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   尺八の作り方


まえがき(重要:よく読んでください)

     何故尺八を作ろうと思いますか?
   それは竹はどこにでもみられるので、簡単に出来ると思うのです。

  

尺八製作は全て手作業で行います。(中には機械で作る工房もある)
竹の太さ・肉厚の違うことにより内径を同じに作っても音色は違います.(若干誤差があるが)
故に調律も難しいのです。
従ってそっくり同じものを作ることは竹製では絶対に出来ません。
製作においては、ど根性とあくなき執念が必要です。また何本も失敗を繰り返しながら作って経験を踏まないと良いものは出来ません。
一発で簡単に作ろうなんて了見は起こさないことです。一発で出来たら神様です。(まぐれもありますが)
急いで作らないこと、このページの通り手順を踏んで慎重に製作されることをお勧めいたします。
詳細のつくり方は拙書またはCD版「尺八を作ろう」をご購入されてご覧ください。
尺八の値段が高いということも実感することでしょう
良い尺八を作るには、音を聞き分ける力と吹奏力が必要です。尺八の吹けない人、初心者には絶対作れないと言っても過言ではない
 
尺八は見た目には簡単に作れそうに思い、作りたくなるのですがとても難しいものです。
修行中(お稽古中)の方は絶対止めたほうがいいでしょう、何故かと言うと尺八作りに夢中になり稽古が疎かになってしまうからです。それほど奥が深いものです。

    尺八作りを甘く見てはいけません、甘くみれば間違いなく時間の浪費になるでしょう。



尺八には大体次の3種類がある。

1 地入り尺八(地盛尺八)
竹の全体に下地を入れ、内部を滑らかに作り上げあらゆる楽器とも演奏可能なように仕上げた尺八、所謂、調律管である、現在はこれが主流で尺八を吹く人は殆どが使用している。
2 地無し尺八
下地を入れず竹の節を抜いただけの尺八、音程的にはアンバランスで楽器とは言えない。しかし古典を好む人にはこれでなくては駄目という人が多い。良く鳴るように仕上げるには竹材と製作者の腕に左右される。下手な人が吹くと聞くに堪えられない。 
3 半地無し尺八
地盛と地無しの折衷管、全管的には下地は入っていないが要所(節の凹み)には地を入れて整形した尺八。地無し尺八の殆どがこの部類に入る。

 最近では1の地盛尺八が主流、これは音を作るまで何度も削ったり落としたり出来、且つ正律に近い音が作れる。又他楽器との合奏も可能である。
本作り方ではこの地盛尺八について述べます。

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製作の工程(地盛管)は大体下記の順のとおり。
   @ 竹材の仕入れ(購入又は掘る) : 自分で掘っても物になるのは殆どない、買った方が安上がり。
   A 採寸・切断      
      :  目的の尺八の長さに整えるが、寸法を間違えないように切断する。
   B 節抜き・節落し・管尻穴開け   : クリ小刀、ガリ棒、鋼棒で節を抜く。
   C 切り口の割れ止め         : 継ぎ口に溝を掘って、絞め糸等で切り口を補強する。
   D リング填め(やらなくても良い)  :  飾り用のステンレスリングを割れ止めも兼ねて叩き込む。
   E ホゾ入れ・地止めリング挿入   :  継ぎ用の竹を継ぎ口に嵌めこむ漆塗り分の余裕をもたす。
   
F 下地入れ・乾燥           : 管内の凸凹を無くすため下地を入れて金管楽器のようにするため地を入れる。
   
G 管内削り               : 地を綺麗に均す。
   
H 内部精細仕上げ          : 管内をゲージを使って滑らかに仕上げる。
   I 下地生漆塗り            : 下地漆を塗る。
   J 手穴明け               : 尺八の正面を決め、唄口から管尻に中心船を引いて手穴を開ける。
   K 調律                 : 管内の凹凸を埋めて、何回も塗っては削るの繰り返し、設計内径に仕上げる。
   L 漆仕上げ              : 調律して良く鳴れば仕上げ塗りをするが、一度に厚く塗ると音が変わってしまうので薄く塗る。
   M 外作り                : 根コブを削り 5,6,7節を綺麗に削り落として磨く。
   N 籐巻き                : 中継ぎ箇所に籐を巻く。
   O 完成
    一番重要なのはFGHを数回繰り返す。これで尺八の出来は決まる

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MENU

製作道具 竹堀
根落とし 品定め
油ぬき 節ぬき
中継ぎ 手孔あけ
唄口入れ 地塗り
中研ぎ 調律
塗色 仕上げ






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シャベル オノ ノコギリ 麻 袋  雑 巾 ドライーバー
節抜き棒 鬼目ヤスリ クリ小刀 リーマ ハイビット 細工小刀
マスキングテープ 糸 鋸 木工ヤスリ 精密ヤスリ カシュー塗料 カシュー薄め液
新うるし カシューの下地 竹ヘラ との粉 金ブラシ 着色との粉
木工ボンド 瞬間接着剤 万能接着剤 小型万力 電気ドリル グラインダー
リューター 彫刻刀 ノギス  ケガキ ボール盤 ステンレスバンド
唄口材 ステンレスリング 内径ゲージ 作業箱  パイプカッター
 漆  片脳油  テレピン油  洗い油  石油  角度定規


まず竹探しから始めなければなりません。自分で竹を掘り出す元気のない御方は東京の目白に株式会社「目白」(旧目白工具)というお店があります。(LINKページ参照)
お店には沢山の竹材が置いてありますから好きな竹を選ぶことが出来ます。(チョット高いけれど、
自分で掘るより確かである。労力・足代を考えたらこちらが無難:
竹堀は時間ばかりかかって物になるのはなかなか採れないでしょう

自分で最初から全部作りたい方は、竹(マダケ)藪探しに行かなければなりません。近頃は竹藪もメッキリ少なくなり遠くの山へ探しに行かなければ見つかりません。

山の中に入るのは秋から冬(11月〜2月)が良いと言われています、この時期は竹の中の水分が下りているからだと言うのですが。?
寒いのはいやだから暖かい季節に採りたい方は、夏だけはやめておいたほうが良いと思います。
どうしても夏に竹藪に入りたいときは帽子、長靴、手袋、長袖シャツ、タオル覆面で完全武装をしなければ藪蚊にやられます。竹藪から出てきたときには人相が変わっていますし。下着は竹藪の蒸し暑さで汗でビショビショ、グッタリすること間違いなしです。(経験しました)
またスズメ蜂の巣があるかも知れないので、注意が必要です。
これにやられると死の恐怖にさらされます。

竹の掘り出しは体力がいりますから欲張って何本も掘らないことです。竹藪の外へ持ち出すのに苦労しますから(やってみれば判ります)、竹の太さと節間隔の寸法を計ってから慎重に2〜3本位掘り出すことをお勧めします。
道具も整理して1箇所に置いておかないと紛失したら見つけるまでたいへんです。

山には持ち主がいますからキチンと断ってから入って下さい。寸志位は持っていきましょう。黙って掘って持っていくのはドロボー(窃盗罪)です


               
【用具:長靴、シャベル、斧、ノミ、鋸、軍手、新聞紙、帽子、タオル、長袖シャツ】

うっそうとした竹薮より、いくらか隙間のある竹薮で地表に根が見えているのに良いのがある。
深く掘らないと根が見えてこないのはやめたほうが無難である。

前もって節間隔を印したゲージを作って持って行き、それを竹にあてがえば早く見つけることが出来ますが、ピッタリ合う竹は皆無といってもいいでしょう。
竹の太さは概ね直径35〜36mm、円周で110〜115mm位の竹が一番作りやすく、調律もしやすいでしょう
この太さは長さによって変える必要があります。たとえば1尺6寸以下の尺八に37mm位の竹を使った場合、外径と内径の差が大きくなり調律が難しくなるということです。
当然長管は太くなります。

地表に見えている節は大体4節目(完成尺八の4節目)になるのでここを基準に節間隔を測れば目的の竹を探し出せます。
竹は地表に出ている部分よりも地下に30cm位掘らないと姿(形)はわかりません。(地質にもよります。)
よかろうと思う竹が見つかったら、まずシャベルで竹の周りを掘って根回しをします。20〜30cmも掘ると根っこが露出します、そこで竹を軽く前後左右に揺するとある方向には竹が動きません、この方向に地下茎が伸びているのです。
掘り方には人により様々です。ノミや牛蒡を掘る道具・手斧などが使われます。様々な地質があるのでそれに応じた道具を使えば良いと思いますが、一人で全部持ち込むのも大変です。

竹の必要部分を多め(1mくらい)に残して上部の不要な部分を切り落とします。(このときいきなり切ると上の葉の重みでバリバリと縦に裂けて、それで終わりとなりますので、回しながら切っていくか、誰かに上部を押さえて貰ったほうが良い。)
シャベルで掘っていくとガツンと手応えがあります。これが地下茎です。
次に探りあてた地下茎を手斧又は鋸などで切断します、さらに周りの根を切ると竹は前より軽く動くようになります。
鋸で根っこを切ると、土と小石も混ざっているので鋸は使えなくなりますからノミか斧が良い。
竹が前後左右に大きく動くようになれば大丈夫、竹をつかんでグイと引っ張ると全体が簡単にスポット抜けます。(中々抜けない竹には良いものは無い
うまく抜けない時はさらに竹を横に寝かせるほど倒しグルグル回せば抜けるでしょう。
地下茎を切る前にあまり竹を強く揺すると管尻となる部分にヒビが入り、せっかく掘った苦労が水の泡となりますから注意を要します。
不要で切り落とした竹は竹藪の外へ片づけておきましょう。
抜き取った穴も埋めておきましょう、後で誰かが足をくじかないように。



【用具:ドライバー、木バサミ、雑巾】
切り出した竹は長さは約1m位になると思います。
根っ子に泥や石がつまっているのでかなり重いはずです。
車に積んで帰る途中に川等があれば、川で根っこに詰まった泥をドライバー等で丁寧にほじくり泥を落とします。
竹堀は大体冬なのでこれが一番堪える、川は寒く水は冷たいのです。
思わず竹を持って石畳に叩きたくなってしまいます。
絶対に石畳等に叩いてはいけません、根がつぶれ管尻が割れてしまいます。
毛根等は木バサミで丁寧に切り落としてから根の間につまった泥を洗い落とします。
洗っているうちにだんだんと管尻部が露わになってきます。このへんで喜ぶか落胆するかのどちらかに分かれるところです。 (写真は掘り出して根っこを洗い落としたところです。泥が付いてるのでかなり重いです。)

なかなか良い竹は取れないことを実感することでしょう。

 

【用具:ビニールテープ、スケール、パイプカッター、竹鋸(糸鋸)】
家に持ち帰ったら再度、節の間隔具合と手穴の位置を考え、全体的に何寸の尺八に使えるかを決めます。
尺八は全体で7節で1孔から管尻の間には4節あるのが標準で形状的に美しい。
7節じゃなくても良いのです、6節でも8節でも結構。自分が使うのですから。
全体で7節で、ピッタリ寸法の合う竹はなかなか見つかりませんので、3孔と4孔間を調整して切断し、一つ上の節を調整して目的の寸法にします。
下図のように7節目が予定の寸法より短い又は長い場合、6節目の部分を切り詰めます、8節目を7節として寸法を取り、管尻からも中継ぎ部分までを計測して切断して、目的の長さとします。

上管と下管の寸法が決定したら竹鋸で切断します。切断部分にビニールテープ等をあらかじめ巻き付けておくと表皮がめくれるのを防ぐことができます。
切断は竹鋸(糸鋸)を使用しますが、まっすぐに切れないので市販のパイプカッターであらかじめ切り目をつけておけば曲がることはありません。
又は紙を2つ折りにして竹に巻き鉛筆でグルリと印をし、糸鋸で切り込みを入れてから切断すれば垂直に切断できます。
この切断は後で上下管を合わせるとき重要なので丁寧にきれいに切断する必要があります。
切断は油抜き後、乾燥してからおこないます。間違えないように。

【用具:ガスコンロ(石油ストーブ等) 、タオル】
竹には水分と油性分を含んでいます。水分は蒸発しますが油性分は残るのでこれを除去しなくてはなりません。
この油性部分を除くため、油抜きという作業を行います。

(1)  釜ゆでにする方法 蒸かし器か又は釜に水を入れてゆでる、筍をゆでているのと同じで良い匂いがするので食べたくなってしまいます。竹の緑色が消えたら釜から取り出します。この方法はてっとり早いが竹材が弱くなる。

(2)  火であぶる方法 直接火であぶるがあまり近づけると焦げるので注意を要する。あぶっていくと竹の色が緑から白色に変色していき、また竹から油がジュクジュクと出てくるので布で拭き取りながら満遍なくあぶる。

通常は火であぶる方法で行います。

乾燥は太陽に直接当てる、次の日は反対側というふうに青みを完全に抜きます。その後陰干しで行い風通しのよい軒下等に縄でぶら下げておく。
完全に竹の色が消えるまで乾燥させる、普通1〜2年は寝かせるが待ってられない人は一度作ってから又作り直す手もあるが、あまりお進めできない。でも早く作りたい・・・。
変なふうに曲がった竹は撓め直しをして直します。
車に備え付けのジャッキを使ってやる方法もある。下左の写真の様に竹の両端を固定して矯める個所に車のジャッキを使って押し上げます。
矯正したいところを焦げないように炙り、熱いうちに矯正器にセットして真っ直ぐになるように絞り上げ濡れ雑巾を患部にあてがい冷めるまで放っておく。
簡単なようで難しい、矯めなおししなければならないような竹は私は使いません。。

      


【(用具:節抜棒、金槌、ペンチ、クリ小刀、ハイビット、電気ドリル、丸棒ヤスリ、ガリ棒】

鋼製の棒を尖らせた物(太さ1cm位)で節を抜く、鉄鋼所に行けば簡単に作ってもらえると思います(鉄筋をグラインダーで尖らせても使える)。又鋼棒の先を平らに叩きヘラ状にしてヤキを入れた物も一緒に作ってもらうと後で地塗りの時にも役に立ちます。

  

節抜棒を節の中央部にあてがい金槌で叩いて節を抜きますが、喰いついて抜けないときがあります。このときはペンチ(プライヤー)ではさみ、まわしながら抜きます。
先の平らな金棒で節を落としガリ棒でさらにきれいに落とします。

管尻部は節が混んでいるので節抜きでは無理です、電気ドリル又はハイビット(ホルソー見たいな物=写真)で管尻からハンドルを回しながら節を抜いていきます。
全て抜けたらクリ小刀でえぐりながら管尻を広げていき、丸棒ヤスリで節を削り落とします。
ゴロ節付近(1尺8寸の場合1孔下付近)はあまり落とさない。管尻から小指(人により太さが違うから何とも言えないが)を入れて指の根元まで入れば大体良いでしょう。



ハイビットで穴をあけるのはとても手が疲れる。
回転バイスに竹を固定して、電気ドリルで一発で開ける。(竹に傷がつかないように補助木を取り付けること)


【用具:卦引き、彫刻刀、ホゾ、半丸ヤスリ、平ヤスリ、紙ヤスリ、木工ボンド、中継飾り、ステンレスリング、木槌】
切断した面を平ヤスリで平らに均す、中継ぎ部には籐で巻いたり、リングを填めたり桜の皮を巻いたりいろいろ各人の好みがあります。
籐は竹細工店に行くと実費で分けてくれます。リングを填めるときは竹の表皮を削りますが、この時もケガキを使い小刀で丁寧に削り取り、平ヤスリで均しながらリングを木槌で叩き込む位に削ります。リングをたたき込む位で填めれば後で竹が割れることがない。(リングは目白に各種おいてある)
ただリングを填めただけでは尺八の抜き差しが多い箇所だけに割れが生じます。大体は上管がここから割れます。
割れ防止のためリングを填める前に割れ止め処置をします。
下写真のように溝を掘り締め糸を固く巻き付けます。
締め糸は長年使っているとボロボロになって用をなさなくなります、私は0.55mmのステンレス針金を巻きます。
(ステンレス針金の始端は針金が入るくらいの穴を開けてそこに差し込み、力を込めて巻いていきます。終端はハンダ揚げにして止め、針金を切って全体をハンダ揚げします。針金を巻くときは針金の終わり部分をフックなどに引っ掛けておけば強く巻けます。)

中継ぎ用ホゾ竹(内径17〜18mm・長さ36mm表皮は紙ヤすりで削り落とし真円に作る)を差し込むためケガキを17mmに合わせ継ぎ部内側を深くケガク。ケガイた中継ぎ部分を彫刻刀を使ってくりぬく、上管も同様にクリ抜くが上管側には別にホゾと同じ太さのものを3mm程切った地止リングを奥に埋め込んでおくと地塗りのとき上手に仕上がる。上下管ともピッタリ合うように出来たら下管部のホゾを木工用ボンドで固定する。

(詳細)



上管のホゾを受ける溝は彫刻刀の削り跡が残っているのでリューターを使って均します。
中継ぎをピッタリ作るのはかなり高度の技術がいると思います。隙間はコーキング材(ホームセンターで混合式のもの)を買ってきて埋めるのも一方策です。
ここでユルユルは後の調律に影響しますから、先に漆又はカシュー(黒)を塗って乾かし息漏れのないように作っておく必要があります。

【用具:マスキングテープ、電気ドリル、手穴用刃、繰り小刀、半丸ヤスリ】
竹全体を眺めて正面を決める、正面が決まったら定規(マスキングテープ)を使って中心線を出し、(墨ツボがあれば真っ直ぐな中心線が出せる)。
手穴位置を印してから電気ドリルを使って手穴を開けるが、手穴位置は間違いがないか何度も見直すこと。
結構間違えて開けてしまうことがあります。私は何度もやりました。間違えて開けると製品価値はなくなるわけですから痛い、くれぐれも間違えのないように。
普通の錐では竹の表皮がめくれてしまうので手穴用錐を使用すること(目白においてある)、手穴用錐が無い場合は三ツ目錐を使用して小穴を開けてから、クリ小刀で少しずつ大きくしていく。
クリ小刀で穴を大きくしていく時は竹の繊維と順方向に削ると小刀が喰ってしまうので繊維の逆から削ること。第3孔(チ)は高くなるのでやや管尻寄りに小さめに開ける。
手穴あけにはドリルスタンドを使ってえば上手く開けられます。ドリルスタンドは4・5千円で買えます。
少しお金を出せばボール盤が買えます、こちらのほうがしっかりしていて作業も早い。ネットで2万円位で買えます。(推奨)

             

          上の写真左はドリルスタンド、右はボール盤


【用具:彫刻刀、細工用ヤスリ、歌口材、アロンアルファー、木工ヤスリ、三角定規、鉛筆】
  

手順
  1. 唄口補強剤をバチ形又は半月形に削る。
  2. 唄口部を鋸(糸鋸)、小型カンナ又は木工ヤスリで25度〜30度位に削り落とす。
  3. 唄口を填め込む部分を三角定規(30°)又は硬貨を使って鉛筆で形(バチ形・半月形)を書き込む。
  4. 彫刻刀又は細工用小刀で斜め下に切り落とす。(又は垂直に掘る)
  5. 1で作った角をピッタリに填るように形を整えながら削る。
  6. ピッタリ填まることを確認したら、木工ボンドを付けて埋める。
  7. 外側にはみ出た角と、内側にはみ出た角をヤスリで削り落とす。
  1  斜めに入れる方法

  丁寧にやらないと唄口エッジを破損する恐れがある。


  2 垂直に入れる方法



【用具:竹ベラ、カシューの下地、砥の粉、地の粉、木工充填ボンド等下地材】
地を塗る前にガリ棒で節を完全に落とします。

下地は製管師によって様々です。一般的には地の粉・砥の粉・漆・カシュー下地・石膏等が使われますがどれをどの割合で混ぜるかは皆さん違います。
ここでは漆を使わずカシュー塗料で仕上げる方法を述べます。
カシューの2号下地と砥の粉をスプーン(大匙)で湯飲み茶碗などにやや同量(砥の粉を少なめ)入れてかき混ぜます。
あまり硬いと乗らないしベトベトでは扱いにくい、練り加減はなれるしかありませんが。
2号下地のままでも良いがかなり塗りにくい。
出来た下地を竹ヘラにのせて管内に塗り込みます。
ここは根気がいる作業で一番面倒なところです。しかし尺八が上手く出来るか否かは下地入れの出来具合で決まります。

一遍に塗り込むのは難しいので少しづつ丁寧に地を落とし込みます。
下地が多く入る場合は2〜3回に分けて入れます。いきなり厚く塗ると乾きませんし後で肉痩せして音が狂います。
落としたところは別の竹ヘラで均すとピカピカになります。
これを全体に滑らかに塗り込んでいきます。この出来具合が後で影響してきますので綺麗に仕上げておきます。
カシューとの混ぜ具合が上手く出来ない方は、日曜大工店に行くと木工用充填ボンド等の充填材があります。(1本400円位)これを竹ヘラにのせて管内に塗ります。
石膏でやる方法もあります、型棒を作っておき石膏を流し込むのですが上手くやらないと型棒が抜けなくなって全部オシャカになるおそれがあります。

1尺8寸の場合唄口付近から中央部まで(20mm)、中継ぎ部(17.5mm)、ゴロ節(15mm)、管尻(18mm)を目安に塗り込みます。丁寧に滑らかになるまで何遍も塗ります。内径をはかるゲージがない場合は、1円玉が丁度20mmです、1円玉に穴を開けて竹ヒゴで固定すれば立派なゲージになりますが。貨幣なんとか法に違反するので私は知りませんよ。衣類のボタンにもいろいろな寸法のがありますから、ノギスで計って同じように作ればゲージになります。

塗り終わりましたら一度乾かし、管尻部に鏡を置くか明るい方に管尻を向けて覗くと凹凸がよく見えますので、再度凸凹を下地で埋めます。

ここは本当に根気のいる仕事です。下地入れが終わればもう9割は出来たようなものです。

【用具:研磨棒、削りコマ、内径探索ゲージ、紙ヤスリ、布ヤスリ、水ペーパーヤスリ】
下地が入って乾けばいよいよ整形に入ります。
削りコマで目的の尺八内径に合わせて削っていきます。

コマに布ヤスリを張り付け、ノギスで外形を測ります。
尺八内径表に合わせて、コマを目標の深さまでハンドルを回しながら入れます。
ハンドルにメジャーを貼り付けておけば一目瞭然。
この作業を全体に行います。

全て終了してもコマのヤスリの減り具合で内径はピタリとは合っていません。
次に詳細な内径合わせを行います。


内径ゲージを尺八内径表(これは公開しておりません、私の本又はCDに掲載してあります)に従って、管内に挿入します。
広ければ深く入ります、狭ければ手前で止まります。
止まったところでゲージを引き抜き、管内を除くとゲージの跡が光って見えます。
ここを削れば真円の内径が出来るのです。
コマでは大まかな内径を作るだけです。しかしうまくいくとこれだけでも充分に鳴ることがあります。

竹刀の不用となった物(幅1cm位長さ40cm:)の先に同じ物(5〜10cm)を万能接着剤で張り付けこれに布ヤスリまたは紙ヤスリを張り付け(下図)、管内を全て合わせながら削ります。
竹刀は腰が強いので良いが入手しにくい、竹の肉圧を使うと良い。


良く削りカスを拭き落としてからカシュー(漆)を薄め液で混ぜながら平筆で塗る。

乾くと新たに凸凹が見えるので、又下地(木工用充填ボンド等)をヘラに付けて埋める、乾いたら削り又カシューを塗る。これを何度も繰り返します。

何回か繰り返すと管の内側がツルツルになりますので、管を真っ直ぐに覗いたり斜にしたりするとより凹凸が見えますので、凹のところは補充し凸のところは削り落とします。上下管をつなぐともっとよくわかります。

完全に乾いたらいよいよ吹いてみます、ここですぐボーボー鳴ったらたいしたもので大体は鳴らないでしょう。
私の作成したグラフとおりに管内を作り上げかつ凹凸が無ければ、何もしないで鳴る筈です。
若干の音程の上下は手穴で調整できます。

(鳴らない一番の原因は継ぎ部から息がもれるのです。この場合継ぎ部にビニールテープを2−3巻きして吹いてみます、ここで乙ロが鳴ればほぼ完成。)

ここで管内を良く観察(尺八を明るい方に向けて覗く)し管内に凸凹がないか良く調べます。凹んでいる部分には地を少し塗り乾燥したら、前記管内研ぎ棒に紙ヤスリを張り付けて均します。
凸部は削り均します。ヤスリ屑を露きりで払い、吹いてみます。
漆(カシュー)を又塗り、1日位おいて乾いたら再度凹凸部分を調べ繰り返します。手穴の下地や余計なはみ出た地をクリ小刀で取り除きます。
調律はチューナを使い、コンサートピッチの442kHzに合わせます。気温により高さが変動するので冬場は部屋を暖めて調律する必要があります。
逆に夏は音程が上がるのでピッチを高めに設定しなければなりません。

調律においては尺八の太さや地の盛り具合によりここを加減すれば直るという決まったポイントはありません。
                 

調律は各製管師が長年思考錯誤で身につけた証です。
これを簡単に公開はしないでしょう、また公開してもこれがすべてに共通するものではありません。
これから尺八を作ろうとする方達は安易な方法を求めるでしょう、しかしこの調律だけは本当にここですということは言えないのです。
あくまでも大体なのです。
アッチコッチ弄っているうちに鳴りだしたなんということがかなりあります。
ここが経験なのです。

尺八を作ったことがある方ならお解りと思います、ただ一つ言えることは管内は綺麗に仕上げ凹凸が無ければ大体鳴ります。
勿論管内径が規則正しく出来ていないといけませんが。

【用具:カシュー塗料、カシュー薄め液、平筆、お皿】
塗色はカシュー又は漆を使います。
カシューは漆と同じ様に植物から採取したもので別名西洋漆とも呼ばれています。
漆のように濾す手間が無くムロも必要なく皮膜も強いので多く使用されています。
最近では漆かぶれに弱い人向きに新うるしが販売されています。
つり道具屋へ行くとチューブに入ったものを売っていますのでそれを使用したほうが良いとおもいます。
これでも時には漆カブレがおきるそうですが。

カシューを塗ってから、研いだり塗ったりを繰り返します。
この技法は昔ヘラウキを作っていたときに覚えたやりかたでカシューならば惜しげもなく削れるからなのです。
カシュー塗料は日曜大工センター等へ行けば売っています。これとカシューの薄め液を使い適当に薄めてハケで塗ります。
ハケは絵の具筆を使い丁寧に薄く塗ります。
どんな塗料も暑く塗ってはいけません、適当に薄めて伸ばすように塗ります。
絵の具筆はそのままでは塗りにくいので穂持ち部分をペンチ等で曲げれば塗りやすくなります。
調律が済んだら仕上げに新ウルシを塗ります。
カシューでもウルシでも塗るときは決して厚く塗らないことです。
薄く塗り様子を見ながら又薄く塗るのです。

あまり何遍も塗ると内径が変わり乾いた後で吹いてみると変わっている場合があります。
一度塗ったら完全に乾いてから吹き、音を確かめながら又薄く塗っていきます。

「漆」
 漆には曲物入りとチューブ入りがあります。尺八の様に大量に使用しない場合はチューブ入りで充分。
用意するものは漆・薄め液(片脳油)・小皿・吉野紙・ムロ・水ペーパーヤスリ等が必要。
蝋色漆:これは黒で何も混ぜないのでこのまま使います。管内に塗るときは薄め液で薄めたほうが塗りやすい。
朱合漆:このままでも塗れますが、好みの顔料と良く混ぜてから吉野紙で漉して使います。
吉野紙で漉さないと小さなツブツブが残ります。

顔料は本朱・朱などありますが自分で塗って仕上がり色を確認したほうが良い。(チューブ入りも売っています)
漆は気温20〜25度、湿度80%くらいが良く乾く性質を持っています。高温・低湿では乾きません。

本格派は漆風呂を使いますが、簡単な方法としては発泡スチロールの箱(長さ50cm、幅30cm、高さ15cm位)の中に桟を置き、その中に軽く絞った雑巾を入れ、漆を塗った尺八を桟の上において蓋をします。
1日も経てば完全に乾いてしまいます。
念のために温湿度計位は買いましょう。

手っ取り早い方法は風呂を利用するのが良い。蓋の上に置くか、翌朝ならば湯船の中に吊るして蓋をすればすぐに乾いてしまいます。
ただ、水滴がたまったりするので曇ることがあります又湯船の中に尺八を落とさないように。
これは漆の匂いも少し残るので家族の協力が要ります、そんなに臭くはないですが。

注意することは、漆をあまり薄めすぎないこと・温度が高すぎないこと・温度が低すぎないこと・湿度が低すぎないことです。
厚く塗ると乾いたときにシワになるので薄め加減は1:0.5くらいが良い。


このほかに木工用として和信漆というのがホームセンターにおいてあります。
価格の順序は安いほうからカシュー・和信漆・本漆で一概にどれと言うことは出来ない、いずれも仕上がりは同じです。
やりやすい塗料を使ってやるのも方策です。
昔は漆しか無かったが今では数多くの塗料が出ています。頭の使いようです。

管内に凹凸がなくなれば漆を薄く塗っておしまいです。
乾いたと思っても急いで吹かないこと丸1日おいてください。
ホゾも黒色漆で仕上げます。唄口は砥石で研ぎますと綺麗に仕上がります。
竹の外側の汚れはシンナー系の揮発油で拭き取ります。

下から三節目は根をきれいに落としてしまうのが見た目には良い。サンダーで削り落としたあとドリルに回転砥石を付けて研磨する(60#→120#→240#→バフ)。最後は瀬戸物の湯飲みの糸じり等でゴシゴシこすると光沢がでてきます
釣り道具屋へ行くとフィシングロッドオイル(260円)がありますから、これを買ってきて布に少しつけて尺八を磨くと綺麗な光沢がでてきます。
拭いた布切れは捨てないで手元に置いておき常に尺八を拭くようにします。

最近は拭き漆で仕上げるようです。竹の3節目から上を綺麗に磨き上げ、生漆を塗って吹き漆専用紙で刷り込み、次に朱合い漆を刷り込みます。これを3〜4回繰り返すと綺麗な色に仕上がります。
専用紙の代わりにカンレイ紗でも大丈夫です、用は布埃等がつかないことです。




実地指導
尺八を作ってみたがうまく出来ない、又は”ここのところ”が判らないという方もある。「指導してもらえないか」という要望もあります。
そこでご希望の方には我が工房(家)に来ていただければ直接指導することにいたしました。但し、私の時間を割いて行う訳ですから無料という訳にはいきません。
私が永年培って会得した技術も提供するのですから技術料を頂きます。
ご希望の方は下のフォームメール(ペンをクリック)で。   





以上、思い付きながら製作方法を記述してきましたが、尺八作りは根気のいる作業です。諦めずに頑張って下さい。一番難しいのはやはり調律です。

ここまで全部読んだ貴方はエライ、貴方の頭の中は立派な製管師と同じになっています。後は腕次第です。
読んでしまえばこんなものかと思うでしょうが。この尺八の作りに方は秘密の部分が各製管師にはあるのです。そう簡単には教えませんよね、商売揚がったりになってしまいます。
一度試しに作ってみてください、難しいことが良くわかりますから。
ここのところが良く判っていない人が沢山いる。
さらに詳しく知りたい方は発売中のCD版をお買い求めください。

◎ ワンポイントアドバイス(その11)


    
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