週間情報通信ニュースインデックスno.1496 2025/10/4


1.アサヒGHDのランサム被害、商品受注・出荷システム「SPIRIT」など物流全般で停止(10.3 日経XTEC)
アサヒグループホールディングス(HD)で2025年9月29日に発生したサイバー攻撃によるシステム障害に関して、商品の受注・出荷を担う基幹システムの「SPIRIT(スピリット)」をはじめとする物流システム全般が停止していることが、日経クロステックの取材で10月3日までに明らかになった。

 同社はサイバー攻撃がランサムウエアによるものだと認めた。一部で手作業による受注、出荷を始めていることもあり、基幹システムを復旧して受注・出荷や在庫などのデータを更新し、平常通りの運用に戻すまでに時間を要する可能性がある。

2.日立とOpenAIが提携、データセンター立ち上げ期間の短縮を狙う(10.3 日経XTEC)
日立製作所は2025年10月2日、米OpenAI(オープンAI)と戦略的パートナーシップに関する基本合意書(MOU)を結んだ。合意書にはデータセンター分野やAI(人工知能)分野で提携する方針が書かれている。日立の技術をデータセンターに導入する時期や場所は未定だという。

 日立はOpenAIに対し、AIデータセンター向けの変圧器などの供給や送配電設備および空調の設計などの面で提携する。変圧器といったデータセンター向けの製品の供給をOpenAI向けに確保することを検討。加えて、データセンターの送配電設備や空調などの設計を最適化し、データセンター設立までの期間を短縮することも考えている。OpenAIは日立と連携し速やかなデータセンターの構築を狙う。

3.GMOとNTT東西など、福岡のGPUサーバーと東京を「IOWN APN」で結ぶ技術検証(10.2 日経XTEC)
GMOインターネットとNTT東日本、NTT西日本、QTnetは2025年10月2日、福岡のデータセンターで運用するGPU(画像処理半導体)サーバーと東京にあるストレージ装置を「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network、アイオン)」の「APN(All-Photonics Network)」で接続する技術検証を開始すると発表した。IOWNはNTTグループの次世代情報通信基盤だ。

 GMOインターネットは九州電力子会社のQTnetが福岡市に設けるデータセンターで、「GMO GPUクラウド」のGPUサーバーを運用する。福岡市のデータセンターにあるGPUサーバーと、東京都渋谷区にあるGMOインターネットのオフィスルームで運用するストレージ装置を、NTT東日本とNTT西日本が提供する毎秒100ギガビット(Gbps)のIOWN APNで接続。東京のストレージ装置にあるデータを使って福岡のGPUサーバーで機械学習モデルをトレーニング(訓練)するといったタスクで、IOWN APNの性能を検証する。

4.ガートナーが未来志向型ハイプ・サイクル発表、初出のAI技術も2〜5年で成熟見込む(10.1 日経XTEC)
ガートナージャパンは2025年10月1日、「2025年の日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」を発表した。個々の技術の成熟度や普及度合いを可視化したもの。2025年版では「AI(人工知能)エージェント」「エージェント型AI」「AI定義型自動車」「AIファクトリ」「AI創薬プラットフォーム」「インダストリAI」「完全自動化」「ビジネス指向EA(エンタープライズアーキテクチャ)」「デジタル・デリバリの民主化」の9項目を新たに追加した。エージェント型AIはエージェント性と目標指向性を備え、AIエージェントよりも包括的かつ進化的な概念だとする。現在のAIは生成AIからエージェント型AIへの移行期にあるとし、その先のトレンドとして完全自動化を見据える。

5.12月施行のスマホ新法でiPhoneが不便に? エコシステムを守るか・広げるかで攻防(10.1 日経XTEC)
日本で最も利用者が多いスマートフォンである米Apple(アップル)の「iPhone」が、2025年12月から日本で使いにくくなる――。最近、このような可能性を主張する言説がSNSや日本の一部報道で流布されている。

 アップルが日本の法制度に対応するため、iPhoneの利便性を高めているいくつかの機能を日本で停止しかねないと、アップル製品の愛好者に危機感を訴える内容だ。この自説を唱える一部のインフルエンサーからは「iPhone終了(使い物にならなくなる)」「完全敗北」など過激な見出しも飛び交っている。

 背景になっているのが、2025年12月18日に全面施行される「スマホソフトウェア競争促進法(スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律)」である。「スマホ新法」と略される。新法の目的は、アップルと米Google(グーグル)の2社がスマホOS市場を独占している状況に対し、競争を促し、利用者の選択肢を増やすことである。

 スマホOSを軸に、1つのベンダーに閉じた利用環境づくりはスマートウオッチやイヤホンなど周辺機器にも広がっている。利便性を高める連携機能を強化した仕組みづくりは「エコシステム」と呼ばれる。欧州のDMAは1つの企業に閉じたエコシステムにメスを入れ、機能の開放やデータ開示などを通じて、隣接するサービスに第三者の参入を促す。

 こうした競争政策は、一部の利用者や識者から「便利に使っていたエコシステムを壊す行為」「技術開発で努力した先行者の利益を否定している」とも批判を受けている。技術の開示はセキュリティーなどの懸念も生んでいる。公取委の岩成博夫事務総長は「利用者が特定のサービスや製品だけでなく、他を選択しても便利に使えるようにするという観点では破壊ではなく、エコシステムを広げる側面を持つ」と訴える。

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