標高3000mのポップコーン

乗鞍岳でポップコーンが作れるだろうか


高い山では気圧が低いため水の沸点が下がってしまい、炊飯がうまく出来ないというのは有名な話です。もっとも、これはアルファ化米やら圧力鍋やらを使用することにより解決されていますね。ここでひとつ気になったのがポップコーンです。

以前から、アルミ箔の鍋と一体になった未調理ポップコーンが売られています。これはバター漬けになったポップコーンを、コンロであぶることにより高温にし爆裂させるというもので、普通につくると3分ほどでポンポン膨らみます。ここで、お米がうまく炊けないような気圧ならバターの温度も上がらず、ポップコーンも爆裂しないのではないかという懸念があります。

以前、白山室堂(標高2500m程度)では大成功だったという話があるのですが、私は御岳の大滝頂上付近(2800m程度)でやってうまく行かなかったことがあります。もっとも、この時は火力の少ないコンロで、しかも低温強風という悪条件だったため、はたして気圧のせいかどうかよくわかりませんでした。そこで、今回は標高3000m付近での爆裂を試みることにしました。

場所は、日本で一番手軽(?)な3000mともいうべき乗鞍岳剣が峰です。乗鞍スカイラインの終点畳平から1時間半ほどで到着します。この間の標高差は300mくらいですが、やはりこの高さとなると空気が薄いのが実感できます。なかなか足が前に出ないので、里山の300mを登るのとは訳が違い、2倍くらいの時間がかかる感じがします。


時期は6月ですが、稜線には雪がまだ沢山ありました。天候はうす曇りですが、高い雲で穂高や御岳も望めます。風も微風で、気温は10℃くらい。気圧は800hpと少しかな。ポップコーンをするにはまずまずの状態です。頂上付近の岩陰で準備開始です。

コンロは比較的高出力のものということで、イワタニプリムスのIP2243を利用しました。ガスは気温があまり高くないことから寒冷地用です。これで、普通の家庭用の都市ガスコンロなどよりよっぽど強い火力が得られるはずです。


さて、いよいよ点火して加熱開始です。ブツブツとバターの溶けてゆく音がしてきます。作り方の解説通りゆっくりと振っているとしばらくして、ポン・ポンと弾ける手応えがあります。でもなんか弾けかたが下界と違うなあ。弾けが悪いんですよ。


それでもしつこく振っているとだんだん膨れてきました。でも時間が異様にかかっています。まだまだ少しずつ、ポン・ポンと爆裂が続いています。焦げないように注意してなおも振り続けました。


10分以上加熱して、やっと膨れも大きくなり、爆裂の音もしなくなって来ました。なんとか出来たようです。アルミを破ってみると、とりあえず食えるものは出来ていました。多少焦げた部分はありますが、なんとか成功です。


今回の結論としてとりあえず、

ポップコーンは作成可能
ただし爆裂に時間がかかるようだ
ということがわかりました。爆裂しにくいのはやはりバターの沸点が下がるためか、あるいは気圧が低いことによるトウモロコシ内部の問題なのかはよくわかりません。
戻る