1.シャープがスマホのフラッグシップを見送り、モデルの選別は何をもたらすか(11.14 日経XTEC)
シャープは2025年10月31日に新製品発表会を実施し、スマートフォンのミドルクラス「AQUOS sense10」を発表した。だが2024年のこの時期に発表したフラッグシップモデル「AQUOS R9 pro」の後継モデルは見送った。
市場環境が厳しくなる中、国内メーカーはスマホを確実に売るためにモデルの選別を強めている。そのことは、消費者にどのような影響をもたらすのだろうか。
その性能を生かしてAI(人工知能)技術も活用している。音声通話時に事前に登録した自分の音声だけを相手に届け、騒がしい場所でもクリアな通話ができる「Vocalist」機能などを用意。ミドルクラスのユーザーにとって重要なポイントとなる、日常的なスマホの使い勝手を良くすることに注力している。
メーカー各社の技術の粋を詰め込んだフラッグシップモデルは、技術による独自性やブランドイメージの向上などにもつながる非常に重要な存在だ。しかし20万円近いスマホは大幅な値引きがない限り、日本の多くの消費者は購入できない。そのためビジネスの面ではメリットが大幅に減少している。
スマホ市場は世界的に縮小傾向にある。とりわけ日本では価格高騰と少子高齢化でその傾向が著しい。日本が事業の主体である小規模な国内メーカーは、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や中国の小米集団(シャオミ)といった海外大手企業のように幅広いラインアップを用意するのが難しくなっている。そのため、国内メーカーが生き残りのためにラインアップを絞り込む、あるいは投入時期が不定期の機種を増やす動きは、今後一層強まると考えられる。
2.AI導入で「客先常駐」が台頭、三菱UFJも活用するOpenAIのFDEとは(11.14 日経XTEC)
ITベンダーのエンジニアがユーザー企業の利用部門に入り込み、現場のニーズをくみ取った上で、個別のアプリケーションを開発する――。日本で言う「客先常駐型」のシステム開発モデルを、米OpenAI(オープンAI)など最先端のAI(人工知能)スタートアップが熱心に採用し始めている。「Forward Deployed Engineer(FDE)」という新職種が、AI導入の主役になりつつある。
「オープンAIが当社のために組織したスペシャリストチームと共に、新たなお客様向けサービスをつくる」。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のリテール・デジタル事業本部長兼グループCDTO(チーフ・デジタル・トランスフォーメーション・オフィサー)を務める山本忠司執行役常務は、2025年11月12日に開催した同社とオープンAIによる「戦略的なコラボレーション」に関する記者会見でこう語った。
MUFGの山本執行役常務は「オープンAIは単なるソリューションの提供だけでなく、サービスの実装に向けて併走してくれるのがありがたい。当社は最新のAI技術を、タイムリーかつ迅速に実装したい。オープンAIが併走してくれることによって、当社のサービスの中に、適切なAI技術を一番早く流し込める」と、オープンAIとの取り組みに対する期待を語る。
米国のAIスタートアップがFDEに力を入れているということは、実は米国においても、大企業におけるAI導入が決して容易ではないことを物語っている。AI導入を考える日本企業にとって、非常に参考になる動向だといえそうだ。
3.auが通信品質調査でまた圧勝、ソフトバンクが健闘 ドコモ変わらず(11.12 日経XTEC)
ネットワーク品質調査会社の英Opensignal(オープンシグナル)は、日本のモバイルネットワークにおけるユーザー体感を調査した最新リポート「Japan Mobile Network Experience Report October 2025」を公開した。調査期間は2025年7月11日〜10月8日までの90日間。NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンク、楽天モバイルを対象に年2回行われるこの調査では、今回もauが全18項目のうち9項目で単独首位を獲得した。前回4月版の調査(調査期間は2025年1月1日〜3月31日)から順位が入れ替わったものは2項目で、どちらもソフトバンクがauと並ぶか、auに代わって首位を獲得した。
auは今回、「ライブ動画」「ゲーム」「音声アプリ」「5G動画」「5Gライブ動画」「5Gゲーム」「5G音声アプリ」「一貫した品質」「信頼性」の9項目で単独首位を獲得した。前回4月版は単独首位だった「動画」については、ソフトバンクと分け合った。同じく前回auが単独首位だった「下り速度」については、今回ソフトバンクが単独首位を獲得した。ユーザーがモバイルネットワークに接続可能な時間を示す「利用率」は前回と同じくNTTドコモとauが同率首位となった。
なお、NTTドコモは「5Gカバレッジ」で単独首位を獲得しているにもかかわらず、「5G利用率」ではソフトバンクやauのスコアの半分にも届いていない。Opensignalは、2025年11月5日に開催された今回調査に関するオンライン会見で、この点について、3社が使用する周波数帯の違いや5Gスタンドアロン(SA)対応数の違いが関係しているとの見解を述べた。
4.「この部屋Wi-Fiありますか?」と不動産屋に聞くのは筋違いじゃない
(11.11 日経XTEC)
2025年8月頃、SNSで気になる投稿を見つけた。投稿主は不動産屋らしく、客に物件を紹介する際「この物件にWi-Fiはあるか」と聞かれたというもの。投稿主はインターネット接続に関する客の「理解不足」もしくは「筋違いさ」に、いらだちを覚えたようだ。賛否を示す返信が幾つもあり、表示回数は2300万件を超えて盛り上がっていた。
マンションのインターネット接続環境は、2種類に大別できる。「戸別契約型」と「全戸一括契約型(全戸一括型)」だ。戸別契約型はマンションの各部屋の居住者が直接ISP(Internet Service Provider)と契約し、インターネット接続サービスを利用するものだ。基本的にはISPから貸与されるルーターを室内に置き、パソコンやスマートフォンをつないでインターネットにアクセスする。
全戸一括型はマンションの管理組合などが、マンション内全戸分のインターネット接続サービスをISPと一括で契約する。個人で購入した無線ルーターをAP(Access Point)モードで使う場合などを除き、室内にルーターは設置しない。マンションのMDF(Main Distribution Frame)室内などに設置したルーターを経由し、インターネットにアクセスする。無線APが既設されていて、すぐにWi-Fiにつなげる物件もある。
5.NTT、衛星データのみで道路陥没の予兆検出 数年ごとの点検の見落とし防ぐ
(11.10 日経XTEC)
NTTは天候や昼夜を問わず観測できる合成開口レーダー(SAR)衛星の電波データを解析することで、道路陥没の予兆を検出する技術の実証に世界で初めて成功したと2025年11月7日に発表した。地表付近の空洞を衛星データのみで検出できるため、数年ごとに実施する現地調査に比べて高頻度で空洞の有無を把握できる。従来の地中レーダー探査車を使う方法と比べ、コストを約85%削減できる見込みだという。
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