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不思議な蟻塚山のお話 【No.96】 2006年08月16日

夕方、お使いに行こうと、家を出たのね。
そのとき門の前のコンクリートの上を、なにやら砂粒のような細かい青黒いつぶつぶが一面に覆っているのに気がついたの。
“これなに?”と一瞬、思ったんだけれど、“もしかすると?”と思って、見上げると、頭上の柿の青葉がボロボロと虫に食べられちゃっているのよー!
青黒いつぶつぶは、虫のフンだったわけ。
“いやー! これは大変!”と次の日、あわてて枝を切ったら、2センチぐらいの大きさの青い虫が30匹ぐらいつかまえられたの。
もー! 柿の木植えて、何十年もたつのに、こんなことは初めてよ。びっくりした!
今年は天候不順だったし、じめじめした日が多かったからみたいね。
そしてそのときは枝切りと虫の始末だけして、虫のフンのことはすっかり忘れて、ほったらかしにしていたのね。
次の日になって、ふと門の前を見たら、不思議なことにコンクリートの上がすっかりお掃除したようにきれいになっていて、そのかわり、5センチぐらいの変なかたまりが10ヶ所ぐらいにぽつぽつと点在しているの。
山状にこんもりと盛り上がっていて、中心には小さな窪みがあいているの。
“ん? ん? なにこれ?”と思ってよくよく見たら、犯人は蟻さんなのよ。
青虫の細かいフンを蟻さんが何ヶ所かに集めて、小山にしていたの。
だからそのときも小山の周りには、蟻さんがたくさん行ったり来たり。
ただのフンでも、蟻さんにとってはごちそうだったのね。
蟻塚山っていうところかしら。ほんとに感心しちゃったわ。
さらに次の日は急にカンカン照りの夏日になったのね。
そしたら柿の木に残っていた青虫がきっと強い日差しに耐えられなくなったのね。寿命だったのかしら、5匹ぐらいがコンクリートの上に落ちて、死んでいたの。
片付けなきゃ、と思って近づいて、よく見ると、なんと、びっくり!
またまた蟻さんたちが、せっせ、せっせ、とその青虫を運んでいるのよー! もー、ほんとに、ほんとに、感心しちゃった!
蟻さんたちにとっては、特別の大ごちそうなのよね!
さらに、さらに、次の日は打って変わって、雷が鳴って、断続的な大雨。
“あーあ! 蟻塚山もこれで流されちゃったわ! 可愛そうに”と思ってね、雨上がりに見にいったら、これまた仰天!
な、な、なんと、しっかり期待を裏切られたの!
蟻塚山はしっかりビクとも崩れもしないで、健在だったの。
もー! お見事、お見事! 蟻さん、あっぱれ!
こんなちっぽけな蟻さんにも、必死に生きる毎日があるんだなー、と教えられる出来事でした。
すごいぞ、蟻さん! がんばれー、蟻さん!
踏まないように気をつけるからね!

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