1.Singtel、Ericsson・HPと法人PC向けに5Gサービス
(10.21 日経XTEC)
シンガポールSingtel(シングテル)は、スウェーデンEricsson(エリクソン)、米HPと連携した「5G+ Mobile Workspace」を発表した。HPの法人向けAI(人工知能)対応ノートPCを対象に、企業のポリシーに基づくデバイス管理が可能な環境を実現した。
高速データ転送やリアルタイムでの分析をサポートするネットワークスライスなどのネットワークサービスも提供する。マルウエアやフィッシングリンクなどの脅威がPCに到達する前に特定して無効化する「Enterprise Mobile Protect」、ネットワークAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使ってユーザーIDを瞬時に検証し、デジタル詐欺を防ぐ「SingVerify」といった保護機能も含まれる。
2.君たちは「ジョブ消滅」時代をどう生きるか
(11.6 日経XTEC)
「Jobpocalypse(ジョブポカリプス)」という造語が英米メディアで使われるようになった。「Apocalypse(アポカリプス)」は「この世の終わり」「大惨事」「滅亡」などと訳される。Jobpocalypseとは、アポカリプスにジョブ(仕事や職業)を合わせたもので、「ジョブ消滅」といった意味だ。AI(人工知能)などの技術の進展が極まれば、人間の仕事がなくなるという文脈で使われる。やや誇張されたおどろおどろしい言葉だが、仕事の変化への不安をうまくつかんでいる。
米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は2025年10月28日、約1万4000人の人員削減を発表した。米Microsoft(マイクロソフト)は同年7月、約9000人を削減するとした。組織再編や強化の一環としているが、見直しを促しているのはAIだ。米紙ニューヨーク・タイムズは2025年10月22日、米Meta(メタ)が膨張したAI関連部署の陣容を約600人削減し、開発をスピードアップすると報じた。
「AIがもたらす未来に不安を感じるか」という質問に、不安と期待の両方があるとした。ただ「AIには(物事を創出する)ゼロイチはできない。人間にはそれができる」(金子さん)。「(ビジネスを現地で経営する人を訪ね)ドバイに行ったことがある。違う世界を見てみたい」と意気込んだ。
成長への動機づけ喪失にはAIの影響も絡む。小林主席研究員が「スキルのだるま落とし」と呼ぶ状態が企業で進行しているという。従来業務タスクは基礎から応用に積み上げ型で移行していた。例えば新人社員が会議の議事録を取り、調べ物をして(基礎タスク)資料にまとめ(中間タスク)、顧客に提案する(準応用/応用タスク)という流れだ。それに付随するスキルも基礎から積み上げるように形成される。
生成AIは基礎と中間タスクを、あたかもハンマーでだるまの下段をたたいてはじき出すように抜き去る。そのタスクに付随していたスキルもどかんと失われるわけだ。小林主席研究員はAIが今後「内圧の低下(動機喪失)に響いてくる」と予想する。
3.「落ちない・滞らない」が身上、400Gbpsに突入したISPバックボーンの秘密(11.4 日経XTEC)
実は日本のインターネットトラフィックは2019年末に始まった新型コロナウイルス禍で急増し、今なお増えている。
数値で確認しよう。総務省の「情報通信白書」によると、2020年11月の固定系ブロードバンドのダウンロードトラフィックは前年同月から56.7%増えた。2024年11月でも同12.7%増と伸び続けている。これに応えるため、ISP各社はISP網のバックボーンを高速化・冗長化・効率化するために様々な技術を投入しているわけだ。
アクセス網で集約したトラフィックはPOPと呼ばれる拠点からISP網に入る。POPの「実体」は、データセンター内のラックに設置したルーターやスイッチなどのネットワーク機器である。全国的にサービスを展開する大手ISPの場合、大小合わせて少なくとも十数カ所、多いと数十カ所のPOPを展開している。POP間を結ぶ大容量のネットワークがバックボーンである。
4.「MVNO as a Service」でソニー系ミークが攻勢、飽和市場を揺さぶる(11.5 日経XTEC)
ソニー系のミーク(旧ソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォーム)がモバイル事業への新規参入を支援するサービス「MVNO as a Service」を始めたと2025年10月30日に発表した。通信事業の専門知識がなくても初期費用を抑えながら手軽に参入できる点が大きな特徴で、小売りやエンタメ、インフラ会社などに売り込んでいく構えだ。長らく飽和状態の携帯電話市場に新たな風を吹き込めるだろうか。
新サービスでは、2025年8月に設立した新会社のミークモバイルが顧客企業のブランド名などを用いて通信役務を提供する。申し込みの受け付けから契約管理、料金請求・回収、サポートまでを同社が担い、顧客企業は契約数に応じた手数料を受け取る。その手数料収入を原資にポイントやクーポンを付与することで、自社顧客の囲い込みを強化できる。
同社によると、モバイルサービスの開発期間は最短で3カ月程度。既存システムとの連携などに数百万円の初期費用はかかるが、リスクを抑えられる。MVNO(仮想移動体通信事業者)として本格参入する場合は別途、モバイルシステムの開発に2000万〜3000万円かかり、サービス運営には専門知識を持った人員を最低10人以上用意しなければならないという。同社は手数料水準を公表していないが、リスクが小さい分、利幅は薄くなると見られる。
5.社長の取材対応をAIでサポート、想定問答集の作成や臨機応変な回答に活用(11.6 日経XTEC)
PDFなどのデジタルデータは「経営知」とでも呼ぶべき企業の重要な資産で、これをAIの優秀な頭脳によって活性化できれば、そのメリットは計り知れない。
広報の仕事は、社長会見など、発言の間違いが許されないコミュニケーションに関係するため、膨大な資料からいかに正しい情報を抽出するかが重要だ。また、締め切りに追われているマスコミから緊急で調べ物を依頼されることもある。
広報の仕事で骨が折れるのがこれらの調べ物だ。ここでは、リモートワーク用のパソコンを発表したメーカーの社長が「日経ビジネス」誌の取材を受ける、という設定でAI活用の効果を見てみよう。
ここで厄介なのは、集めた資料のファイル形式がPDFのときもあれば、「Word」や「PowerPoint」のときもあるなどさまざまなことだ。従来ならコピペして1つにまとめるだけでも骨が折れる作業だった。
ここではアドビのAIサービス「Acrobat AIアシスタント」を例に解説する。「Copilot」や「ChatGPT」、「Gemini」などでも、ほぼ同じことができる。まず、上記の資料をAIに読み込ませる。Acrobatの場合は、全てのファイルをドラッグ・アンド・ドロップするだけで作業は完了する。
次に、「リモートワークの取材用に内容をまとめて」とAIに指示を出す。これだけで、これまで数時間かかっていた作業が文字通り数秒で終わるので、非常に助かっている。生成AI を使いこなすためには複雑なプロンプトを覚える方法もあるが、筆者はこうした単純な依頼を何回か繰り返すスタイルを採っている。
AIがハルシネーションを起こす原因として、ネット上の出所不明の情報から引用してくることがある。これを回避するためにも、出所のしっかりとした社内資料をAIに引用させて正しい回答を引き出す。
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