ザ・バルーンコンベンション
〜クオラテックス・ファンセーション〜

00.9.25〜27 東京・ホテルグランパシフィックメリディアン
主催・事務局:岸ゴム株式会社
協力:パイオニアバルーンカンパニー
運営:TBC運営委員会



世界最大のバルーンコンベンション・IBAC (International Balloon Arts Convention) に匹敵する規模のコンベンションをぜひ日本で……そんな構想から生まれたThe Balloon Convention。いま日本で一番ホットなスポット「お台場」を舞台に繰り広げられ、世界の一流バルーンアーチストによるセミナーや各種コンテストなどが行われた。各マスコミの取材や、「Yahoo! Internet Guide」誌で特集され、さらに米CNNが全世界で放送するなど、大きな話題となった。
会期は3日間だったが、私は本業の都合により最終日のみの参加となった。では順に見ていこう。

有明の東京ビッグサイトで大きなイベントがある日は大変な混雑となるらしい「ゆりかもめ」に新橋から乗り込み、台場駅で下車する。ホテルグランパシフィックメリディアンは駅と直結していて便利だ。ロビーへ一歩入れば、そこには風船で作られた巨大なケーキが。通りがかりの宿泊客からも相当な注目度だったようだ。
受け付けでエントリを済ませ、名札とバッジを受け取る。今回私は岸社長の特別のご好意によりプレスとして扱っていただいたため、赤とピンクの2個のバッジをもらった。ピンクのバッジはプレスの印だ。さらにセミナー運営担当のバルーンネットワーク細田さんからプレスパスをいただいた。これで全会場フリーで入れるらしい。
ロビーでは日本が誇るバルーンアトラクションのスペシャリスト、エアロテックの大曽根さんによる特殊効果セミナーが開かれている。ケーキの裏側に位置するチャペルでは米国のリンダ・ブルースさんによるセミナーデリバリースカルプチュアが行われていた。ギフトアレンジの講座だ。
他の会場も回ってみよう。地下の小宴会場では6〜7室に分かれて各種セミナーが行われている。机上での講義的なものからオブジェを制作しながらの実践的なコースまで内容は様々だ。
大宴会場では夜に行われる「ファイナルギャラ」の準備が進んでいる。ここはプレスも閉め出しのようで、入ったら怒られてしまった。デコレーション担当には君塚加織さんや家泉あづささんなど、IBACで入賞した実績があるトップアーチストを起用しているそうだ。
さて私が受講する時間だ。最初に受けたのは大曽根さんによるバルーンアトラクションの実技だ。先ほど受け付け前のアトリウムで行われていたものだ。バルーンドロップに付いて実際の仕掛け方、成功させるための各種ノウハウなど、細かなところまで行き届いた実に興味深い内容だった。

午前の部を終えたところで一息付こう。ゆりかもめを挟んだ反対側にあるホテル日航東京では、有志によるバルーントレードショーが行われていた。各社最新のラインナップを揃えた充実の内容だ。

午後からはイギリスのバルーンアーチスト、クリストファー・ホーンさんによるセミナージャイアントバルーン・フォー・ジャイアントエフェクトに参加した。文字通り巨大風船を使った効果のセミナーだ。巨大風船と言っても観測気球を使って人を出したりというような大曽根さん風なものではなく、Qualatexの3フィートを主に使ったものだ。ここで24インチの実物を初めて手にすることができた。しぼんだ状態でもかなり大きく、特に吹き込み口は3フィートよりも太く作られており、ラッピングのような使い方も考慮してあるようだ。話には聞いていたが、ふくらますと洋梨型になる。組み合わせてクラスタを作るときなどは扱いやすいそうだ。現在のところスタンダードカラーとジュエルトーンの無地のみの販売。
次は各種コンペティション作品を見てみよう。今回はラージスカルプチュアテーブルコーディネートノンラウンドスカルプチュアバルーンフィギュアの各部門に分かれており、いずれも力作揃いだ (写真)。

日が傾いてきた。セミナータイムが終わると、いよいよラストパーティーファイナルギャラだ。まずは大宴会場前のロビーでバルーンバスカーコンペティションだ。バスカーとは大道芸のことで、要するにマジックバルーンを使った見世物のコンテストだ。6人の参加だったが、風船を食べてしまったり、マジックバルーンを鼻息でふくらましたりなどそれぞれ工夫を凝らしたパフォーマンスで、時が経つのが早かった。
ファイナルギャラの入口が開いた。入ってみてびっくり。何と、日本調のデコレーションなのだ。大きな竜のオブジェは昨年のIBACで優勝した君塚さんの作品と似ており、竜の手にしたオーブがまるで本物の真珠みたいで素晴らしかった。
オープニングはこれまた驚き。何と、歌舞伎が始まったのだ。私は歌舞伎の知識など全くないので何のことだかわからず、親に聞いてそれは連獅子だと教えられた。日本調のデコレーションにせよ歌舞伎にせよ、世界最大級のバルーンコンベンションが日本で開催されているのだということを世界にアピールしているようにも見える。
続いて実行委員長の岸社長から挨拶、講師の紹介があり、日本の風船界の大将こと大曽根さんにより乾杯が行われた。そしてディナータイムへと移る。飲めない私はもちろんウーロン茶だ。

次いでCBA検定試験の発表だ。CBAとは米パイオニア社の主催する教育機関QBN (Pioneer Balloon Network) の講習を一通り修了して筆記試験に合格後、さらに厳しい本試験に合格して初めて取得することができる、言わばバルーンアーチストの国際規格だ。今回は26名もの新CBAが誕生した。もちろん全員日本人だ。日本のバルーンデコレータのレベルも、もはや完全にワールドクラスに達したと言えるだろう。
今度はコンペティション結果発表だ。各部門の発表、そして表彰が行われ、賞状・賞品が送られた。続いて特別賞の発表だ。そのうち一つ、「TBCバルーンメディア」という、マスメディア界に対して風船の普及に貢献した人に与えられる賞では、何と私の名が呼ばれた。特別賞の存在も聞いてなかっただけに突然呼ばれて驚いてしまった。「バルーンデコレータでも何でもない、できるのはHP作りだけ」という素人の私を選んでいただいてありがとうございます。
最後にダンスタイムがあり、フィナーレだ。JBANのような派手な演出はないが、ステージ脇に仕掛けられたキャノン砲が火を噴き大量のテープが舞った。

アジア、オセアニア地域最大のバルーンコンベンションとなったTBCだが、どうやら来年も開催されるようだ。今後の一層の発展を祈りたい。