インチの小さな風船に特別な道具も使わずに花を入れてしまう技はまさにマジカルだが、残念ながらここで詳細を書くわけには行かない。

今日は昼休みを利用してプロダクトショーケースを覗いてみよう。協賛各社によるバルーン業界最先端の製品が出品されており機器類の実演も行われている。特にQualatexのブースには今年度版のカタログにも乗っていない最新の商品もあった。一方で同社から4フィートと5フィートの風船が消えたことも知る。

13:30からは昨年のファイナルパーティーで司会を勤めた大阪のウィンズバルーンの加原かつひこさん (CBA) による命を吹き込む 〜質を高めるバランス感覚〜に参加した。このクラスのために特別に制作したオリジナルビデオを使いながら、今回はイルカのマイラーを使ったオブジェに焦点を絞り、バランスの良い生き生きとした作品作りについてのお話があった。トークがまた面白くて人を飽きさせず、実に有用なお話だった。今まではバルーンデコレーションのことを単に「きれい」とか「素敵」だと思っていた人も、このクラスに参加していればきっと視点が変わったはずだ。

15:30からの最後のクラスは、先程のジャン・イアムズさんによるバルーンと特殊効果に参加した。キャノン砲やガスを使った風船割り器など、数々の機器を駆使した特殊効果が炸裂する。3フィートに大量の小さな風船を詰めて遠隔操作で割る実演は圧巻だった。

セミナー・ワークショップが終了した後は、お待ちかねのファイナルパーティーだ。会場となるB2Fの大宴会場前に集まる。毎年恒例となったコスチュームコンテストももちろんある。各自 "Evolution" な装いでのご登場だ。
18:00、会場が開いた。早速踏み込んでみよう。昨年は "JUNGLE" だったためグリーンを基調としたデザインだったが、今回は赤・青・黄とカラフルな色調だ。あちこちに使われているネオンカラーの260Qが照明を受けて輝いており何とも幻想的だ。周囲にはワークショップで作った昆虫のオブジェ、そしてステージには始祖鳥のオブジェがある。どうやら太古の恐竜時代から人類の出現、そして文明社会へと至る進化の道筋を描いているようだ。今回のファイナルパーティーでバルーンデコレーションの総合プロデュースを担当したのはお馴染みバルーンスケッチの牛ア祥子さん (CBA) だ。

ステージが始まる。オープニングの映像作品が素晴らしい。司会は今年も加原かつひこさんだ。エミリーズバルーンの深尾マリ子社長の挨拶、協賛各社・講師の紹介に続き、大将こと大曽根さんの合図で乾杯となった。

その後しばらくディナータイムとなり楽しい一時を過ごす。再び加原さんがステージに登場すると、参加者全員を対象とした阿弥陀くじゲームが行われ、そしていよいよコンテスト作品の結果発表だ。各部門の入賞作品が発表される。注目のフレームオブジェロングタイム部門で優勝に輝いたのは、「Dinosaur - ダイナソー」だ。体の部分は風船を2枚重ねにして微妙な色の違いを出してあったり、特に口の中の精細な作りは見事で、近くで見ると今にも噛み付いてきそうなほどの迫力だ (写真)。

続いて恒例のコスチュームコンテストだ。今年はセクシー・キュート・ファニーの3部門に分かれて各10名ずつノミネートされ、例によって拍手の最も多かった人が優勝だ。ファニー部門ではネット上の知人が4人もノミネートされたので驚いてしまった。いずれも優勝は逃してしまったが。

最後はダンスタイムだ。天井に仕掛けられた大風船が次々と炸裂して大量の紙吹雪が舞い会場は一気に盛り上がる。みなステージへと出て踊り始めれば思わず時の流れを忘れてしまうかのような一時だ。巨大風船の投げ合いは出てこなかったが、代わりに長さ2m太さ30cmほどの巨大マイラー風船の投げ合いになった。
ラストナンバーは昨年のリクエストなのかモーニング娘。の「LOVEマシーン」。この曲はみんな燃える。私は相変わらずモー娘には疎いが、いつの間にか曲に合わせて巨大マイラーを振り回して暴れまくっていた。しかし曲の途中で終了の時間が来てしまい突然途切れたので思わずコケそうになってしまった。

加原さんがステージに登場し、早くも終了時間になってしまったとのこと。最後にバルーンデコレーション担当の牛アさんの挨拶で締めくくる。
終了後はお決まりの撤収作業だ。華やかだった会場が年末の大掃除のような慌ただしさになる。しばらく撤収を手伝った後、会場を後にする。時刻は23:00近くになり電車も本数が減っており、宿泊じゃない人は帰るのが大変だったようだ。かく言う私も終電で何とか池袋まで辿り着いたものの、そこからはタクシーに頼らざるを得なかった。でも、楽しかったんだからいいじゃないか。

そんなわけで、5年目を迎え国際都市・横浜に舞台を移して行われたJBAN convention。今後のJBANの発展に期待すると共に、毎年素晴らしいイベントを企画してくださるエミリーズバルーンに感謝したいと思う。