“JUNGLE”
4th JBAN convention
第4回ジャパン・バルーン・アーティスツ・ネットワーク・コンベンション

00.8.22〜24 東京・新高輪プリンスホテル
主催:Japan Balloon Artists Network



4回目のJBAN coventionがやってきた。今年のテーマは「Jungle」。地球本来の持つ美しさ、素晴らしさに着目したテーマだ。そもそもゴムの木というものは熱帯ジャングルに生える植物なので、ジャングルとゴム風船は親戚のような存在でもある。今年は会場も新高輪プリンスホテル別館・国際館パミールに統一され、2つの会場を移動する手間もなくなり、その分セミナーやワークショップに打ち込めたのではないだろうか。では順に追っていきたいと思う。

1日目 (8.22)
今日は仕事。朝に2時間ほど時間をもらい、新高輪プリンスまで駆け付ける。そう、ファイナルパーティーの席の予約だ。現地には9時頃に着いてしまったが、受け付け開始は10時からだ。
ロビーではY's Dreamの梶川洋平さんが控えており、彼のチームと一緒に席を取らせていただいた。C列1番、ステージの目の前だ。座席指定券に加え、4色のプラスチックコインももらった。コンテストの投票に使うらしい。
この日はこれで引き上げる。受け付けを見ると、既に席の予約で長蛇の列となっていた。

2日目 (8.23)
今日からは1日フルタイムの参加だ。午前中は盛岡のバルーンショップBalloonSketchの牛ア祥子さん (CBA) によるワークショップバルーンデコレーション (2) に参加した。
CBAとはCertified Balloon Artistのことで、Qualatexブランドの米パイオニア社が主催する教育カリキュラムQBN (Qualatex Balloon Network) の講習を一通り終え、筆記試験に合格した者だけが受験することができる厳しい資格だ。この合格者は文字通りその技術を証明されたバルーンアーチストであり、バルーン業界の国際資格と言えよう。
ワークショップとは、ファイナルパーティーに使用するデコレーションを自らの手で作りながら技術を学ぶ実践的なクラスのことだ。それ故ある程度の技術を必要とする。
まずセミナー形式でオブジェを制作、設置する際の注意点などについての説明があり、その後実際の制作に入ることになった。
今回制作するのは「2000」の文字を型どった簡単なフレームオブジェだ。11インチの風船で高さ2,000mm程度の文字を作る。4つのチームに分かれて作業開始だ。私は100の位の「0」を担当することになった。
女性陣が風船をふくらましてクラスタを作る間、男性陣はアルミ棒を曲げてフレームを作ってゆく。アルミ棒を曲げたのは初めてだが、これは結構力の必要な作業だ。今回は比較的細い8mm太さの棒を使用したが、大規模なオブジェではさらに太い棒を使うので、思い通りの形に曲げるのは大変だろう。
フレームが完成したところで風船を結んでいく。さらに5インチの小さな風船で作ったクラスタを付け、葉っぱの飾りと電飾を埋め込んで完成だ。4チームに分かれて作ったため、「0」の文字が3つとも違う形になってしまったのが残念だ。

セミナーの合間にプロダクトショーケースやコンテスト展示も見てみよう。
プロダクトショーケースは協賛各社によって行われる展示会のことだ。各社の製品が並び、バルーン周辺用品の実演も行われていた。今回は気球のメーカーも協賛しており、最大の17フィートもあった。しぼんだ状態で端から端まで3mはあろうかという大きさに度肝を抜かれたものだ。吹き込み口の太さも5cm近くあった。
誰でも入場できるので、宿泊客がちょっと寄ったりというシーンも見られた。たまたま別のホールで子供向けのイベントが行われており親子連れも多く、たくさんの風船に子供たちは大はしゃぎだった。
フレームオブジェコンテストノンフレームオブジェコンテストは、受け付けとは違うフロアでの展示だった。フレーム部門10チーム、ノンフレーム部門6チームの参加で、いずれも力作揃いだ。
各作品の前には作品名プレートが掲げられているが、今回はチーム名が一切書かれていない。公正な投票を行うための措置だそうだ。
別フロアということもあり、セミナーの行われている時間には人も少なく、誰もいないときもあった。おかげでじっくりと撮影できたが、時々どこかでカサカサと音が聞こえる。まさかゴキブリか? いや、一部のオブジェは可動式になっており、モーターで自動的に動くようになっていたのだ。
会場の隅には作品名の書かれた缶が置いてあり、ここで先日もらったプラスチックコインを使って投票する。これは昨年と同じやり方だ。
残念なのは、各作品とも風船の劣化が激しかったことだ。特にフレームオブジェは会期前の21日に先立って作られたため劣化も激しく、どの作品も風船に艶がなくなっており、いつ割れてもおかしくない状況だった。ファイナルパーティー終了まで丸3日間、途中でメンテ不可というのはゴム風船にとってはかなり過酷なことだろう。
続いてプロダクトショーケースの隣で行われていたウェディングメインテーブルアレンジメントのコンテストも見てみよう。
ウェディング部門15チーム、アレンジメント部門に至っては何と27チームという参加者だ。これまた力作揃いで、どれに投票するか迷うところだ (写真)。ウェディング部門は前日に作られていたため、やはり劣化が激しく、突然目の前で割れたものもあった。

午後からはハワイのバルーンアーチスト、ロッキー・トゥミーさん (CBA) によるバルーンによるエキサイティングな特殊効果セミナーだ。彼はバルーン業界に20年に渡って活躍しているが、そのうち実に19年は風船のエキサイティングな割り方の研究に尽くしてきたそうだ。各種エクスプローダ (風船割り機) の開発を行っており、アメリカで行われる世界最大のバルーンコンベンションIBAC (International Balloon Arts Convention:今年は3月にラスベガスで開催、日本人も優秀な成績を残した) で14年に渡りプロデュースを手掛けてきた特殊効果のスペシャリストだ。
そんなロッキーさんによる風船の割り方は、まさにダイナミックだ。手製の道具による簡単な方法から、ガスを使ったもの、電気を使ったもの、様々な方法で会場あちこちに仕掛けられた大風船が炸裂する。また風船の中に紙吹雪やリボンをうまく入れる方法などもお話され、風船で効果的な演出を作り出すノウハウをお教えいただいた。

3日目 (8.24)
今日は前出のロッキーさんによる特殊効果を実際に制作するワークショップバルーンによる特殊効果からだ。このコースは3時間と時間もたっぷり取られており、今回のJBANワークショップの目玉だったらしく、早いうちに定員に達してしまったようだ。私が申し込んだ時点では既に満員で、キャンセルが出たことにより辛うじて滑り込むことができた。
各テーブルに用意されていた大小の風船、エクスプローダ、紙吹雪などを使ってファイナルパーティーに使う巨大仕掛け風船を作る。まず小さな16インチの風船、続いて3フィートの透明を使って練習した後、本番に入る。
実際に仕掛けに使うのは緑の5フィートだ。中に9インチの風船をインサイドする。大きな風船の吹き口から小さな風船を入れてガンタイプのインフレータでふくらますわけだが、中身が全く見えないだけに勘に頼るしかない。
各チームとも順調に作業が進み、多くの仕掛け風船が完成した。後はファイナルパーティーで成功することを祈るのみだ。

午後は無料のテクニカルセミナーに受講した。講師は宝興産世田谷営業所の中村明所長。マイラー風船の素材やバルブなどの開発に取り組み、多くの特許を持つ方だ。難しい知識も出てきたが、ユーモラスな語り口の中には様々な知識が詰め込まれており、大変勉強になった。

さて、JBANの最後を飾るのはファイナルパーティーだ。昨年まではバルーンバッシュという言い方をしたが、今年はなぜかそう言わない。会場はオブジェコンテストが展示してあった3階の大宴会場だ。間もなく会場の18時だ。早速向かってみよう。
ロビーには昨日作った「2000」のオブジェが飾られている。またアレンジメントコンテストの作品もこちらに来ている。投票は終了したので、今度は名前入りだ。
周囲ではジャングルにふさわしいコスチュームに着替えた参加者が開場を待っている。私も今回はアウトドア向けの軽い服装だ。受け付けが開いた。いよいよ未開のジャングルへと踏み込むぞ。
入口には風船で作られたカーテンが。まさにジャングル。席に着くと、ステージの前には巨大な風船が。今回はオープニングからダイナミックな演出と聞いていたが、噂通りになりそうだ。カクテルパーティーが始まる。酒が駄目な私はウーロン茶に徹する。
さあオープニングだ。目の前で物凄い演出があり、ステージが姿を現した。総合司会を勤めるのは特別協賛になっているウィンズバルーンの加原かつひこさん (CBA) だ。ジャングルらしく探検隊スタイルでのご登場だ。それに日テレの女性アナがアシスタントを担当する。
エミリーズバルーンの深尾マリ子社長から挨拶、続いて講師の紹介があり、ステージ上に揃った講師の皆さんと一緒に乾杯となった。
ランチタイムの後、コンテスト審査発表だ。入賞者にはスポンサーから賞品が贈られる。さらに今回は副賞が凄い。各部門の優勝者には、何と来年シカゴで行われるIBACの出場権が与えられ、往復の航空券と滞在中のホテル代までプレゼントされるという。優勝なされた皆さん、IBACではぜひ頑張ってきてください。
続いてJBAN名物、自由参加のコスチュームコンテストだ。「ジャングルコスチューム」「セクシーコスチューム」「おかしなコスチューム」の3部門に分かれており、ルールは単純明解、一番拍手の多かった人が優勝というものだ。「おかしなコスチューム」コンテストの途中でゲストのダンサーの方が加わる。お名前は忘れたが、新宿コマ劇場でピーターパンに出演されている方とのこと。彼と一緒にモーニング娘。の「LOVEマシーン」(私はモー娘は全く疎い) に合わせて踊ってもらう。
そして次の瞬間、劇的なことが起こることになる。
クライマックスだ。ダンサーの合図でステージ上と天井に仕掛けられた大風船が割れ、会場のボルテージも一気に上昇した。と同時に、自分たちで作った仕掛けがうまく作動してほっとした。最も割れなかった物もいくつかあったようだが。
さらに巨大風船がステージに放り込まれ投げ合いになった。このうちいくつかはワークショップで練習に使った余りだ。私も大風船をいくつも投げたり割ったりしたものだ。

加原さんが再びステージに現れ、ダンスタイムは比較的短時間で終了する。会場ではもう終わりなのかという声もあった。コスチュームコンテストに時間が掛かったため、その分ダンスタイムが削られてしまったのだ。終了の挨拶と共に、早くも会場では撤収が始まる。
ジャングルがたちまちのうちに慌ただしい撤収の雰囲気になってしまい、場内の風船が次々と割られていくのはいつ見ても痛ましい光景だ。

そんなわけで、今年も盛大に終わった4th JBAN conventionだった。素晴らしいイベントを企画してくださるエミリーズバルーンの皆さんに感謝したいと思う。